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三里塚請求異議裁判が結審―市東さんの最終意見、弁護団の最終弁論

20180930a-1.jpg 9月27日、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で、市東孝雄さんの農地を守る請求異議裁判の第9回口頭弁論が開かれ、市東さん本人の最終意見陳述と最終弁論が行われ、この日で結審した。
 三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・農民・学生・市民135人は、市東さんとともに「体を張って農地を守る」気概で、一日を闘い抜いた。
 正午から千葉市中央公園で、太郎良陽一さんの司会で決起集会が開かれた。はじめに20180930a-2.jpg東峰の萩原富夫さんが発言に立ち、「この裁判を約2年闘い抜いて、強制執行を阻止してきた。裁判所は確かに腐っているが、最初からあきらめてはいけない。絶対にこの裁判に勝利しよう」と檄を飛ばした。
 動労千葉の川崎昌浩書記長は、成田空港の犯罪性と安倍政権の改憲攻撃を鋭く批判し、10・14三里塚全国集会から日比谷野音での11・4全国労働者集会への決起を呼びかけた。
 関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の連帯発言に続き、全学連の高原恭平委員長は、半世紀を超えて国家権力と非和解で闘う三里塚の意義を確認し、10・14三里塚―11・4日比谷への大結集を訴えた。
 意気高くシュプレヒコールを上げて、反対同盟を先頭に千葉地裁へ向けてデモに出発した。宣伝カーからは婦人行動隊・宮本麻子さんが「農地死守」のアピールを、昼時で賑わう千葉市繁華街に響かせた。
20180930a-4.jpg デモが地裁に近づくと、社会科見学の小学生の列と遭遇。宣伝カーのシュプレヒコールに合わせ、小学生たちは笑顔で「おーっ」とこぶしを挙げる。引率の教師は渋い顔で引き離そうとするが、まさにこの子どもたちの未来にかかわる闘いなのだ。

 デモ後、直ちに署名提出行動に移った。農地取り上げ強制執行に反対する署名は、今20180930a-5.jpg回提出分が4803筆、総計で1万8446筆となる。署名簿の合冊を持った反対同盟が「耕す者に権利あり」の横断幕とともに地裁前に並んで闘志を示し、参加者の大きな拍手と歓声に送られて提出に向かった。4階の民事第5部書記官室を訪れ、萩原さんが申入書を朗読し、「高瀬裁判長は絶対に強制執行を認めるな」と念を押して署名を受け取らせた。

20180930a-3.jpg 70近い傍聴席をすべて埋め、いつもとは違う張り詰めた空気の中で午後2時に開廷した。
 最初に市東さんが、「最終意見」を読み上げた。
 「農地は私の命です。NAA(空港会社)は私の農地をただの土地だと思っています。農業なんてどこでもやれると見下しています。空港のために農地を差し出せ、カネを積むから出て行けという態度です。
 ただの土地ではありません。農地は生きています。人々の健康と命をつないでいます。あの畑は私の人生であり、私の生き甲斐です」
 そして、NAA=空港公団の不正・不法を指摘し、1971年の小泉よねさんへの強制代執行での機動隊を使った暴虐を振り返り、自分に対しても同様の強制執行を策動していることを強く弾劾した。
 そして、「私はあくまでも天神峰と南台で私の畑を耕し、絶対に動かない。農地を取り上げる強制執行は私にとっては死刑と同じです。強制執行は認めないとの判決を強く求めます」と結び、廷内は拍手に満たされた。
 続いて、内藤光博さん(専修大学教授・憲法)、石原健二さん(元立教大教授・農業経済)の二人が補佐人として、市東さんの農業と農地こそ守られるべきものであり、強制執行は許されないことを専門分野の見地から解き明かした。

 そして顧問弁護団が次々と立って、心血を注いで書き上げた最終準備書面を陳述した。
 空港公団は「平行滑走路用地取得のためにあらゆる意味で強制的手段を用いない」と社会的に公約しており、本件での強制執行は、権利濫用、信義則違反である。著しく社会的正義に反しており、許されない。
 NAAが明け渡しを求めている対象地は耕作権裁判も含め、市東さんの耕作地全体の73%であり、農業の継続を不可能にさせ、人生を奪う超過酷執行だ。かけがえのない完全無農薬・有機農業と産直運動を破壊することは、市東さんの生存権的財産権を侵害し、農業の憲法的公共性を否定することだ。
 またNAAは離作補償料を今日まで一切支払っていない(供託もしていない)ので、土地の賃貸借契約の解約は無効であり、強制執行を求める資格がない。
 この強制執行はNAAにとって何ら緊急性も必要性もない。さらに、転用計画をでっち上げて空港敷地をはみ出た告示外部分の農地まで取り上げようとしている。この執行は、第3滑走路建設、深夜早朝発着の大幅緩和による騒音地獄の拡大など、「空港機能強化」という大規模な地域破壊の一環として行われようとしている。
 三里塚闘争を破壊し市東さんに農民としての死を強制しようとする強制執行は、絶対に許されない。裁判所は原告の請求をすべて認める判決を出せ!
 この気迫に満ちた陳述に傍聴者は何度も熱烈な拍手で応え、裁判長は制止することもできない。3人のNAAの代理人は、自分たちの悪行がとことん暴かれてすっかり消耗している。
 裁判長が弁論の終結を宣言し、判決言い渡しを12月20日午後2時と一方的に告げて閉廷した。

20180930a-6.jpg 近くの会場で報告集会が、実に4時間の闘いをやりきった熱気をそのままに開かれた。
 伊藤信晴さんが司会を務め、最初に市東さんがあいさつした。「この裁判、当初は1~2回で終わるのかと思っていましたが、みなさんの力で2年にわたり続き、今日の裁判で圧倒的にNAAを追いつめました。やるべきことはやった。でも判決が出たらそれで終わりではない。それからが大変です。ほかの裁判もあります。これからも一日でも長く天神峰で農業をやっていく、このことに確信を持ちながら、みなさんとともに闘っていきます」
 この自信にあふれた発言に全員が感動の拍手を送った。
 続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団と2人の補佐人があいさつし、裁判必勝の決意と展望を共有した。
 さらに「市東さんの農地を守る会・福島」の椎名千恵子さん、同じく群馬の会の田島俊昭さん、全国農民会議共同代表の小川浩さんなどが連帯のあいさつを行った。小川さんは「市東さんの命がけの闘いに応えて、一人でも多くの農民を10・14に組織する」と意気込みを述べた。
 最後に萩原さんが、「今日は本当にすばらしい最終弁論だった。この裁判、絶対に勝つことにこだわって最後まで力を注いでいく。10・14集会に今日の勢いをもって大結集を実現し、12月20日の判決を迎え撃つために現地でも闘いを進める」とまとめ、長く熱い闘いの一日を締めくくった。(TN)

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