香港 「5人集合禁止」打ち破る 労働組合が現場で闘い継続香港
香港では、新型コロナウイルスの感染拡大の中で労働者の雇用と安全・健康を守ると同時に、この情勢を利用して労働運動と反政府運動をつぶそうとする治安弾圧に対する闘いが続いている。
治安弾圧はね返す
3月31日、昨年8月31日の太子駅での警察官による市民への無差別暴行から7カ月を迎えた。多くの労働者・学生が太子駅入り口に集まり、警察の暴力に抗議し献花した。これは29日に林鄭月娥香港行政長官が公共の場で5人以上が集まるのを禁止してから初めての行動となった。
警察は身体検査を行い、5人以上の集合は禁止されていると繰り返し警告、し解散を求めた。だが参加者たちは互いに見知らぬ者同士で、それぞれが独自の意思で集まってくるのは意識的な集合ではない。どうして処分できるのか? 続々と集まる人々は警察の弾圧に徹底抗議した。
警察は封鎖線を張りめぐらして参加を妨害し身分証などを提示させた。警官隊と参加者は深夜に激突し、12歳から70歳までの54人が逮捕された。だが5人以上で集まった容疑で逮捕された者は一人もいなかった。警察は事後逮捕もするとしているが、香港の労働者・学生は林鄭のコロナ情勢下での治安弾圧を許さず恐れず、それを打ち破って闘い抜いたのである。
労組結成しストライキ
昨年6月から本格的に始まった香港での「逃亡犯」条例改悪に反対する闘いは、中国スターリン主義の下で失われている民主や侵害されている自由を勝ち取る闘いとされる。だが、この闘いは絶対にブルジョア的な自由や民主のための闘いにとどまるものではない。この闘いは中国スターリン主義との激突になっている一方、資本主義が行きついた極限ともいうべき搾取と抑圧、貧困の状況と対決するものとなっている。
6月当初から一貫してこの運動を支えてきたのは労働組合であった。彼らは防衛班や医療班、食料・水などの調達班などデモをサポートする班をつくり、警察との激突をのりこえて6月16日の200万人デモを実現し、その後の大デモも支えてきた。緊急条例が発動され「覆面禁止法」が施行された10月以降、闘いに勝利するためには全香港ゼネスト以外ないとして労働組合結成運動が呼びかけられ、12月末までに青年労働者を先頭に43の新しい労働組合が結成された。
今年に入ってコロナ感染が拡大する中で、これらの新組合は先頭に立って闘っている。医療労働者によって組織された新組合の医管局員工陣線は、林鄭政府の許しがたいコロナ政策に抗議し医療現場の安全と物資・人員の確保を要求して2月3日より5日間のストライキを9千人で闘った。
ホテルや航空業界、レストランなどで倒産や解雇が相次いでいるが、労働組合は解雇に反対し失業保険制度などを要求して闘っている。コロナ情勢下で大規模集会の開催が困難になる中で、労働組合がその闘いを現場で引き継いで林鄭政権と闘い抜いているのだ。
反帝・反スタ世界革命へ
なぜ青年はこの「逃亡犯」条例改悪反対のデモに立ち上がり、労働組合に結集して闘っているのか? それは、この末期的な資本主義経済の矛盾が一番顕著に表れている国際金融都市・香港にいて、青年は政治的にも経済的にも未来を失っているからである。
香港は世界でも東京やニューヨーク以上に物価が高い都市とされる。最大の原因は住居費の高さである。デモ隊が書き残した「ベッド1台がやっとの部屋にしか住めない私たちが独房生活など恐れると思うか」という落書きのように、香港の住宅問題は深刻で、ベッドだけのスペース(たたみ1畳分)で生活している労働者も多数いる。これは香港の土地が狭いからではない。財閥が不動産投資で土地を買い占めていることが大きな原因だ。貧乏人は一生貧乏人で、大学を出ても豊かになれる保証はない。就職できるかどうかさえ疑問だ。若者は食べていけず、さらに27年後に香港が中国に飲み込まれる流れの中で政治的な自由さえも失いつつある。
だから学生と青年労働者はこの闘いに身を投じ、逮捕を恐れず闘っているのである。労働者がそうした資本主義への怒りから担い支えている運動が、ブルジョア的な民主や自由の運動に終わることはありえない。今、労働組合がこの闘いを通じて香港で発展していることは決定的なのだ。
林鄭政府はこの状況を許せない。だからコロナを口実にして公共の場での5人以上の集合を禁じたのだ。だがその弾圧も学生と労働者の不屈の闘いで最初から破産してしまった。
香港は極限的な資本主義経済の社会であり、もう一方で中国スターリン主義の支配に組み込まれつつある地域である。そして世界経済に大きな影響を持つ国際金融都市である。このような地域において、しかも労働者階級が未来をかけて先頭で担い支えているこの闘いの中で、今後「反帝・反スタ世界革命」綱領が絶対に求められてくる。
労働者の国際連帯が決定的だ。香港の闘いと固く結びつこう!