法大処分撤回第1回裁判についての報告
2月15日、東京地裁にて法政大学・武田雄飛丸君(国際文化学部3年)への「無期停学」処分撤回を求める第1回の裁判が行われました。反原発闘争と学生自治会建設、そして法大闘争のさらなる発展へ――本裁判は新たな闘いへのスタートを切るものとなりました。当日、615号法廷は傍聴者で埋め尽くされました。飛び入りやサークル全体で参加した学生もいます。裁判長は前進社不当捜索国賠も担当している甲斐哲彦。いやが上にも対決構造は強まります。
13時半、裁判長が開廷を宣言。原告側・被告側両代理人と裁判所によるやりとりを経て、武田君が意見陳述に立ちました。法廷は静まり返り、第一声に注目します。「今回私にかけられた処分は内容的にも、手続き的にも不当である。被告に処分の撤回を求めると同時に、裁判所においても本件懲戒処分を無効とする判決を下すよう強く求めるものである」。陳述開始とともに、法廷の熱気はいよいよ高まってきます。
「まず今回の処分は御用学者への批判を封殺する為の処分であり、3・11福島原発事故への福島県民を中心とする民衆の怒りに敵対する処分である」。処分内容の弾劾は、「授業妨害」をしたとされる御用学者講演会への言及から始まりました。武田君に「授業妨害」を受けたとされる御用学者とは、放射線影響研究所(放影研)理事長・大久保利晃です。放影研とは、ABCCの後継機関で、広島・長崎での原爆投下以来のデータを独占・隠蔽してきた、日本の原子力政策の中核機関です。大久保は放影研の理事長として、「内部被曝や残留放射線の影響は少ない」と公言し、さらには3・11以降郡山市原子力災害対策アドバイザーに着任。福島県民に「100ミリシーベルトまで安全」論をふりまき、責任追及の声を圧殺し、今なお住民に被曝を強制している人物です。
大久保への批判とともに、武田君は法大当局を弾劾します。「『開かれた大学』を掲げながら、御用学者の授業を密室で行い、一方で学内の学生運動や反原発運動を弾圧、声をあげる学生を処分する姿勢は、まさに3・11福島原発事故以降『御用学者』を皮切りに全社会的に問題化した、国家と資本に組み伏せられた腐敗しきった原発推進大学の姿そのものである」。御用学者を学内に招きいれる一方、学生の声を一顧だにしない大学の姿勢への痛烈な批判です。
続いて、処分の本質が「飲酒規制強行等の学生管理強化」と「10・19集会への見せしめ」であると明らかにしました。そして「飲酒規制とは学生に対する分断・自治破壊の管理強化である」と言い切り、武田君を説明会から排除し、規制を率先して担った自主法政祭実行委員会を弾劾しました。そして、10・19集会の意義を「これら法大当局のあり方が、1000人という数で根本的に問われた」ものであるとし、処分の報復的性格を明らかにしました。
最後に、処分は「法大闘争への攻撃である」と断じた上で、06年以来の法大闘争の地平を誇り高く宣言します。「法大闘争とは、教育を営利事業とし、『営業権』の前に学生のあらゆる表現活動、デモ、集会の自由、団結権を奪わんとする大学の新自由主義的再編に対する闘いだった」「そして今回の私に対する処分も、これまでのあらゆる処分と同様、学生に対する弾圧として存在している。学生運動を弾圧し、規制を強行するあり方と、反原発運動を弾圧し、御用学者を居座らせるあり方は、本処分に見られるように一体である。このようなあり方こそ弾劾されるべきである」「7年間におよぶ法大闘争は、このような大学がある限り、学生の怒りは必ず不可避的に爆発し続けることを示した。学生の存在が貶められ、大学が資本と国家に従属するあり方が続く限り、法大闘争は終わることはない」。再度裁判所と法大に処分の撤回を求め、法廷は拍手とかけ声に包まれました。
裁判終了後に総括集会を開催しました。「裁判にとどまらず、さらに大きな闘いにしよう」(藤田城治弁護士)、「今まで法大当局が何をやってきたのか。裁判において明らかにしていこう」(石田亮弁護士)、「反原発で大学をつくりかえ、各大学に自治会を再建しよう。裁判所への幻想ではなく、運動の力で勝利をかちとろう」(鈴木達夫弁護士)。代理人弁護士の発言に続き、今後の決意を武田君が語りました。「10・19のような集会を何度も打ち抜き、その力で傍聴席を埋めていく。各大学でも10・19のような集会をやろう。全国大学を飛び回って訴えたい」。
東北大・京都大・富山大・広島大・三里塚現地行動隊・学内で闘う法大生の発言を受け、最後に斎藤郁真全学連委員長が方針提起を行いました。「武田君への処分はすべての学生への処分であり、自らへの攻撃だ。『処分理由』としての御用学者への抗議も規制への抗議も本質的に一体だ。みなが『もう一人の武田君』になり、各大学で学生自治会建設に踏み出そう。3・11福島現地集会と3・24三里塚現地闘争に集まろう」。全国学生の意志と決意は強固に固まりました。処分撤回闘争を突破口に法大闘争のさらなる高揚をかちとろう。全国の学生は武田君とともに闘おう!(全学連書記長・坂野陽平)
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