三里塚一坪共有地裁判 文書提出拒む千葉県を追及
2月12日、千葉地裁民事第5部(松並重雄裁判長)で、一坪共有地裁判の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、「農地死守」の気概で闘った。
この裁判は、千葉県が成田空港4千㍍滑走路北端近くにある駒井野の一坪共有地を、土地の共有者である故鈴木幸司さん、いとさん夫妻に明け渡すよう求めて2006年に提訴したものだ。
だがそれから9年、「成田国際物流複合基地計画」の一環として千葉県がこの一帯の土地を造成し成田空港会社(NAA)に譲渡する、という大仰な事業計画は、とうの昔に破綻している。土地強奪の策動はすでに意味を失っている!
弁護団は前回、この事業計画の現状を明らかにするために、裁判所が県に文書提出命令を出すよう申し立てた。これに対し千葉県は、「文書にはNAAの事業情報などが含まれ、公務秘密性があるから出せない」と反論してきた。
「公務秘密」だと?
県・NAA間の売買契約書、造成費用のNAA負担合意書、土地の鑑定評価書、施設等建設計画書――これらがどうして「秘密」なのか。県が土地を造成してNAAに売り払うという行為は、住民監査請求や住民訴訟の対象となり、文書類は公開されて当然のものだ。弁護団は文書提出を拒む県の主張を詳細に論破する意見書を提出した。
さらに弁護団は、県企業庁やNAA事業部門の当局者、学者、弁護士など7人の証人を申請した。これに対し県側は、証人尋問もやらず陳述書も出さないと言う。弁護団は、立証責任を放棄した無責任な姿勢を厳しく追及した。
次回期日を4月16日午後として閉廷したのち、千葉県弁護士会館で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
葉山岳夫弁護士を始め弁護団が法廷を振り返り、県側の主張の破綻と居直りを弾劾した。続いて動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立った。「県内の各地域で、安倍政権の地方切り捨てに対する怒りがすさまじい。地元で集会を早くやってくれとの熱心な要望もある。栗山公園での3・29三里塚全国集会は画期的だ。反対同盟の2~3月決起と連帯して、動労千葉は3・14ダイヤ改定に対し断固闘う」
野戦病院の大熊寿年さんは、農地取り上げ反対3万人署名の取り組みを3・4東京高裁提出へ向けて強化するよう要請し、さらに2月16日に始まる「新やぐら裁判」の重要性を訴えた。
最後に伊藤さんが、「JA全中が農協改革案を受け入れ、TPP交渉が大詰めを迎える状況の中で、日本農業は岐路に立たされている。市東さんの農地裁判に農民の行く末がかかっている。3・4控訴審弁論に結集しよう」と訴え、締めくくった。
反対同盟と支援連は午後に千葉市繁華街での3万人署名情宣に立ち、農地強奪阻止と安倍政権打倒を熱く呼びかけた。(TN)
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