三里塚新やぐら裁判―裁判長の拙速裁判策動と対決
10月1日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で新やぐら裁判が開かれた。
三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、請求異議裁判での最終弁論の闘いをやりきった充実感を胸に、あらためて「農地死守」の決意を固めて全力で闘った。
この裁判は、市東さんの天神峰農地に建つやぐら・看板などの4つの物件について、成田空港会社(NAA)が反対同盟に対し「収去と土地の明け渡し」を求めて提訴したものだ。
今回はまず、左右両陪席裁判官の交代に伴う更新手続きとして、弁護団の意見陳述が行われた。
反対同盟のやぐら・看板を取り除けというNAAの要求は、憲法第21条で保障された表現の自由を侵害するものだ。反対同盟は1967年の当時から天神峰現地闘争本部に「空港絶対反対」の看板を建て、闘争のシンボルとしてきた。成田治安法によって現闘本部は暴力的に封鎖され破壊されたが、看板は市東さんの畑によみがえり、農民殺しの国策に断固反対して闘い抜く心意気を示すかけがえのない表現手段として建ち続けているのだ。
そもそもNAA=空港公団は、地主然として市東さんに農地を明け渡して出て行けと迫っているのだが、旧地主からの底地の買収は耕作者である市東家に秘密・無断で行われており無効、土地の賃貸借契約解除も無効だ。また、空港施設への転用目的の農地取得といいながら、実際には転用計画など存在していなかった。すべて農地法違反だ。NAAの農地強奪攻撃と一体のやぐら・看板への破壊策動を許さない!
弁護団の力強い陳述が法廷を圧した。
続いて裁判期日をめぐる激しい攻防となった。内田裁判長は拙速裁判の姿勢をむき出しにして、弁護団に人証請求書を早期に出せと迫ってきた。弁護団は、学者証人の意見書の手筈など現在鋭意努力中であり、また他の三里塚裁判との兼ね合いもあり、人証請求書の提出期限として次々回期日を来年3月とすることを求めた。裁判長は感情を露わにして「そんなに待てない!」と弁護団を非難攻撃した。
日ごろは卑劣なだんまりを決め込んでいるNAA代理人の和田衛は、その尻馬に乗って発言を求め、「2カ月ごとに期日を入れるべきだ」などと言う。文書隠しで真っ当な審理を妨げているやからの言うセリフか!
傍聴席からは、期日を消化することしか念頭にない裁判長への弾劾の声が続々と上がった。強権をもにじませる裁判長にひるまず、弁護団は全員の力で3月の線を譲らず、次回を11月26日、次々回を3月4日と確認させた。
閉廷後の報告集会で、弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士は、早期結審を許さず証人調べを認めさせる決意を明らかにした。反対同盟事務局の太郎良陽一さんは、目前に迫った10・14全国集会成功への最後の奮闘を呼びかけた。
市東さんの農地取り上げに反対する会は、恒例の秋のシンポジウムを11月18日に東京・文京区民センターで開催することを明らかにした。
台風一過の晴天のもと、午後に反対同盟と支援連はJR千葉駅前に繰り出して10・14へ向けた大情宣活動を行い、「改憲阻止・安倍政権打倒」「空港絶対反対・農地死守」を熱烈に訴えた。(TN)
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