ウクライナへ武器を送るな! イタリア労組が実力阻止
世界戦争へと転化するウクライナ戦争に対し、ヨーロッパをはじめ各地で労働組合が抗議行動に立ち上がっている。
イタリアでは、全国最大の労働組合の一つである独立系労組USB(職場労働組合連合)が先頭に立っている。3月19日にはトスカーナ州ピサ市でウクライナへの武器輸送に反対する約2千人のデモが行われた。
ことの発端は12日、同市にある軍民共用のガリレオ・ガリレイ国際空港の労働者が、政府がポーランドにあるアメリカとNATOの基地を経由してウクライナに輸送する「人道支援物資」の箱の中身が武器・弾薬であると暴いたことだ。労働者たちは、数週間に及ぶ爆撃や戦闘で疲弊したウクライナの人々に送られるのは食料や薬だと思っていた。しかし、箱にぎっしりと詰め込まれていたのは武器・弾薬だったのだ。
労働者は深く衝撃を受けるとともに「ドラギ政権はわれわれを戦争に加担させようというのか!」と激怒。「この武器・弾薬が送られればロシア軍の標的となり、ウクライナの基地労働者の命が奪われる」と、積み込みを断固拒否した。USBは「人道支援」の名のもとに戦火を拡大させようとする政府を弾劾し、直ちにデモを呼びかけた。
この闘いに全国の労働者も熱い連帯で応えた。トスカーナ州のリボルノでは、USB所属の港湾労働者たちが「武器はわれわれのような労働者を殺すためのものだ」「われわれはウクライナの人々、ウクライナ東部やロシアの人々とともにあり、この戦争の共犯者になることは望まない」と宣言し、19日のデモに合流した。
この間、イタリアのメディアはウクライナのゼレンスキー政権支持一色の報道を行い、ロシアへの嫌悪をあおり立てている。NATOの拡大とさらなる軍事介入の必要性が叫ばれ、一切が「平和主義」の名で正当化されている。こうした中で、今回の空港労働者の闘いは「挙国一致」体制に風穴を開けた。ガリレオ・ガリレイ空港はピサ近郊の米陸軍基地・キャンプダービーとともにNATOによるユーゴスラビア空爆やイラク戦争時の出撃拠点とされてきた場所でもあり、この闘いの意義は大きい。
だからこそイタリア政府はこの間、労働組合バッシングに全力を挙げているが、USBに加えて動労千葉と連帯してきたS.I.Cobas(職場委員会連盟)など多くの労組が政府によるウクライナ軍への武器供与とNATO拡大に反対して闘いぬいている。
こうした独立系労組の階級性・戦闘性は、新自由主義に屈服した体制内3大労組の枠を突き破る闘いを通じて培われてきたものだ。USBは昨年3月にコロナ下での雇用保障や休業補償を掲げてゼネストを決行。5月にはリボルノの港湾労働者がパレスチナ人民と連帯してイスラエルへの武器や弾薬、装甲車積み込み拒否の闘いを展開した。今年も4月22日を期して「賃金を増やせ、武器を減らせ」を掲げた戦時下でのゼネストに立ち上がる。
労働者の実力闘争こそ戦争を阻止する力だ。イタリア労働者の闘いに続こう!
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