アメリカ ILWUが港湾停止/半世紀ぶりの大闘争に
アメリカ西海岸、カナダ、パナマの港湾労働者などを組織する国際港湾倉庫労組(ILWU)の労働協約改定闘争が、港湾の業務を止める事実上のストライキとして闘われた。6月3日には、米西海岸29港湾のターミナル運営業者や海運会社で構成される太平洋海事協会(PMA)が「ILWUが一致団結した行動を展開し、ロサンゼルス港とロングビーチ港の複数のターミナルが事実上の操業停止に追い込まれた」と発表。オークランド港などでも操業に影響が出た。
従来の労働協約は昨年7月に失効し、新協約の締結に向けた協議が続いていた。協約失効後の期間はストなどの実力闘争が可能になる。全米最大のローカル13=第13支部(カリフォルニア州ロサンゼルス港・ロングビーチ港)、ローカル10(オークランド港など)を先頭に続けてきたスローダウン闘争はさらにエスカレートした。
ILWUでは、組合員に選出された委員が各港湾の「ハイアリングホール」を訪れる組合員に対して日ごとに仕事を割り振る仕組みだ。組合員たちが自発的にホールに現れなければ労働力は確保できず、港湾は停止することとなる。
ILWU本部はこれまで「今回の協約闘争ではストは行わない」と表明してきた。しかし、現場の怒りが実力闘争となって爆発したのだ。特徴的なのは、戦闘的なILWUの中では右派的であったローカル13が、今回の闘争では先頭に立っていることだ。ILWUの闘争に先立って行われたトラック労働者のストに対しても、ローカル13はそのピケットラインを越えないという形で連帯した。
この実力闘争に対し、経営側は今年の初めごろから、太平洋の貨物船をパナマ経由で東海岸に回し、米東海岸の港湾労働者を組織する国際港湾労組(ILA)の組合員に荷揚げさせるという策をとってきた。しかし東海岸のキャパシティーも限界で、米資本は悲鳴を上げている状況だ。
ILWU本部とPMAは6月14日に新協約で暫定合意したが、今後は双方のメンバーが合意を承認する必要がある。戦時下で港湾労組が闘っていることの意義は絶大だ。バイデンは即日声明を発し、今回の暫定合意が「団体交渉が機能する」ことを証明したと称賛した。この闘いがアメリカ帝国主義に大きな打撃を与えたことの証左だ。
これだけの長期間、大規模な物流・生産に影響を与え続ける闘いは実に半世紀ぶりだ。労働者階級と資本家階級との本格的な大激突の時代が到来した。
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