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米教員ストが大勝利 公教育破壊に歴史的反撃

20190128a-1.jpg 1月22日朝、ロサンゼルス統一教組(UTLA)とロサンゼルス統一学区(LAUSD)は21カ月ぶりに労働協約が暫定合意に達したことを発表した。14日に突入したストライキは17日から協約交渉が再開され、土日祝日も含めた5日間、早朝から夜遅くまで行われた交渉でUTLAの要求のほとんどが満足のいくものとして勝ちとられた。
 地域社会を利する労働協約かちとる
 「公教育、教育労働者、生徒、保護者、それにコミュニティーにとって、歴史的な勝利です。UTLAの組合員は本当にすばらしい」とアレックス・カプートパール委員長は記者会見で語った。給与の6%アップ、クラス人数の削減、看護士や図書館司書など専門職教師の常駐体制、テストの半減、チャータースクールの規制などこの数十年間で公立学校が奪われてきた様々な事柄を取り戻す合意内容だ。その上、コミュニティースクールの設置などUTLAが理想とする教育体制の実現も見えてきた。

20190128a-2.png UTLAが協約交渉で目指したのは、コミュニティー全体に利する協約を勝ちとることだった。合意内容には、ロサンゼルスに緑地を増やすとか、多くの有色人種の生徒を「スクール・トゥ・プリズン・パイプライン」(指導の厳罰化により学校から刑務所に送られる状況)に追い込んでいる「ランダムサーチ」(構内での銃乱射事件を防ぐという目的で2011年に学区が導入した、金属探知機でランダムに生徒を点検するシステム)の中止なども含まれる。移民の家族に専用ホットラインを設置し、UTLAと連携して他の問題にも対処する弁護士を雇うことも学区に義務付けた。
 「UTLAのストライキは、すばらしい労働協約を勝ちとっただけでなく、アメリカの人びとを元気づけ、奮起させる役割を果たしました」と交渉チームのリーダー、アーリーン・イノウエさんは語った。
 UTLA全組合員と親、生徒が決起
 UTLAは1989年に組合員の80%が参加して9日間のストを貫徹し、8%の給与アップと学校現場での意思決定および自律的学校運営を勝ちとった。しかし、90年代の急速な景気後退の中でUTLA執行部も弱体化を余儀なくされ、協約闘争は苦戦を強いられてきた。
 2014年に闘う潮流「ユニオンパワー」派がUTLAの執行部に当選した。彼らは公設民営のチャータースクールが増え続け、公立学校が崩壊している状況を変えるために、大ストライキを打つ決意で組織化を進めてきた。7人の執行委員が先頭に立ち、900以上ある公立学校を頻繁に訪れ、組合員との直接対話を重ねてきた。昨年8月のスト権投票で98%の賛成を得たが、組合員の100%でストに突入したいと、より一層の組織化に努め、同時に保護者やコミュニティーの説得にも力を注いだ。
 UTLAのストにはチャータースクールも含めて3万2千人の組合員が全員参加し、保護者や生徒、コミュニティーの人たちが駆け付け、組合員を倍する人数での大集会を続けた。18日には市庁舎前での集会に6万人を超える人びとが集まり市庁舎で協約交渉を続けるチームを応援した。
 アーリーンさんは左派メディアのインタビューで次のように語っている。「私たちのストライキは、アメリカの労働組合全般に現状維持ではだめだという教訓を残しました。立ち上がり、勇気を奮い立たせてストライキに立つ時がきました。そうしなければ現状の経済的不平等や格差の中で、労働者階級はもう生きてはいけないからです。今がその時です」「私たちには力がある、だから勝利できると、人びとは気づいたはずです。私たちが輝く時代がやってきました」
写真「私たちは勝った!」。暫定合意成立に沸き立つUTLA組合員たち(1月22日 ロサンゼルス)
    6万人が結集したストライキ5日目の市庁舎前集会。左前がアレックス・カプトパールUTLA委員長、中央後ろがセシリー・マイアートクルス副委員長(1月18日)

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