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大坂正明同志は無実

星野・大坂救援会が発足 大坂控訴審勝利へ陣形築く 東京 沖縄と連帯し決起集会

(写真 星野国賠訴訟の一審勝利判決を踏まえ、「大坂正明さんの解放・奪還をなんとしてもかちとろう」と開かれた総決起集会。団結ガンバローで決意を固めあった【5月30日 東京・霞が関】)

 無実の政治犯・星野文昭同志の獄死から6年目、星野国賠訴訟の一審勝利判決をかちとった上で、大坂正明同志の控訴審闘争に勝利する陣形を築くための総決起集会が5月30日、東京・霞が関の弁護士会館講堂クレオに180人を結集して圧倒的にかちとられた。この集会をもって両救援会が合体し、「無実の政治犯 星野さん大坂さん全国救援会」(略称/星野・大坂全国救援会)が発足した。

星野国賠一審勝利固める闘いを誓う
 冒頭、大坂正明さんのメッセージが読み上げられた(別掲)。大坂さんは星野国賠の勝利判決について、「星野さんが遺(のこ)してくれた大いなる遺産であり、また一審の勝利は、獄中闘争44年の重さがもたらしたもの」と述べ、新たな救援会についても、「星野さんと私の支援が一体となることは、力が2倍になるというより、2乗になるということでしょう」と歓迎し大きな期待を表明した。
 基調報告を星野全国再審連絡会議共同代表の狩野満男さんが行った(要旨別掲)。「労働者民衆の反戦闘争の力が星野国賠の勝利を切り開いた」「安保・沖縄闘争の発展の中に大坂さん奪還の道がある」「戦時弾圧を打ち破り、大坂奪還の大決戦へ」と呼びかけ「大坂解放5000筆署名を集めよう。星野国賠控訴審に勝利しよう」と訴えた。
 星野国賠訴訟弁護団の岩井信、和久田修の両弁護士が報告した。岩井さんは、一審判決に対して国が控訴理由書を出し、高裁で覆そうとしていることに警鐘を鳴らした。和久田さんは、「星野・大坂救援会の声が獄中に届く、沖縄に届くという闘いを法廷内外で皆さんと行いたい」と述べた。
 大坂弁護団からは山本志都、西村正治の両弁護士が報告した。山本さんは、控訴趣意書に対して検察側の異例に長い反論書が出されたのは、検察にとって薄氷を踏む判決だったのだと喝破した。控訴審では、①神山派出所での写真に大坂さんが写っていないこと、②テレビ映像のような詳細な目撃供述はありえないこと、③証拠調べをやらせることに重点を置いて闘うこと—-を明らかにした。主任弁護人の西村弁護士は、控訴審への抱負を述べた後、沖縄闘争をなきものにしようとする大坂さんへの有罪判決を、「私の生涯をかけた闘いとして粉砕する」と決意表明した。
 大坂さんの親族の佐藤政直さんのメッセージが紹介された。「正明さんの一日も早い解放、そして理不尽にあらがう小さな輪が、さらに広がっていくことを心より願います」と訴えた。

大坂さんと団結し安保・沖縄を闘う
 大坂署名運動呼びかけ人のジャーナリスト浅野健一さんが立ち、AI音声と画像でアピールした。「星野さん、大坂さんの闘いの意義を再確認して沖縄を再び戦場にしようとする米日権力にあらがう人民の闘いを構築すべき時」と訴えた。
 沖縄万人の力で星野さんを取り戻す会の和田邦子さんが5・17~19沖縄現地闘争の勝利を確認し、米兵の女性暴行、辺野古基地建設、中谷暴言、西田暴言、天皇訪沖を怒りを込めて弾劾した。全学連の学生は、沖縄と連帯して闘われた71年11・14闘争への国家権力の攻撃に対し、「日帝こそ殺人者だ。どの面下げてわれわれを罵倒できるのか」と激しく断罪した。
 改憲・戦争阻止!大行進呼びかけ人の高山俊吉弁護士は、「中国侵略戦争にひた走る日米の帝国主義に対して市谷、霞が関、永田町のある首都中枢でこそ闘わなければならない」と6・14全国集会&デモへの全力の組織化を呼び掛けた。北海道・星野文昭さんを救う会の鈴木潤さんは、北海道での星野・大坂救援の闘いを報告し、沖縄闘争に食らいつき闘う決意を述べた。
 星野暁子さんは、文昭さんの墓前に国賠勝利を報告したと述べ、控訴審のこれからが本当の勝負だと気を引き締めて闘う決意を表明した。星野と大坂の救援会が名実ともに一つになって、大坂さん奪還へ闘おうと訴えた。
 大坂救援会事務局の杉浦文俊さんがまとめの発言で今後の方針を明快に提起した。6・14闘争、6・19申し入れとデモ、5000筆署名達成を訴え、団結ガンバローで決意を固めた。
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大坂同志奪還へ大飛躍を◇5・30集会の基調報告(要旨)
 本集会の最大の柱は、大坂正明さんの解放・奪還をなんとしてもかちとろうということです。大坂さんの解放・奪還こそ、星野文昭さんの闘いを引き継ぐものです。半世紀を超えて闘われる安保・沖縄闘争の魂であり、米日の中国侵略戦争、沖縄の戦場化と対決し、戦争を阻む力です。
 星野文昭さん獄死=虐殺から6年、星野国賠は画期的勝利をつかみました。安保・沖縄闘争弾圧を許さない、労働者民衆の反戦闘争が切り開いた勝利です。この力をさらに発展させ、今なお獄中で闘い続ける大坂正明さんを絶対に取り戻そう。11・14弾圧との闘いに決着をつける爆発的な反戦の闘いを巻き起こそう。
 「星野さんを先頭にして闘った71年11・14の闘いは、沖縄の思いを本土で体現する闘いでした。その課題は今も続いています。53年目のペテン的返還のこの日は、71年当時の思いもこめて石破政権にたたきつけてほしいと思います。本格的な反戦闘争を今日をもって開始するという気概をもって闘いぬきましょう」(大坂正明さんの2025年5・15アピール)。
 星野・大坂闘争は沖縄の闘いと一つになることで輝きを増します。今日、沖縄闘争が米日の中国侵略戦争を許すのか否かをめぐる大決戦に突入する中、青年たちは「星野さん、大坂さんのように闘おう」と、社会にあふれる怒りを組織し、爆発的に反戦の闘いを拡大しています。大坂さんと団結し、安保・沖縄闘争と一体で実力奪還へ向かう闘いは、この社会の現実に怒り変革の闘いに燃える青年・学生・女性を獲得し、根底的な社会変革実現へ向かう最先端の闘いです。この道を進もう。
 大坂控訴審闘争は、破防法をも打ち破って闘いぬかれた安保・沖縄闘争をめぐる、今日まで続く国家権力と労働者民衆の死闘です。全力で反戦闘争を闘い戦時弾圧を打ち破ろう。一審判決粉砕へ、東京高裁に事実調べ(新たな証拠調べ)を迫る5000筆の署名を集めよう。裁判所を労働者民衆の怒りで揺るがし、大坂さんを絶対に奪還しよう。星野国賠に勝利しよう。
 11・14弾圧と闘い勝利する救援会へ、星野・大坂救援会は一つになって運動の飛躍と変革をかちとろう。
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救援会一体化で力は2乗に◇獄中の大坂正明さんのメッセージ
 星野さんの一審での大勝利は、強力な支援体制があればこその勝利でした。
 刑務所をはじめとするあらゆる収容施設での被収容者の死は、それがいかに理不尽な死であっても、大半がただの病死として葬り去られてきました。
 かろうじて国賠訴訟に持ち込むことができたとしても、有効な証拠を手に入れることができずに、ほとんどが敗訴となったのでした。またたとえ勝訴となっても冗談かと思うような少額の賠償金で済まされてしまいました。こうしたことが刑務所医療と国賠訴訟のこれまでの常識なのです。
 星野さんの場合は、強力な支援勢力によって国賠訴訟に持ち込むことができたし、多くの有効な証拠を手に入れることができました。それによってこれまでの常識を打ち破り、歴史的・画期的な勝利を勝ちとったのでした。
 ただこの判決は星野さんの勝利ではあっても、今後の全収容施設での医療の改善につながるのかという観点に立つと、私は改善にはつながらないと思っています。
 星野さんが亡くなるまでの過程で最も重要な点は、2018年に体調不良を訴えた時に、徳島刑務所がその原因を特定する必要な検査をすることなく放置したことにあります。そのことによってガンが巨大化したと考えられるのです。
 19年3月に行った検査は、星野さんが携わったカバン作りで危険な薬品を使っているために行われたということです。つまりガンだと判明したのはまったく偶然でしかなかったというわけです。
 18年に体調不良を訴えた時に原因をつきとめていれば、ガンは巨大化することなく、治療・手術ももっと容易だった可能性は非常に大きかったはずです。
 もし一審判決がこのまま確定したとしても、法務省はその対策として、収容施設での検査をいっそう減らし、それによって手術を極小化するでしょう。したがって判決で焦点が当てられた術後の看護体制も極小化するため、それならば容易にできるということになります。
 私は被収容者が体調不良を訴えた際には、社会一般で行われているレベルでの検査を義務付けることが収容施設での医療の改善の中心だと考えています。ですから星野さんの控訴審ではこの点をぜひ厳しく問うてほしいと願っています。
 日帝の中国侵略戦争のためには、医療界の再編も不可欠となります。戦争最前線を優先するためですが、その時は収容施設の医療は真っ先に切り捨てられます。こうした情勢下で日帝にとって一審判決はけっして認められるものではありません。
 星野さんの控訴審は直接的には医療問題ですが、本質的・根底的には日帝の戦争政策が問題となるのであり、そのため日帝との真っ向からの対決となります。これはまさに反戦闘争そのものです。したがって私たちにとっては一審判決の地平を守り、さらに全収容施設での医療の改善をかちとることは戦争を止めることに直結しているということです。だから私たちは負けるわけにはいきません。
 この国賠闘争は星野さんが遺してくれた大いなる遺産であり、また一審の勝利は、獄中闘争44年の重さがもたらしたものと言うことができます。そう考えるとあらためて厳粛な気持ちになります。
 今後、星野さんと私の支援が一体となると聞きました。これは力が2倍になるというより、2乗になるということでしょう。
 この一体化は星野さんが培ってきた闘う力を私に与えてくれるものであり、私には大変心強いものです。感謝とともに、大いに期待もしています。ともにがんばりましょう。
(東京拘置所在監)