フランス・パリで強制送還に怒る中高校1万2000人が街頭デモ
10月17日、フランスで移民系の少年少女2人が強制送還・国外退去されたことに抗議し、中高校生らが「フランスでの就学を認めよ」と主張し学校を封鎖、パリでは7000人が街頭デモを行った。さらに仏中部のアビニョンや西部のラロシェルでも闘いが広がった。翌18日には少なくとも全国で170校で学校閉鎖、休校・授業中止に追い込まれ、パリのデモは1万2000人にふくれ上がった。
発端は10月9日、東部ルビエに住んでいたレオナルダ・ディブラニさん(15)が、同級生らと学校行事に参加するため乗っていたスクールバスから警察によって連行された事件だ。彼女はその日のうちにコソボに強制送還された。イタリアで生まれたレオナルダさんは、2009年に家族とともにフランスに入国、ロマ族出身の家族はフランスで難民申請をしたが認められず、地元県知事の退去命令を受けていた。すでに父親はコソボに強制送還されていた。
さらに12日、パリの高校生、カチク・カチャトゥリアン君(19)がアルメニアに強制送還される事件が続き、高校生たちの怒りは抑え難いものとなった。
ペイヨン国民教育相は「学校は聖域であるべきだ。われわれは権利と人間性に基づいた指針を保持しなければならない」と強制送還に異を唱え、与党社会党のデジール第一書記らも「連れ戻すべきだ」と主張。オランド政権は手続きなどに問題がなかったか調査を強いられた。しかし、強制送還を指揮したバルス内相は、レオナルダさんとその両親、1歳~17歳のきょうだい5人の強制送還は正しい措置だったと反論した。治安対策で強硬姿勢を掲げるバルス内相は、右派のサルコジ前政権が進めたロマのキャンプ撤去と強制送還を公然と支持している。「人権重視」を掲げるオランド政権に対し、来年の欧州議会選に向けた世論調査では、右派の国民戦線が首位に立つなど、10%を超える失業率、雇用不安が高まる中、移民排斥の動きに拍車がかかっている。
高校生らの抗議行動に、オランド大統領は19日にテレビ演説を行い、「(強制送還は)適法」としつつ、家族を除く本人だけなら再入国を受け入れると発言した。この提案をレオナルダさんは即座に拒否し、家族とともにフランスに戻すことを要求した。オランド発言は怒りの火に油を注ぐものにしかならなかった。
18日、「教育を受けている若者の追放をやめろ!」「レオナルダとカクチを即時フランスに戻せ!」などのプラカードを掲げた1万2000人のデモ隊は午後1時、バスチーユ広場を出発し、ナシオン広場に向かった。このデモには高校生団体(FIDL)とともに教師組合(FSU)、フランス全学連(UNEF)、強制退去処分に反対するNGO団体「国境なき教育ネットワーク(Reseau education sans frontiere、RESF)などが立ち上がった。
これらの団体は来る11月5日、要求を貫徹するため、新たな大デモを呼びかけている。この動きに右翼の学生が反発を強める中、フランス全学連は大学内での討論を組織しようと活動を始めた。強制送還問題でオランド政権の「人権重視」の虚構が崩れる中、「生きさせろ!」の階級的怒りが爆発しようとしている。
時も同じ11・3、日比谷野音に集まり、在日・滞日外国人労働者、難民・仮放免者とひとつになってスクラムを組もう! 労働者の国際連帯の力で安倍政権を打倒しよう!(K)
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