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中国・南昌で外注委託の鉄道貨物労働者がスト 習政権の弾圧と真っ向から対決

20131025a-1.jpg 10月10日より、江西省南昌市の南昌駅の中国鉄道快速運輸で働く鉄道貨物労働者160人が、賃上げや社会保障制度の適用などの労働環境の改善を求めてストライキに突入し、12日間にわたるストライキを闘った。この期間中、南昌駅への、あるいは武漢や北京など南昌駅を経由して各地に送られる膨大な荷物が放置され運搬できなくなった。追いつめられた南昌鉄道局は解決の協議に入ったという。
 この背景には、3月に決定された中国鉄道の分割・民営化がある。この鉄道貨物労働者は、中国快速鉄道運輸の正式な労働者ではなく、外注請負会社である江西省龍力実業有限会社の委託労働者である。彼らはかつては、国営であった中国鉄道快速運輸に派遣され、賃金は江西省龍力実業有限会社から支払われ、実際の仕事は中国鉄道快速運輸の管理を受けていた。だが3月に中国鉄道の分割・民営化が決まり、それによって6月に鉄道貨物組織改革が行われた結果、状況が変わってしまった。 

 

 民営化で鉄道行政・管理を担当する「鉄道管理総局」と経営を担当する「中国鉄道総会社」が発足した。その結果、6月の鉄道貨物組織改革で、それまで中国鉄道快速運輸に所属していた貨物列車、倉庫などは鉄道局の管轄となり、一方で貨物トラックなどは鉄道総会社(ここでは中国鉄道快速運輸)の管轄になった。鉄道管理局は経営には携わらないが、鉄道や貨物運輸の資産や業務を管理するというのである。
 貨物の資産を管理するのは鉄道管理局だが、経営しているのは鉄道総会社である。さらに彼らを直接雇用しているのは、外注請負会社である。この結果、この外注会社からの委託労働者は誰の管理を受けているのか、逆に言えば労働者はその要求を誰に出したら良いのか、責任の所在が極めてあいまいな状態になってしまったのである。
 中国の鉄道貨物労働者は重労働であり、その数100万人を超えるが、その賃金は良くて3000~4000元(約4~5万円)で、社会保障も半分が受けていない。7月になって、この鉄道貨物労働者は賃上げや社会保障制度の適用、残業代などの改善を求めて鉄道管理局と中国鉄道快速運輸、さらに江西省龍力実業有限会社の3者に要求を提出した。だが3者は、お互いに責任をなすりつけるだけでなんら事態は進展しない。あげくの果てに江西省龍力実業有限会社は、この労働争議の責任を逃れるために、9月に入って今後は新たな外注請負契約を結ばないと南昌駅に通告してきた。この事態に怒りを燃やして、10月に、委託の貨物労働者160人はストライキに突入し、12日間にわたって闘いぬいたのだ。
 鉄道分割・民営化に対する労働者の決起が、非正規労働者を先頭にして爆発を開始した。それは日本の国鉄分割・民営化と闘う国鉄労働者、非正規労働者の闘いと完全に通じるものである。
 こうした労働者の決起は、習近平体制の下で今、激しく吹き荒れている弾圧と真っ向から対決するものとなっている。今中国では、ストライキ指導者である呉貴軍氏への150日にも及ぶ拘留(既報)をはじめ多くの労働運動活動家が逮捕・勾留されている。さらにデマを流したとして「新快報」(広東省の日刊紙)の劉虎氏、および陳永洲氏の2人の記者が続けて逮捕されている。人権派弁護士(三年前に資格剥奪の弾圧)である唐吉田氏も拘束された。こうした激しい弾圧に、呉貴軍氏奪還の国境を越えた闘いなど労働者の怒りが爆発している。「新快報」では10月23日の一面トップで陳永洲氏の釈放を訴える記事を、弾圧を恐れずに公然と掲載した。マスコミ労働者の決起も始まっている。
 鉄道労働者、非正規労働者をはじめ労働者が、習体制下での大弾圧と対決して、中国で陸続たる決起を開始している。「外注化阻止」「非正規職撤廃」「国鉄分割・民営化反対」は、中国の労働者の闘いと完全に一体のスローガンだ。11月集会へ、中国の労働者との連帯をもかけて、大結集を勝ち取ろう!(K)
【写真】不当逮捕された陳永洲氏の釈放を訴える「新快報」(10月23日付)の一面 

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