第3誘導路裁判、更新意見で成田騒音問題を徹底追及
5月18日、千葉地裁民事第3部(廣谷章雄裁判長)で第3誘導路裁判の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、天神峰の市東孝雄さんを追い出すことを目的に造られた第3誘導路への怒りも新たに、ともに闘った。
この日は左陪席裁判官の交代による更新手続きとして、弁護団が意見陳述を行った。
第3誘導路が造られたことで、市東さんの家と畑は2本の誘導路ではさみこまれ、目の前を走行するジェット機によって日々激烈な騒音と排気ガスを強制されている。この騒音は、日常生活にさまざまな支障をきたすだけでなく、人体に直接ダメージを与え深刻な健康被害・疾患をもたらすものだ。
成田の騒音は、WHO(世界保健機関)の基準をはるかに逸脱し、特に夜間騒音(午後10時から午前7時まで)が人体に与える影響では、厚木基地騒音被害の10倍以上になる。このことは、一昨年に反対同盟が行った市東さん宅周辺での騒音調査の結果を、北海道大学の松井利仁教授が分析した結果明らかになった。
羽田との競争でも敗勢に追い込まれ地盤沈下著しい成田空港が、企業のもうけのために、周辺住民に騒音地獄を強制し、農地を奪うことには一片の正当性もない。
裁判所は行政に無条件で追随する姿勢を改め、この騒音被害の実態を直視せよ。第3誘導路の使用を直ちにやめよ。
以上のような陳述が法廷を圧し、傍聴席からは拍手が起きた。弁護団はこの騒音問題での被告の国とNAAの居直りを許さず、松井教授の報告書を提出することを明らかにし、この日は閉廷となった。次回期日は7月7日。
千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に葉山岳夫弁護士が「具体的に騒音被害の実情を突きつけて、国とNAAを追いつめていく」と方向性を明らかにし、さらに弁護団が次々と、市東さんの農地を守る闘いと一体でこの裁判に勝利する決意を述べた。
質疑の中では、「第3誘導路を走行する飛行機は成田市公害防止条例規制対象にならない」とうそぶくNAAに批判が集中した。同条例が、施設を特定して騒音規制の対象としていることからこのような詭弁を弄しているわけだが、空港そのものが一つの「騒音工場」と見なされるべきことが確認された。
動労千葉の後藤俊哉さんと関西実行委が連帯発言を行い、最後に野戦病院の大熊寿年さんが、6月15日に千葉地裁民事第2部で開かれる市東さんの耕作権裁判弁論の重要性についてアピールした。この耕作権裁判はNAAの文書偽造にかかわる「文書提出」問題で2年半あまり中断していたが、この問題で市東さん側が完勝して再開を向かえる。東京高裁の農地法裁判控訴審と一体の重大な闘いであり、当日は早朝に千葉市デモを行って開廷に臨む方針が確認された。
報告集会終了後、反対同盟と支援連は、千葉市繁華街で、農地取り上げ反対3万人署名の街頭宣伝に立ち上がり、いよいよ目標3万筆達成への意気に燃えて、千葉市民に農地死守、安倍政権打倒を訴えた。(TN)
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