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鉄道計画の変更をめぐり四川省で数万人がデモ 警察隊との激突に発展

20150522a-1.jpg 5月16日、四川省広安市隣水県で、高速鉄道計画の変更に抗議して数万人のデモが爆発した。午前中に大規模デモが闘われ、午後には警察隊との激突となった。女子学生を含む3人が死亡し、多くの労働者・市民が負傷し、多数の逮捕者が出たという。政府側は死者が出たことを否定しているが、多くの負傷者の写真がネットで流れている。抗議行動は翌17日にも続き、数万人が再び街頭でデモをし、警察隊との激突が続いたといわれている。

 問題となったのは、高速鉄道計画の変更。本来隣水県を通る予定であ った高速鉄道計画について、広安市は5月7日に変更を発表、広安市(広安区)を通る西側コースに変えることにしたことである。隣水県は、“水運も飛行場も鉄道もない”ところであり、この高速鉄道のルート変更は地元の経済20150522a-2.jpgにとって致命的な意味を持つ。一方で広安市は鄧小平の出身地として知られており、経済の中心地であり、すでに交通の要所である。そこにさらに新たな高速鉄道が敷かれることになる。
 この事件の背後にあるのは、中国経済の崩壊と中国におけるすさまじい格差の問題である。中国のバブル経済の崩壊と金融恐慌の始まりの中で、中国スターリン主義は経済へのテコ入れを図るためにも、支配を維持していくためにも、今内外で鉄道の建設を進めている。国外 における鉄道建設は、アジアインフラ投資銀行設立と一体での“一帯一路”構想の推進、中国経済圏づくりへの武器となっているが、国内でもすさまじいスピードで鉄道網を整備している。中国政府の今年1~4月の鉄道建設への投資は、前年度比で22%増の1321億元(2兆3800億円)にも上っている。
 しかしこの鉄道建設、あるいはそれをテコとした経済政策は、一方ですさまじい格差社会を生み出し、20150522a-3.jpg富める地方と貧しい地方の経済格差を拡大している。そして鉄道は、豊かな地域に集中的に建設され、貧しい地方は切り捨てられるという傾向を示している。四川省は内陸部の省であり、全体的に見たとき経済的には後進地帯であり、その矛盾は当然にも労働者階級に集中し、実際に農民工を最も多 く排出している地方でもある。この「改革・開放」政策の中で生まれた四川省自身の経済的な貧しさと、さらにこの四川省の中での経済格差の拡大、とりわけ労働者階級の貧困化が、今回の事件につながっていると見ることができる。
 こうした現実は、今、日本のJRが進めている新幹線計画とも似ており、結局は貧しい地方はますます貧しくなり、格差が拡大し、切り捨てられていくのである。そしてその矛盾が最後には労働者に転嫁されていく。
 しかし同時に重要なことは、この事件は単なる経済をめぐる暴動にとどまらず、スターリン主義体制そのものを揺るがす怒りとして爆発していることである。このデモの本質は、そもそも中国スターリン主義の「改革・開放」政策(新自由主義)に対するの 怒りそのものである。一方でそうした中身を持つ数万人のデモ隊が路上をうめ、政府を包囲することは、スターリン主義にとって絶対に許すことができないことであった。だからその予想を超えたデモの拡大に恐怖した中国スターリン主義は、警察を動員して全力で弾圧し、死者や無数の負傷者、逮捕者を出したのである。
 かつて1911年に、帝国主義列強が中国清朝に迫って、粤漢鉄道など地方の鉄道を国有化させようとし、それに対して各地で激しい抵抗運動が起きた(保路運動)。この運動は最後には辛亥革命へと発展し、清朝の打倒へと至った。そしてその運動が最も激しかったのが、実は四川省であった。
 今回の四川省での高速鉄道の ルート変更への激しい抗議行動は、かつての“保路運動”を彷彿(ほうふつ)させ、中国スターリン主義の矛盾と破綻を露呈させている。そして、その打倒への展望がはらまれている。
 ここで決定的なのは、やはり中国の鉄道労働者の闘いであり、その団結である。そして同時にそれと結びついた中国全土の労働者階級の団結と闘いである。日本における動労総連合の結成は、中国の鉄道労働者をはじめとする労働者階級の闘いにも勝利の展望を与え、同時に韓国の鉄道労働者の闘いとも結びついた世界革命にむけた国際連帯を生み出すのである。
 6.7集会へ、動労総連合の結成へ、全力で闘おう!(K)

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