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カタルーニャ自治州の独立運動 バルセロナで50万人デモ スペイン政府の弾圧に反撃

市機能が完全停止
 10月18日、スペイン北東部カタルーニャ自治州の州都バルセロナでカタルーニャの独立を求める50万人デモが行われた。1975年の独裁者フランコの死後、民主化されたなかで最大のデモと言われる。ソーシャルメディアの呼びかけで学生、若者が市庁舎に座り込み、市の機能が完全に止まった。香港の闘いにならい、バルセロナ空港が占拠され、イベリア航空やアリタリア航空など数百便が欠航した。フランスに通じる高速道路もデモで封鎖された。
スペイン中央政府は戦闘警察隊を派遣し、デモ参加者に暴行を加え、数百人を逮捕。負傷者は1千人規模に及ぶ。これに対し24日、抗議する大衆が市中心部で警察隊に投石、警察署を焼き打ちし、炎上させた。激闘は1週間続いた。
 さらに分離主義の労働組合インテルシンディカレ―CSCなどの労働者がストライキで合流した。市の交通機関、公共サービスが停止、教育労働者の半数以上、大学職員の90%、商店の70%が呼応した。反「労働改革」、労働者の権利防衛を掲げて闘うバルセロナ港の労働者も加わった。
スペイン中央政府は「非常事態」導入を狙い、憲法155条に基づいて自治州政府の権限を停止し州自治すら奪おうとしている。
 「囚人を解放せよ」
デモの発端は、憲法裁判所が10月14日に独立運動指導者12人に下した超反動判決である。17年10月にカタルーニャ自治州政府が独立のための住民投票を扇動し、州予算を住民投票に支出した(公金不正支出)として有罪とした。判決は独立運動への中央政府の報復弾圧である。プチデモン前カタルーニャ自治州首相は投票結果に基づいて独立宣言を行ったとして訴追され、現在ベルギーに亡命中である。拘束中のジュンケラス前州副首相は国家扇動罪で禁錮13年、公職禁止とされた。
だが実際には独立は宣言されていない。自治州政府は住民投票の結果を背景に中央政府と交渉しようとしていたのだ。他の中心的活動家たち8人も国家反逆罪を免れたが、10年から12年半の禁錮刑を宣告された。
 新自由主義に反乱
11月10日のスペイン総選挙極右が台頭した。これはカタルーニャの運動を大きく左右する。カタルーニャではこれまで住民投票、州議会選で独立賛成、反対が拮抗(きっこう)してきた。10月27日、バルセロナで独立反対派が対抗的に数万人規模の集会を行った。
1930年代の内戦と40年に及ぶフランコ独裁による階級闘争圧殺と国際的孤立がスペイン帝国主義を今日まで規定している。フランコ死後、民主化と同時に新自由主義攻撃が始まった。スペインの国内総生産は欧州連合(EU)第5位だが、その経済構造は脆弱(ぜいじゃく)で、階級支配も不安定だ。07年に始まった世界金融大恐慌に直撃され、不動産バブルが崩壊、国家破産の危機に陥った。欧州中央銀行による09年の債務救済は、スペインに緊縮財政を強制し、大衆増税、社会保障切り捨てが行われた。20年度予算でも、健康保険、教育などの支出660億ユーロ(約8兆円)の削減がEU委員会から求められている。景気の後退と若年失業率4割という社会的危機から立ち直れていない。
こうしたなかで社会労働党(PSOE)と国民党(PP)による左右二大政党体制が15年に崩壊した。それ以来、安定政権が組織できていない。PSOEは4月の総選挙で第一党となったが、大衆迎合の少数政党と連立の合意ができず、今回の総選挙に至った。
他方、4月には少数だった極右VOXと右派PPが政治の行き詰まりとスペイン労働者階級の不満を背景に劇的に伸長した。これはイギリスのEU離脱問題、イタリアをはじめ欧州での極右の台頭と並び、EU解体=ヨーロッパ帝国主義の分裂の危機を示している。
 民族を超え連帯を
今回のカタルーニャ問題の直接の起点は、2006年の自治憲章制定をめぐる自治州政府と中央政府の対立である。10年のスペイン憲法裁判所の違憲判決は、民族自治の承認を基本とした78年憲法と自治憲章のブルジョア的精神を根本的に覆すことを意味した。これがカタルーニャの運動を「自治拡大」から「独立」へと進展させた。
今回の運動は民族問題にとどまらない。失業と格差社会に苦しむ青年労働者・
学生は、カタルーニャ民族会議(ANC)とオムニウム文化運動の呼びかけを超えて街頭に進出した。そして左右すべてのスペイン主要政党の反動性、社会労働党と旧共産党ポデモスの共闘がブルジョア支配の支柱であること、既成の体制内労働組合であるCC・OOとUGTが独立運動に背を向けていること、独立運動の背後にカタルーニャブルジョアジーと欧州資本がいることを明らかにした。スペイン内戦を乗り越え、カタルーニャとスペイン労働者階級の連帯を再構築することが急務となっている。

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