中国で自主労組結成の闘い 80人拘束、全土に怒りと支援
中国広東省深圳市にある、溶接器材などをつくる佳士科技有限会社で、自主労働組合結成の運動が今年5月から始まった。中国スターリン主義・深圳市当局と会社はこれを徹底的に弾圧し、7月以来、約80人の労働者と支援を拘束した。この弾圧に対し、中国全土で学生を先頭に抗議と支援の運動が不屈に広がっている。
佳士科技は5月に違法な罰金制度を開始し、サボタージュなどを口実にして余浚聡さんという労働者を解雇した。これに抗議した労働者が自主労組結成に向けて動き出し、全国的な共感を得た。
追いつめられた佳士科技と中国スターリン主義・深圳市当局は大弾圧に乗り出し、7月27日に労働者と支援30人、8月24日に支援の学生ら50人を拘束した。支援運動の先頭に立っていた沈夢雨さんも8月11日、正体不明の人物に連行された。
沈夢雨さんは、今年5月に日系・広州日弘機電有限会社(ホンダや日産の自動車部品をつくっている)を解雇されている。彼女は中山大学の大学院を卒業した修士だが、大学在学時に労働者の悲惨な状況を知り、自分たちは「既得利権者」ではないかと疑問を持ち、一介の現場女性労働者としてこの工場に就職した。
沈さんが広州日弘機電の工場で見た現実は、想像を超えるものだった。「作業場の温度は常に高温で、5月には暑さで耐えがたくなり、酷暑には35度が常温となり、場所によっては50度にも達する」「毒薬で汚染された職場」「仕事中に頻発する流産」……。
3月、沈さんは従来の工会(中国政府公認の御用労組)の指名ではなく、民主的な選挙によってこの工場の労働者側交渉代表に選出された。それは自主労組運動の萌芽であった。これに対し、会社は「職場の秩序を攪乱(かくらん)」したとして、5月に沈さんを解雇した。
その後、沈さんは佳士科技での自主労働組合結成を全力で支援し、その運動の先頭に立って闘った。そして7〜8月の大弾圧の過程で連行されたのである。
今回の弾圧は中国全土で広範な怒りを呼び、拘束者の釈放を求める署名運動が広がっている。釈放のための公開書簡もネットで公表され、中国スターリン主義の支配を揺るがす闘いに発展しようとしている。香港でも労働組合が支援の闘いに入った。自主労組結成の闘いは、今や中国全労働者の闘いに発展しようとしている。
アメリカ帝国主義と中国スターリン主義の泥沼の貿易戦争は、新たな世界戦争の時代の到来を告げている。だが同時に、中国でもアメリカでもこの社会を変える新たな労働運動の爆発が始まりつつある。中国での闘いも新たな段階に入った。中国労働者との連帯が求められている。
〔写真〕上:日系企業・広州日弘機電の工場の前に「違法なブラック企業」と書かれたTシャツを着て立つ沈夢雨さん
下:弾圧に抗議する香港の労働者集会
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