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三里塚耕作権裁判、顧問弁護団が圧巻の更新意見

20180904-a-1.jpg 9月3日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で耕作権裁判が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民70人は、成田空港会社(NAA)による天神峰・市東孝雄さんに対する農地強奪攻撃に怒りを燃やし、全力で闘い抜いた。
 午前9時、千葉市葭川(よしかわ)公園で太郎良陽一さんの司会で決起集会が始まった。最初に反対同盟事務局を代表して東峰の萩原富夫さんが発言した。「耕作権裁判は請求異議裁判と一体で、市東さんの農地を守る重要な闘いだ。成田空港会社(NAA)は農地強奪攻撃を進める一方、空港機能強化と称して第3滑走路建設や24時間空港化への動きを強めている。安倍政権の戦争・改憲攻撃に対し、三里塚は反戦闘争の先頭で闘う」
 続いて動労千葉の中村仁さんが、乗務員制度改悪攻撃を粉砕し、三里塚と連帯する決意を述べた。
 関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の発言に続き、伊藤信晴さんが決戦本部のアピールとして、9・27請求異議裁判、10・14三里塚全国総決起集会への大結集を呼びかけた。
 意気高くシュプレヒコールを上げて、反対同盟を先頭に市内デモに出発した。「強制収用実力阻止! 市東さんの農地を守ろう」の横断幕を高々と掲げ、デモ隊は力強く地裁に迫った。

20180904-a-2.jpg 午前10時30分に開廷。この日は左陪席裁判官の交代に伴い、顧問弁護団が更新意見陳述を行った。NAAが市東さんを「不法耕作の男」と決めつけ、土地明け渡しを求めて提訴して12年。逆にこの法廷でNAAを徹底的に追いつめてきた地平から、8点に要約して主張した。
 ①原告NAAは市東さんが耕す南台40、41の土地の所有権を取得していない。NAAは転用目的で旧地主から売買で土地を取得したとするが、実際には1988年当時において転用の計画も見込みもなく、小作者である市東東市さん(孝雄さんの父)に無断・秘密裏に行われた。農地法違反であり、売買契約は無効。NAAは土地の明け渡しを求める資格はない。
 ②NAAが土地特定の証拠として提出した「同意書」「境界確認書」は空港公団(NAAの前身)自身が作成した偽造文書である。そこに記された東市さんの署名・印鑑も偽造されたことは鑑定から明らかだ。NAAがこれらに関連する交渉記録などの文書を「一切存在しない」と言って隠していることが、偽造性を証明している。
 ③弁護団は、2011年に旧地主・藤﨑政吉から直接聴取を行った。その結果「同意書」「確認書」の土地の位置特定は事実に反することが明らかになった。
 ④原告は南台耕作地の一部が市東家の賃借地ではないと言うが、実際にはもともとの耕作者の移転・耕作放棄に伴い、東市さんが地主・藤﨑の承諾のもとで1972年から耕し、地代も支払い続けてきたものだ。92年に賃借権が時効取得されている。NAAは天神峰農地の一部について時効取得を認めており、南台においても認めない理由はない。
 ⑤市東家の賃借地の位置は、空港公団が強制収用のために作成した図面などにほぼ正しく書かれている。ところが本裁判においては「同意書」「確認書」に基づいて「認識が変わった」などと、まったく非合理的な主張をしている。
 ⑥反対同盟法対部のもとで活動していた元永修二氏は、市東東市さんから詳細な聞き取りを行って耕作地の地図・メモを作成した。これは信用性が高く、揺るがぬ証拠だ。
 ⑦原告NAAはこの裁判の中で確定した文書提出命令に従わず、「同意書」「確認書」作成に関連する交渉記録などは「一切存在しない」と居直っている。また一部が墨塗りされた文書の全面開示を拒否しているのはまったく不当だ。
 ⑧空港公団は、小泉よねさんに対する暴力的な行政代執行をはじめとした1期工事の空港建設の手法について「反省・謝罪」の姿勢を明らかにし、「今後は強制的手段はとらない」と社会的に確約した。ところが今こうして市東さんに対し、暴力的に追い出そうとしている。本件訴訟は訴権の濫用だ。代執行の非人間性は、「人間が自らの力で生きる」という誇りを奪うことにある。NAAの請求は直ちに棄却されるべきだ。
 弁護団は70分にわたる熱烈な陳述で市東さんの揺るぎない正しさを証明し、傍聴者は拍手で応えた。2人のNAA代理人、上野至と和田衛は自らの罪状の集大成を突きつけられ、終始落ち着きのない態度で時間が過ぎるのを待ち続けた。
 さらに弁護団は、時効取得の主張を補強する準備書面39を提出した。
 次回期日は11月19日、次々回は来年2月18日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館において、伊藤さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつし、「9月から秋に向かって正念場になると思います。みなさんの力をお借りしながらがんばります」と述べ、参加者の大きな拍手を受けた。
 続いて葉山岳夫弁護士が「耕作権裁判、やぐら裁判、請求異議裁判が関係しあって、農地強奪の強制執行を阻む力になっている」として、9月27日の請求異議裁判の最終弁論への意気込みを表した。さらに弁護団全員が決意を述べた。
 質疑応答をへて各支援党派などが発言し、いよいよ結審を迎える9・27請求異議裁判、そして10・14全国集会の大結集を誓い合った。
 午後に支援連は千葉市の繁華街での情宣活動に立ち、9月27日開廷前の提出へ向け、農地取り上げ強制執行に反対する署名を千葉市の労働者市民に訴えた。(TN)

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