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三里塚耕作権裁判、署名・印鑑の偽造を暴く

 20171121a-1.jpg11月20日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で、耕作権裁判の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民70人は、天神峰・市東孝雄さんの農地を死守する気概でともに闘い抜いた。
 午前9時、今年一番の寒気を突いて千葉市中央公園に集合し、太郎良陽一さんの司会で決起集会が始まった。
 反対同盟事務局を代表して、萩原富夫さんが発言に立った。「空港会社(NAA)は市東さんが祖父から受け継いだ土地を耕していることを”不法耕作”と決めつけ、農地を取り上げようとしている。証拠とされる文書は偽造で、裁判は11年も続いている。安倍の戦争政治を阻止するためにも、この裁判に必ず勝利しよう」と訴えた。
 続いて動労千葉の川崎昌浩書記長が連帯発言に立ち、安倍・トランプの戦争会談を弾劾し、反対同盟との労農連帯を強めて闘う決意を表した。
 さらに関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の発言を受け、意気高くシュプレヒコールを上げて、反対同盟を先頭に裁判所に迫るデモに出発した。宣伝カーからは婦人行動隊・宮本麻子さんが、半世紀を超す三里塚・農地死守の闘いの正義を、千葉市民に訴えた。

 午前10時30分開廷。この間NAAは、「同意書・境界確認書は偽造である」との弁護団の一貫した指摘に対し、「反論」を出してきた。これを徹底的に批判し粉砕する弁論が法廷を満たした。
 NAAは、「偽造してまで同意書などを作る意味はない」と動機を否定するが、まったくのうそだ。
 NAAの前身である空港公団は、旧地主から底地を密かに買収した上で、市東さんの小作権については千葉県収用委員会による収用採決によって強制代執行で奪うという方針を固めていた。その収用手続きには、土地所有者と関係者の署名・押印、実測平面図が添付された土地調書が必要だ。同意書を「偽造してまで作る」動機は十分にあった。
 そして筆跡が違う。1985年に東市さんは軽い脳梗塞を発症した。87年に裁判の宣誓書で書いた署名はその影響で、文字に震え状の乱れがある。同時期に書かれたとされる同意書・確認書の「市東東市」署名は乱れのない勢いのある字で、別人の筆跡だ。
 しかも今回新たな鑑定で判明したことは、同意書と確認書にそれぞれ書かれた住所・署名は、同一人が書いたものだが、書き癖が固定化しておらず、書きなれた自分の名前を書いたとは考えられない。つまり別人が東市さんの名前を書いたということだ。
 そしてNAAは新たに、90年2月に東市さんが代理人を通じて裁判所に提出した陳述書の署名・捺印を証拠として出し、特に「市東」の印鑑が同意書・確認書と同一だと主張している。だが、重ね合わせてよく鑑定すると、両者は別ものと判明した。原告NAAは印鑑まで偽造したことが明らかになったのだ!
 さらに弁護団は、71年の第2次強制代執行で大木よねさんの土地と家屋を強制収用したことの暴力性・犯罪性を突き出し、市東さんの農地に対して同じことを行うことは絶対に許されないことを厳しく指摘した。
20171121b-1.jpg 前回、弁護団は新たな「文書提出命令申立書」を提出した。以前に出された証拠(乙85)の墨塗り部分を含め、公団と旧地主、さらに小作者であった石橋、根本、鈴木各人との用地買収の交渉記録をすべて明らかにするよう求めるものだ。今回NAA代理人はまたしても、「そのような交渉記録は存在しない」との恥知らずなうそに終始した。裁判長から「作成しなかった理由」を問われても「ない」の一点張りでふてくされたような態度を取り、傍聴席からの弾劾を浴びた。
 弁護団は「存在しないはずがない!」と鋭く迫り、そこに敵の致命的な急所があることを重ねて明らかにした。
20171121c-1.jpg 次回期日を2月19日、次々回を5月14日として閉廷した。
 近くの会場で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。
 最初に市東さんがあいさつに立ち、「裁判長はこの裁判を早く終わらせたいという態度が明らか。みなさんと協力して闘う」と決意を述べた。さらに11月23日に文京区民センターで開かれる「市東さんの農地取り上げに反対する会」主催のシンポジウムへの参加を呼びかけた。
 続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団がこの日の法廷を振り返り、文書提出命令申立を簡単に却下させることなく、裁判長の拙速審理の策動を押し返したことを確認した。
 最後に伊藤さんが、「成田空港機能強化案」に対して説明会の場で住民とともに「絶対反対」を掲げて闘い、推進派の思惑に大打撃を与えていることを報告した。そして11・26天神峰カフェへの参加を呼びかけ、2017年の三里塚闘争を最後まで気を引き締めて闘いぬくことを、参加者全員で固く誓い合った。(TN)

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