動労総連合出向無効訴訟控訴審 即日結審をうち砕く 一審判決を鋭く弾劾
動労総連合出向無効確認訴訟の控訴審第1回口頭弁論が2月21日、東京高裁第11民事部(野山宏裁判長)で開かれた。この裁判は、JR東日本が12年10月に強行した車両の検査・修繕部門の外注化に伴い、外注先のJR子会社に強制的に出向させられた動労総連合の組合員が、出向の取り消しを求めてJRを訴えたものだ。昨年10月10日、東京地裁は原告の訴えをすべて退ける判決を出した。この超反動判決を覆すための控訴審がこの日から始まった。
JRは地裁段階と同様、大量の管理者を傍聴に動員した。裁判所とJRが即日結審を狙う中、法廷は冒頭から緊張感に包まれた。
動労千葉の関道利副委員長が意見陳述に立ち、不当きわまる一審判決を弾劾した。一審判決は、外注化がもたらした偽装請負を「違法性は重大でない」と容認し、就業規則に規定があれば本人同意なしに出向を強制できるとした。関副委員長は「判決は生身の人間が働いていることを無視している。本当に怒りを覚えた」と声を強めた。特に、動労千葉が外注先のCTS(千葉鉄道サービス)でストライキに立った際、JRはその日の業務はCTSに発注しなかったとしてJR側で業務を行いスト破りをした。これについて判決は、団結権侵害に当たるかどうかの判断から逃げている。関副委員長は「われわれのストライキ権はどうなるのか」と怒りを表した。
JRは一審が結審した後の昨年6月、60歳定年退職後に65歳まで再雇用されるエルダー社員について、原則として関連会社に出向させるが、JR本体に配置することもあるという提案を出してきた。関副委員長はこの事実を指摘し、「エルダー社員の雇用の場の確保が外注化の目的」としてきた会社の主張は崩れたことを鋭く突いた。そして、外注化と出向を無効とする判決を出すよう、裁判長に迫った。
原告代理人の各弁護士も、定年まで続く出向は実質的な転籍であり、それを本人同意もなく就業規則で強制できるとした一審反動判決を徹底批判する論陣を張った。
いたたまれなくなったJR側代理人は、「出向後も仕事は前と同じ。原告の不利益は通常の配転より少ない」と口走った。法廷に怒りがみなぎった。通常の配転と同じなら、なぜ業務を外注化し、労働者を出向させる必要があるのか。
原告代理人は、JRの言い分への反論をさらに重ねたいと要求し、動労千葉の川崎昌浩書記長と、エルダー業務の範囲拡大提案に関与した本社人事部幹部の証人尋問を強く求めた。原告・弁護団・傍聴者が一体となった迫力の前に、裁判長は5月11日の次回期日を設定せざるを得なくなった。即日結審の策動は打ち破られた。
裁判後の総括集会では、この勝利とともに、JRの外注化・分社化攻撃の核心部を撃つ裁判闘争の重要性をあらためて確認した。そして、JR総連・東労組の最後的解体に踏み込んでも第3の分割・民営化を強行しようとしているJRとの歴史的攻防が始まったことを見据え、決戦突入の決意を固めた。
〔写真〕控訴審口頭弁論に先立ち、原告の動労総連合組合員を先頭にシュプレヒコール(2月21日
東京高裁前)
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