10・14三里塚全国総決起集会―「農地死守・安倍打倒! 12・20判決勝利へ」
10月14日、三里塚芝山連合空港反対同盟の主催で全国総決起集会が開かれ、全国の労働者・農民・学生・市民680人が結集した。「農地死守」「安倍政権打倒」の決意を込めて、市東孝雄さんの天神峰と南台の農地を往復するデモ行進を行った。
集会会場の東峰・萩原さんの畑には、小雨を突いて午前から続々と参加者が駆けつけた。開拓組合道路とともにこの場所もまた、成田空港が奪いたくても奪えなかった「未買収地」だ。B滑走路につながる誘導路によって東西から挟まれ、、目の前をジェット機が騒音を発してひっきりなしに走行している。隣接する機動隊宿舎の屋上では、警察が監視している。
本集会を前に、全国労組交流センターと全学連の独自集会が開かれ、労農学連帯の地熱を高めた。
正午に開会。最初に前半の司会を務める北原健一さんが、開会あいさつを行った。第3滑走路建設の攻撃に対し地域住民が反撃に立ち上がっていることを報告し、さらに反対同盟は動労千葉と全学連との共闘関係を一層強固に作り上げ、改憲と戦争を許さず、市東さんの農地を守ることを宣言した。
萩原富夫さんが基調報告を3点にまとめて行った。
①請求異議裁判の勝利判決をかちとろう。9月27日、市東さんの最終意見と弁護団の最終弁論で結審した。12月20日の判決日に勝利判決を出させるために、この2カ月が勝負。11月19日の耕作権裁判で地裁包囲行動を行う。署名、要望書を同盟に集中して結集してほしい。
②空港機能強化粉砕へ住民とともに闘おう。用地買収の同意書のとりつけ、ボーリング調査などが始まっている。住民と怒りを共有し、第3滑走路建設を阻止し、軍事空港づくりを粉砕しよう。
③改憲を阻止し安倍政権を打倒しよう。安倍政権は労働法制を改悪し、農業と地方を切り捨て、改憲と戦争へ突き進んでいる。沖縄・福島と連帯し、辺野古新基地阻止、全原発廃炉へ闘おう。
最後に萩原さんは、最近他界した関西実行委世話人の山本善偉氏と中核派現闘の小山衛一同志への追悼として、闘争歌「ケサラ」をアカペラで歌い上げた。基調報告が歌で締めくくられたのは、史上初の快挙だろう。
連帯のあいさつの最初に、動労千葉の田中康宏委員長が立った。市東さんの農地の強奪を絶対に許さない決意を固めることを全参加者に強く呼びかけた上で、危機でガタガタの安倍を見すえ、武装解除せず、改憲発議を許さず政権を打ち倒すことが必要だと強調した。そのために階級的労働運動の復権をかけて、日比谷野音での11・4労働者総決起集会・改憲阻止1万人大行進への結集を訴えた。そして反対同盟の実力闘争の思想に学び、JR不当解雇の責任をとことん追及することを宣言した。
関実のあいさつに続き、権力の不当な弾圧と闘いぬく全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の連帯メッセージが読み上げられた。
市東孝雄さんが登壇すると大きな歓声が湧き、報道のカメラが殺到した。市東さんは、12月20日に請求異議裁判の不当判決を出させないため、ともに闘うことを呼びかけた。そして「農家にとって農地を取られることは、命を取られること。私もがんばります。反対同盟ここにありという闘いをする」と胸を張った。この揺るぎなく鮮明な決意に、参加者全員が惜しみない拍手を送った。
続いて反対同盟顧問弁護団が登壇し発言した。事務局長の葉山岳夫弁護士は、請求異議裁判での勝利的展開を報告し、これを実際の勝利判決に結実させるのは今からの闘いにかかっていることを強調し、奮起を促した。
「市東さんの農地取り上げに反対する会」と各地の「農地を守る会」が演壇に並び発言した。群馬・市東さんの農地を守る会の清水彰二・群馬合同労組委員長は9月16日に高崎で開いた三里塚集会の成功を報告した。
全国農民会議が緑色ののぼりを林立させて登壇した。小川浩共同代表は、安倍農政のもとで切り捨てられようとしている日本農業の現実を鋭く暴き、農民が生きていく道は市東さんの農地を守り、安倍打倒の闘いに立ち上がることと強調した。さらに岡山支部の内藤大一さんが、西日本豪雨災害での安倍政権の責任を追及し、自治労倉敷市職員組合と連帯して闘う決意を述べた。
福島の椎名千恵子さんは、復興庁による「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」の名で行われている被曝の強制攻撃を弾劾し、福島と三里塚の勝利が一体であることを訴えた。沖縄からは川野純治・名護市議会議員が、県知事選挙勝利の報告をした。
婦人行動隊・木内敦子さんが熱烈なカンパアピールを行い、そのまま後半の司会を務めた。
「若狭の原発を考える会」の連帯メッセージ紹介に続き、全国水平同盟、婦人民主クラブ全国協議会、都政を革新する会、星野さんをとり戻そう全国再審連絡会議などが次々と発言した。都革新は北島邦彦事務局長とともに洞口朋子さんが登壇し、来年4月の杉並区議選に立候補する決意を表明して会場を沸かせた。
連帯発言のしんがりに動労水戸の石井真一委員長が立った。被曝強制の常磐線全線開通攻撃に対し、翌日の15日にJR東日本本社への抗議行動に、16~17日には特急車掌1人乗務化と水郡線のワンマン運転拡大に反対してストに立つことを明らかにした。
決戦本部長の太郎良陽一さんが11・19千葉地裁包囲闘争への結集を要請し、さらに強制執行の攻撃がかけられた時は全国から直ちにこの地へと駆けつけることを訴えた。
事務局の伊藤信晴さんが、スローガン採択とデモコースの説明を行い、最後に全参加者で大地を揺るがす力強い団結ガンバローを三唱し、デモに出発した。
旧小見川県道に出ると、目前に市東さんの天神峰農地が広がっている。一角には「強制収用実力阻止/第3滑走路粉砕!」の看板が堂々と建っている。
大量動員された機動隊と私服警察官の規制・威嚇にひるむことなく、デモ隊は長蛇の列となって第3誘導路をくぐるトンネルを進撃した。宣伝カーからは婦人行動隊の宮本麻子さんが、農地を守りぬく反対同盟のアピールを一帯に響かせた。
交差点を北上し、デモの中間地点である市東さんの南台農地に到着した。誘導路をへの字に曲げているこの場所に、丹精込めて育ててられた野菜の畝が美しい模様を描いている。完全無農薬で育てられた自慢の有機野菜だ。多くの参加者が市東さんに作物の種類や出来を尋ねると、市東さんはていねいに応じる。
ここで十分な時間をとった上で再出発し、集会場までの往復デモを貫徹した。
天神峰と南台、市東さんの二か所の畑の存在感が全参加者の胸に深く刻まれた。ここには3代100年耕してきた市東家の揺るぎない耕作権がある。絶対に奪われてなるものか!
(TN)
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