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動労総連合出向訴訟で反動判決 「就業規則は万能」の宣告に怒り

判決の言い渡しに先立ち、動労総連合の組合員と支援は「出向無効の判決を出せ」「JRは外注化をやめろ」と東京高裁に向けてシュプレヒコールをたたきつけた(5月10日)

動労総連合強制出向無効確認訴訟の控訴審判決が5月10日、東京高裁第11民事部(野山宏裁判長)から出された。
この裁判は、車両の検査・修繕業務の外注化に伴い動労総連合の組合員に強制された外注先への出向の取り消しを求めて起こされた。2017年10月に出された一審判決は、外注化と強制出向を全面的に容認する反動判決だった。
動労総連合は、これを覆すために控訴審を闘ってきた。だが、東京高裁は一切の事実調べを拒否した上、一審判決をなぞっただけの反動判決を出してきた。
出向に必要性ありと理由もなく強弁
原告はこの裁判で、外注化と出向には何の必要性も合理性もないと主張した。これに対して判決は、JRの言い分を丸のみして、外注化にも出向にも必要性・合理性があると強弁した。しかし、そう判断した理由について「前項で述べたとおり」としながら、その「前項」にあたる部分がどこにもない。まさにずさんきわまる判決だ。
 原告はまた、「出向期間は原則3年」とされているにもかかわらず、出向命令が何度も更新され永久出向となっていることを「事実上の転籍」と弾劾した。それについて判決は、JRとの雇用契約が形式上は維持されていることだけを理由に、原告の主張を全面的に否定した。就業規則に「出向を命じることができる」と書いてありさえすれば、労働者をどう使い回しても構わないというのだ。
裁判所はこれまで、労働者の訴えを退ける判決を出す場合でも、資本の経営状態やそれに照らした施策の必要性と、労働者がこうむる不利益とを比較考量するという建前はとってきた。それすらかなぐり捨て、資本に万能の支配権を与えたのが今回の判決だ。
労働者の誇り奪うJRの攻撃と一体
控訴審判決はさらに、一審判決後に定年を迎え、エルダー(再雇用)社員になった原告について、一審での棄却判決をさらに反動的に変更し、却下とした。定年まで出向を強いられ、最も不利益をこうむった原告に「訴えの利益がない」と言い放ち、裁判を起こす権利さえ否定したのだ。
JRは運転士・車掌の廃止提案で、同じ仕事を10年以上はさせないとし、多数の労働者を好き勝手に異動させようとしている。それは、鉄道業務の全面的な外注化と、外注先への転籍強要に至るものだ。この攻撃を貫徹するために、今回の判決は出されたのだ。
 6・9の大結集を突破口に反撃する
法廷では、主文を読み上げて逃げるように立ち去る裁判官に、激しい怒りの声がたたきつけられた。
裁判後の総括集会で動労総連合は、外注化に立ちはだかってきたこの裁判の意義を改めて確認した。そして、今回の判決が示す労働者支配の歴史的転換を見据え、これを機に一気に始まる検修部門の外注化にさらに強く反撃すること、6・9国鉄集会への大結集に向けて総力を挙げることを誓い合った。

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