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三里塚耕作権裁判・新やぐら裁判―元公団3人の証人調べを求める

耕作権裁判開廷を前に、「農地死守」を訴えて千葉市の繁華街をデモする反対同盟(10月28日)

10月28日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で耕作権裁判と新やぐら裁判が連続して開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民80人は、天神峰・市東孝雄さんの農地を守りぬく固い決意で共に闘いぬいた。
開廷を前に午前9時から、千葉市中央公園で決起集会が太郎良陽一さんの司会で開かれた。
最初に反対同盟事務局を代表して東峰の萩原富夫さんが発言に立った。前日の27日の天神峰カフェに、星野暁子さんをはじめ星野全国再審連絡会議の人びとが多数参加し、市東さんの天神峰畑の一角に立つ「星の木」のもとに星野文昭さんの分骨を行って「農地死守」を誓い合ったことを報告した。そして、NAA(成田空港会社)による違法・不当を一層暴いて耕作権裁判に勝利することを訴え、12月14日(土)に天神峰で「現地闘争&団結いも煮会」を開催することを明らかにした。
続いて動労千葉の川崎昌浩書記長があいさつに立ち、相次ぐ災害の中でJRにおける復旧体制の崩壊が暴かれたことに警鐘を鳴らし、目前に迫った11・3全国労働者総決起集会への大結集を訴えた。
さらに関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会、市東さんの農地を守る沖縄の会のあいさつを受けた後、シュプレヒコールを上げて反対同盟を先頭に市内デモに出発した。
地裁へ向けて行進する力強いデモには、出勤途上の労働者や地元の商店から熱い視線が注がれた。婦人行動隊・宮本麻子さんは宣伝カーに乗り込み、農地を守る訴えを響かせた。

☆耕作権裁判

千葉地裁民事第2部・内田博久裁判長

10時30分、耕作権裁判が開廷。文書提出命令をめぐる攻防で2月以来2回の法廷が取り消されてきたが、今回は陪席裁判官の交代に伴う更新手続きとして弁護団が意見陳述を行った。
この裁判では、市東さんの南台の耕作地の一部をNAAが「不法耕作」と決めつけて市東さんに明け渡しを求めているが、実際にはその土地は市東家が戦前から賃借し耕してきた土地であり、まったくの言いがかりだ。NAAによる土地の位置特定はデタラメである。「南台41―9」について、NAAはさんざん「賃借地だ」と決めつけてきたのに、実際には市東家がそこを一度も耕作したことがないことが明らかになると、この「41―9」の部分だけを訴えから取り下げるというデタラメを行った。こんな違法は許されない。農地法裁判ではそれを不問に付したまま最高裁で反動判決が確定したが、この耕作権裁判ではここで徹底的に争う意志を突きつけた。
次回期日は2月3日、次々回は5月18日と確認した。

☆新やぐら裁判
続いて新やぐら裁判に入った。同じ裁判長で同じ法廷だが、被告席には市東さんに替わり萩原さんが座る。この裁判は市東さんの天神峰農地に建つ反対同盟所有のヤグラ・看板などの4つの物件について、NAAが「収去と土地の明け渡し」を求めて提訴したもの。だがそもそも、NAAが「旧地主から土地を取得した」としていることが、とんでもない違法・無効であることが重大争点だ。
弁護団はすでに「敵性証人の必要性に関する意見書」を提出し、この中で①法理哲二(元空港公団用地部用地課長代理)、②浅子直樹(元公団用地部長)、③黒野匡彦(元空港公団総裁)の3人の証人調べが絶対に必要であることを述べている。
法理は旧地主との土地の買収交渉を直接担った人物で、浅子は買収当時用地部の要職にあったことが推察される者だ。その交渉の具体的中身を解明する上で、証言は必要不可欠だ。
黒野元空港公団総裁は、04年にNAA社長に就任し、05年には東峰地区に宛てて「謝罪」の手紙を送った。「用地取得のために今後は強制的手段は二度ととらない」と社会的に公言した空港公団=NAAの最高責任者であり、その確約の真意を問いただされてしかるべき者だ。
ところが原告NAAは、「事実関係には原告・被告の間で争いがないから証人として必要ない」などと主張している。冗談ではない! いずれも事実関係に重大な争いがあり、それに基づいた土地買収の違法・無効を証明するために聞くべきことが山ほどある。
問題は、内田裁判長の訴訟指揮だ。
内田は8月の進行協議で「すでに農地裁判で判決が確定していることを前提とすれば、敵性証人の採用は困難」との見解を漏らし、露骨にNAAに肩入れしている。そして実際の採否を「10月30日の進行協議で双方の意見を聞いて判断する」とし、今後の証人調べの期日として12月16日、1月22日、同30日の3回分の法廷を確保したなどと言う。
はじめから「3人不採用」の結論ありきの姿勢が見え見えだ。弁護団が次々に立って徹底的に弾劾した。まさにその「確定判決」の誤りを追及しているのだ。傍聴席からも怒りの声が次々と裁判長にたたきつけられ騒然となった。
萩原富夫さんも被告席から挙手し、「われわれは密室で行われる進行協議に参加できない。この場で具体的に、裁判長の見解を明らかせよ!」と一喝した。
内田裁判長は動揺を深め応答不能になり、突如強引に閉廷を宣した。「ふざけるな!」と傍聴者の怒りが重ねて爆発し、抗議の声が法廷に充満し続けた。市東さんが「原告としてちゃんと文書を出したらどうだ」とNAA代理人に迫ると、彼らは「いや、出してるんですけど……」などとつぶやいてその場から逃げ出した。

☆報告集会

報告集会で闘いの決意を述べる市東孝雄さん(左)と葉山岳夫弁護士

千葉県教育会館で、裁判報告集会が伊藤信晴さんの司会で開かれた。
最初に市東さんがあいさつに立った。「今日は、どっちが被告か分からないくらい裁判所とNAAを押し込んだ。原告の資格が問われるようなこんな裁判は取り下げろと言いたい。早く終わらせたいという向こうの意図を許さず、一層徹底的に追いつめよう」と訴えて大きな拍手が湧いた。
葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が発言に立ち、東京高裁にかかる請求異議控訴審と一体で市東さんをの農地を守る裁判闘争に勝利する決意と展望を表した。
最後に萩原さんが、「昨日から成田空港A滑走路で、発着時間を午後11時までから午前0時までへと1時間の延長を強行した。住民の生活を踏みにじる空港機能強化策を許さず闘っていこう」と決意を述べ、再度12・14現地闘争への結集を呼びかけ、この日の闘いを締めくくった。(TN)

「元空港公団の3人」の証人採用を求めて弁護団・傍聴席が一体で闘った熱気もそのまま、報告集会がかちとられた(10月28日 千葉市)

☆スケジュール
11・3全国労働者総決起集会/改憲阻止!1万人行進
11月3日正午開会 東京・日比谷野外音楽堂
(反対同盟も発言を予定)
主催・動労千葉ほか

11・9市東さんの会シンポジウム
「どこかおかしくないか? 大きく『間違っている』のじゃないか!」
11月9日(土)午後1時15分開場 1時30分開始
文京区民センター(東京都文京区本郷4丁目)
主催 市東さんの農地取り上げに反対する会

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