「命の選別」許さない 洞口杉並区議が臨時会で区長を追及
1月26日の杉並区議会第1回臨時会で、洞口朋子区議(都政を革新する会)が述べた意見の一部を紹介します。(編集局)
補正予算第11号に反対の意見を述べます。
一つに、都立病院の独立行政法人化についてです。杉並保健所長は第3回定例会での一般質問への答弁で「都民に対し、高水準で専門性の高い医療を確実に提供できるよう、都の取り組みを見守っていく」と述べました。「高水準で専門性の高い医療」とは小池都知事の言う「稼ぐ東京」であり、医療を金もうけの対象にするということです。こんなことを進める小池都知事も、それに反対しない田中区長も同罪です。
二つに、田中区長の1月11日付「文春オンライン」での、「都知事が『命の選択』の責任をとれ」という主張です。田中区長は次のように述べています。
「人工呼吸器やエクモといった医療資源、これを扱う医療従事者には限りがあります。患者がどっと押し寄せると足りなくなる。その場合には、治癒が期待できる人を優先すべきだ、というのがトリアージの考え方です。『命の選別』に当たるとして反対する人もいます。しかし、きれいごとでは済まない現実が目前に迫っています。戦場や災害現場と同じ状況に陥りつつあるのです。そうした時に『この人から人工呼吸器を外して、あの人に付けないといけない』という判断を現場の医者に押しつけていいのか」
「優先して救うべき命」と「後回しにする命」を判断するトリアージは、必ず「価値のある命」と「価値のない命」の選別につながります。実際にトリアージで何が起きるかは、石原伸晃衆議院議員を見ればよく分かります。東京で1万人以上のコロナ陽性者が健康保険料を払っているにもかかわらず入院すらできない状況の中で、与党国会議員であるというだけでただちに入院できた。まさに「金目」による命の選別です。
この資本主義社会では、金持ちから優先的に治療を受けられるという厳然たる事実がある。だからこそ都立病院の独法化を今すぐ中止し、公的医療を拡大し、医療従事者を全面的に支援すべきなのです。医療とは社会保障であり、すべての人が差別なく受けられるべきものです。田中区長が唱える「都が命の選択の責任を」の主張こそ、必死にコロナ感染と闘っている医療従事者すべての思いを踏みにじるものです。
三つに、東京オリンピックについてです。今こそ、ただちにオリンピック・パラリンピックを中止し、「ヒト・モノ・カネ」のすべてをコロナ感染対策(とりわけ医療従事者への支援)に回すべきです。
結論を述べます。すべての関連予算をコロナ感染症対策、休業補償、生活保障に回すべきです。阿佐ケ谷などの再開発事業なんてやっている場合ではありません。具体的方策を示さず、ワクチン接種や河北病院でのクラスターへの後追い的な対応でしかない今回の補正予算に反対します。
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