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三里塚、会場貸し出し拒否撤回の大勝利―芝山町議会で「相川前町長の違法」が確定

芝山町議会閉会後、記者の取材を受ける審査請求人の伊藤信晴さん(2月16日 芝山町役場前 反対同盟ブログより)

三里塚芝山連合空港反対同盟は、昨年3月の芝山町の集会場貸し出し拒否問題をめぐる1年余の闘いで、ついに相川勝重町長(当時)の集会妨害と言論弾圧の攻撃を完全に粉砕し、処分の違法を認めさせる大勝利をかちとった。
2月16日に開かれた芝山町議会臨時会で、審査請求を承認する裁決のための諮問第1号、「芝山文化センター使用申請却下処分は地方自治法に違反する処分であり、取り消す。裁決に合わせ、本件申請を承認又は条件を付して承認するよう命ずる」が、認められた。
この日、反対同盟の伊藤信晴さんと支援連絡会議の仲間多数は、議会を傍聴した。
麻生孝之町長は、予算に関する3つの議案を提起した後、諮問第1号を読み上げた。裁決の根拠は、「使用申請却下は、地方自治法第244号第2項〈正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない〉に違反すると判断したたため」。
質疑、討論が促されたが、議員は誰一人応ずることなく、直ちに採決に移り賛成8、反対3、欠席1で承認。相川

芝山町議会で「会場貸し出し拒否」問題での諮問採決の起立。「施設貸し出し拒否は地方自治法違反。貸し出し申請を認めよ」(2月16日 反対同盟ブログより)

の会場貸し出し拒否が「違法」として公的に確定した瞬間だ。
閉会後、伊藤さんはマスコミの取材に取り囲まれた。「却下取り消しは当然のこと、ただ、結論を出すまであまりにも長い。相川前町長が辞めるまで引き延ばしていたとも言える。非常にずさんででたらめな行政が行われていたということ」とコメントした。
この処分撤回の勝利を受け、夕方に開かれた反対同盟事務局会議で改めて、3月の芝山現地闘争は芝山文化センターで集会を行うことを確認した。
翌朝の新聞報道で知った住民から、勝利を喜ぶ声が反対同盟に多数寄せられた。(N)

★これまでの経緯
昨年1月15日、伊藤さんは反対同盟主催で成田空港機能強化反対を呼びかける3月集会を開くために芝山文化センターの使用申請を行った。これに対し、「芝山町の中心部で空港反対派が集会をすると近隣住民が不安に思う」「成田空港をめぐるこれまでの経緯に鑑み、貴団体(反対同盟)が本行事を行うことにより、文化センターの管理運営に不安生じる」などとして、町はこれを却下した。

2021年3・27芝山現地闘争。雨を突いて町縦断のデモ=上。町役場を包囲してシュプレヒコール=下

3月10日、このあまりにも露骨な言論弾圧、集会妨害に対し怒りに燃え、反対同盟は相川町長宛に却下理由を明らかにするよう申入書を提出し、同時に伊藤さんが行政不服審査法にもとづき却下処分の取り消しを求める審査請求を行った。
町は3月26日、申入書への回答として、「成田空港をめぐる経緯」とは、①1984年3月の芝町議会での議場乱入事件、②2017年の「貴団体関係者と思われる人物の偽名での町議会傍聴」と説明した。また「管理運営に生じる不安」として「施設の破損」「新型コロナ感染」などを挙げた。どれもこれもとんでもない言いがかりの数々だ。
①の「議場乱入事件」とは何か。
84年の芝山町3月定例議会での「成田二期工事促進決議」採決に対して、反対同盟(北原派)は、猛抗議し撤回を求めて闘ったが、大量の警察・機動隊によって近づくことさえ阻まれ、議会内に入れたのは鈴木幸司町議会議員だけだった。一方、83年3・8分裂で反対同盟から脱落した「熱田派」は、町議の相川本人と石毛博道と共謀して、石井新二がドアを蹴破って議場に乱入。つまり、厚顔無恥にも相川は、自らが首謀者である事件を持ち出して、反対同盟への会場貸し出しを拒否したのだ。

口頭意見陳述の傍聴を拒む芝山町に対して反対同盟が猛抗議(2021年9月16日)

3月28日、反対同盟の主催で成田空港機能強化に反対する芝山現地闘争が闘われ、280人の労働者・農民・学生・市民が結集した。悪天候を突いて芝山町を縦断するデモ行進を行い、町役場に相川町長を弾劾する怒りのシュプレヒコールを叩きつけた。
6月18日、芝山町に反論書を提出。
9月16日、芝山町役場南庁舎で審査請求の口頭意見陳述を、反対同盟の伊藤信晴さんと太郎良陽一さんが行った。傍聴を認めない密室の中ではあったが、2人は2時間近く堂々と貸し出し拒否の不当とその撤回を訴えた。また、同じ「反対同盟」を名乗っていても、会場貸し出しを申請した自分たちと熱田派が、まったく別団体であることについて、審理員がまったく認識を欠如していることを厳しく指摘した。
12月6日、審理員は「使用申請却下処分は取り消されるべき」との意見書を山武郡広域行政組合(上級審査会)に提出した。同日、相川町長は6期24年の任期を満了し退任。「相川に違法の責任を直接問わない」というタイミングであることは明らかだ。
そして、山武郡行政組合は芝山町に「審査請求についての町議会での諮問、裁決」を求め、本年2月16日の芝山町議会臨時会での採決にいたる。

伊藤信晴さんの勝利の談話―「3・27集会、芝山文化センターに集まろう」
芝山町議会が相川前町長の処分の違法を認め、文化センターの使用承認を勝ちとりました。ご支援、ご協力ありがとうございました。

会心の笑みで勝利の報告をする反対同盟事務局員・伊藤信晴さん

もともと相川は、闘争前半は郷土を守るんだと一生懸命反対運動をやっていました。3・8分裂で脱落した後でも、84年3月定例議会での「成田二期工事促進決議」の強行採決に対してはマイクを引きちぎって反対。石井新二はドアを蹴破り議場に乱入して起訴され、相川は熱田派の集会で新二の獄中からのメッセージを読み上げたと「救援」にも出ている。だけど、自分たちの限界を感じ空港と共に生きるしかないと変質していきます。
ソ連崩壊で時代は転換した、今こそ国と手打ちだと石毛博道なんかが言って、政府、公団と同席するシンポ・円卓会議開催へ突っ走った。強制収用をしないと言わせた、国の横暴を正したなんて自慢しながら、これからは空港と共生共栄だと完全に闘争をやめ、ついには空港推進の町長へ。
羽田の再国際化が一つの契機になって成田没落への強い危機感が彼らに生まれた。せっかく空港と共生共栄へと舵を切ったのに空港がなくなっちゃったらダメだ。むしろ、機能強化で空港を拡張し、完成させようと。使いやすい空港にすることで生き延びようと。そうすれば固定資産税は入るし、交付金は増える。これが芝山を守る道であり、それ以外は一切認めないとなった。転倒しているんです。それが相川が会場貸し出しを拒否した直接的な背景ですね。
相川や新二らは、「おれらが一番闘ったんだ」という自負があるのでしょう。「おれたちが諦めたのに、いつまで反対しているのか」と。反対同盟が闘い続けている限り、国に屈服した裏切者という烙印(らくいん)は町長になっても消えないからこそ、反対同盟をつぶしたいんです。

相川勝重前町長。「反対同盟の町議会議員」から転向し、「空港との共生」を主張して6期24年間町長を務め2021年に退任

だけど、国がやることはすべて正しいわけじゃない。国の誤りの最たるものが戦争。今、岸田政権のもとで、改憲・戦争へと進もうとしている。相川町長がやったことは本質的には戦争動員のための治安弾圧です。戦争に反対するものは非国民であり会場も貸さないと。
逆に言えば、今回この攻撃を打ち破ったことで、行政のやることでも闘って変えられることを示した。24年町長に居座った相川を引きずりおろした。これは、空港機能強化を受け入れた4者協議会(NAA・国・県・地元9市町の首長)の一角を崩す力になったという点でも大きな勝利です。
今や住民の側から「今空港を作るような状況じゃない。日本が財政が破綻している中で、さらにデタラメな金の無駄遣いをするのか。これ以上住民を苦しめるのはもってのほか。今や国は成田の軍事利用を考えているのでは」という声が出てきています。市東孝雄さんの農地を守り不屈に闘い続ける反対同盟の存在が、周辺で立ち上がろうとしている人たちにも勇気を与えているんです。
われわれの生きる道は絶対反対・実力闘争で資本の論理を突き破り、資本主義・新自由主義を打倒する中にあります。3・27の会場は芝山文化センターです。大結集をお願いします。

スケジュール 
◎団結街道裁判 3月8日(火)午前10時30分開廷 千葉地裁
◎新やぐら裁判控訴審 3月14日(月)午前11時30分 日比谷公園霞門集合→霞が関デモ」/午後2時開廷 東京高裁
◎芝山現地闘争 3月27日(日)午後1時
芝山文化センター ホール
集会後デモ行進
呼びかけ/三里塚芝山連合空港反対同盟

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