三里塚全国集会開く―農地守れ!岸田政権打倒!
「市東さんの農地を守ろう! 空港機能強化粉砕! 改憲阻止・岸田政権打倒!」のスローガンを掲げ、10月9日、成田市赤坂公園で三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する全国集会が開催された。労働者・農民・学生・市民452人が結集した。
本集会を前に、労組交流センターと全学連が独自集会を開き、闘う労働者、学生の熱烈な発言で会場の熱気を高めた。
正午に本集会開会。
前半の司会を太郎良陽一決戦本部長が務め、最初に反対同盟事務局の伊藤信晴さんが主催者あいさつに立った。伊藤さんは戦争情勢の激化と気候変動危機に警鐘を鳴らしながら、9・2新やぐら裁判控訴棄却、空港機能強化工事の今秋着工の攻撃を弾劾し、「実力で農地を守る」との鮮明な決意を表した。
続いて、東峰の萩原富夫さんが基調報告を行った。
新やぐら控訴棄却に対し「仮執行しない理由がないと言い放った裁判官どもに、農民の生き方を示そう。人間の尊厳を示そう」と怒りをあらわにした。また耕作権裁判の早期終結をもくろむ千葉地裁を批判し、「決戦本部を先頭に強制執行を迎え撃つ態勢をつくりつつ、市東さんの農業と暮らしを守り支えよう」と呼びかけた。
さらに、航空需要の激減で危機にあえぐ成田空港の惨状を示しながら、ジェット機運航がもたらす地球温暖化・環境破壊との闘いの重大性を説き、「すべての空港拡張計画の白紙撤回を求める署名」の推進を訴えた。
そして、軍拡・戦争政策を進める岸田政権を弾劾し、「改憲阻止、中国侵略戦争阻止に立ち上がり、沖縄・福島と連帯して岸田政権を打倒しよう」と締めくくった。
連帯のあいさつの最初に動労千葉の関道利委員長が立った。9・2控訴棄却への怒りを表明し、「B滑走路再度の北延伸は、岸田政権の大軍拡・改憲と一体の攻撃だ」と断じ、三里塚と車の両輪としてともに闘う動労千葉の覚悟を表した。そしてJRローカル線廃線化として襲いかかっている新自由主義的国家改造攻撃との対決を訴え、11・6全国労働者総決起集会への大結集を呼びかけた。
関西実行委の安藤眞一さんの発言に続き、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部執行委員の西山直洋さんがマイクを握った。正当な労働組合活動に対する司法権力による見境のない弾圧を報告し、特に大津でのコンプライアンス(違法行為摘発活動)事件裁判での湯川裕司委員長への懲役8年求刑に対する怒りをたたきつけ、三里塚とともに大反動を打ち破る決意を表した。
マスコミも注目する中、天神峰の市東孝雄さんが登壇した。「今はまだNAAは畑に手を出せていないが、いつかは来る。その時はみなさんとともに体を張って闘う。三里塚、福島、沖縄を一つものとして今まで通り闘い、何ごともあきらめず、体の続く限り天神峰で耕作を続ける」と揺るぎない決意を述べて、大きな拍手を浴びた。
反対同盟顧問弁護団4人が壇上に並び発言した。事務局長の葉山岳夫弁護士は「天神峰の看板・やぐらは市東さんの農地と一体。農地は農民の命だ。生存的基本的人権を侵す仮執行は許されない」と9・2控訴棄却を弾劾した。そして農地強奪攻撃が岸田の戦争政策と軌を一にした反動であることを指摘し、実力闘争と一体で裁判闘争に勝利することを誓った。
市東さんの農地取り上げに反対する会の発言に続き、群馬・市東さんの農地を守る会の清水彰二さんが、市東さんを招いた9・18高崎集会の成功と群馬合同労組の組合員の解雇撤回の勝利を報告した。
緑色ののぼりを立てて全国農民会議が登壇し、代表して岡山の内藤大一さんが発言した。安倍農政のもとで農業の「6次産業化」が叫ばれ、大資本が参入し、過酷な競争があおられる中、農民が強いられている生きられない状況を鋭く告発した。そして日本原闘争(自衛隊演習場との闘い)と三里塚の連帯を一層強固にして、市東さんの農地を守る決意を明らかにした。
婦人行動隊の木内敦子さんがカンパアピールに立ち、「空港という巨大建造物を撤去し、緑の大地をよみがえらせよう」と呼びかけた。
後半の司会を婦人行動隊の宮本麻子さんが務めた。
昨年10月に亡くなった南三里塚の反対同盟員・野平聰一さん、今年7月に亡くなった三里塚教会の戸村義弘さん、9月に亡くなった野戦病院の朝田しげるさんへの追悼の言葉を宮本さんが述べ、全員で黙とうを行った。さらに、闘いの中で歌い継がれてきた戸村さん作詞の「反対同盟の歌」を全員で熱唱し、故人に捧げた。
福島の椎名千恵子さんが三里塚との強いきずなを確認しながら、3・11反原発福島行動、9・27安倍国葬粉砕闘争の勝利を踏まえ、岸田政権の原発推進政策と断固闘う意志を激しい怒りを込めて表した。
市東さんの農地を守る沖縄の会は、辺野古新基地建設阻止を訴えた。
全国水平同盟書記長の田中れい子さん、婦人民主クラブ全国協議会の川添望さん、星野全国再審連絡会議の星野暁子さん、関西新空港絶対反対泉州住民の会代表の中川育子さんなど各団体からの発言が続いた。
全学連の矢嶋尋副委員長は、国葬粉砕闘争で岸田の国家総動員体制づくりの思惑を打ち砕いたことを生き生きと報告した。さらに、2年前に三里塚を初めて訪れ、200億円もの巨費を投じて造られた誘導路に包囲されながら、1本100円の大根を作り続ける市東さんに感動したことを語り、強制執行を阻止する学生の隊列をつくることを誓った。
決戦本部に集う仲間たちが壇上に整列し、代表して全学連三里塚現地行動隊の二川光隊長が、強制執行攻撃を迎え撃ち実力阻止する決意を表した。
集会の最後に、11月28日の耕作権裁判をはじめ当面する闘争日程を確認し、反対同盟が壇上に勢ぞろいして太郎良さんの音頭で団結ガンバローを三唱した。
直ちにデモに出発。反対同盟を先頭に大隊列が、赤坂公園を出て、成田ニュータウンのど真ん中を東西に貫く大通りを堂々と進む。宣伝カーからは宮本さんがシュプレヒコールをリードし、農地取り上げと戦争に反対するアピールを一帯に響き渡らせた。
成田ニュータウンの三里塚デモは2016年3月が初でそれ以来回数を重ねてきたが、今回は沿道の人々の反応が画然と違う。歩道を行く人は立ち止まって横断幕や旗を凝視し、写真や動画を撮り、集合住宅からは多くの人が鈴なりになって注目し手を振り共感の声援を送ってきた。コールのリズムに合わせて踊る若者も。受験を控えた中学生たちが、学習塾の窓から身を乗り出して送ってくるエールがとりわけ熱い。
空港のための街として山林を切り開いて造成されたニュータウンだが、もはや空港がバラ色の未来など約束しないことは誰の目にも明らかだ。
デモ参加者は大いに手応えを感じつつ、JR成田駅西口近くまでのデモを貫徹し、三里塚勝利をあらためて誓い合った。(TN)
スケジュール
◎第3誘導路裁判
10月21日(金) 午前10時30分開廷 千葉地裁
◎団結街道裁判
11月8日(金) 午前10時30分開廷 千葉地裁
◎耕作権裁判
11月28日(月) 午前9時 千葉市葭川(よしかわ)公園集合、千葉地裁へ向けて市内デモ行進
午前10時30分開廷 千葉地裁
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