三里塚・新やぐら裁判 弁護団が答弁書、「NAAに土地所有権なし」
2月16日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)で「新やぐら裁判」の第1回弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、成田空港会社(NAA)のこの新たな提訴に、猛反撃の決意をもってこの日に臨んだ。
この裁判は、現在東京高裁で闘われている天神峰・市東孝雄さんの農地裁判控訴審と密接不可分のものだ。市東さんの天神峰の耕作地には、看板、やぐらなど反対同盟が所有する4つの工作物が建っているが、NAAは反対同盟に対し、これらを収去し、その土地を明け渡せという裁判を起こしたのだ。
午後1時30分に開廷すると、弁護団はNAA側の起訴状に対する答弁書を陳述し、「断じて認められない。原告NAAは、土地所有権を取得していない」と一喝し、請求の棄却を求めた。NAAの前身である空港公団は1988年、耕作者である市東東市さん(孝雄さんの父・故人)に秘密で旧地主から土地を買収した。NAAはこれを「転用目的の取得だ」と言うが、当時は工事予定のめどなどまったく立っておらず、市東家は買収の事実を知らされずに17年間も旧地主に地代を払い続けながら耕作を続けていた。
これはNAAの悪質きわまりない脱法行為であり、買収は無効だ!
NAAが「地主」の顔をして、「農地を明け渡せ」「やぐら・看板を撤去しろ」などという資格はみじんもない。市東さんには、正当な賃借権が存在している。
続いて、北原鉱治事務局長が反対同盟を代表して意見陳述書を読み上げた。「看板は反対運動を広く伝え、やぐらは排気ガス調査などを行う反対同盟の重要な工作物」「農地裁判控訴審では、4つの所有物は、市東さん個人の所有物に含まれたままだ。明らかに矛盾している」「市東さんへの農地強奪攻撃を許さず、廃港の日まで闘いぬく」。この鮮明な決意に、傍聴席から大きな拍手がわいた。
さらに弁護団は、数々の三里塚裁判で反動判決を下した元千葉地裁裁判官の上野至が、NAAの代理人弁護士として今現に原告席にいる事実を指摘し、「こんなことは許されない。岸裁判長は予断なく公平な裁判を行う気があるか」と強く迫った。裁判長は横目で「先輩」を意識しつつ、「円滑・公正に、法に照らして審理を進める」などと言葉をにごした。上野はおのれの恥知らずな生き様をあらためて突きつけられ、暗い表情でうつむいている。
次回期日を5月11日として閉廷。
近くの会場で報告集会が開かれた。伊藤信晴さんが司会を務め、冒頭に北原事務局長が「政治が変わるまで闘い続けなければならない」と簡潔にあいさつした。
続いて葉山岳夫弁護士が、「農地裁判控訴審では看板・やぐらを市東さんの所有と言い続け、きょうの裁判では反対同盟を所有者として提訴。こんな言い分は通用しない」と断じた。さらに弁護団全員が発言し、NAAが農地裁判一審・多見谷判決にすがり続けることに不安を覚え動揺・混乱に陥っていることを、闘いの手応えとして確認した。
質疑応答ののちに、動労千葉の滝口誠さんが連帯発言に立ち、前日の国鉄集会の成功と、JRダイヤ改定=地方切り捨てに対する千葉県下各市町村での怒りが沸騰している状況を報告した。
市東さんの農地取り上げに反対する会の発言に続き、最後に東峰の萩原富夫さんが「3・4農地裁判控訴審に大結集を。そして成田市栗山公園での3・29全国集会へ意気揚々と上りつめていこう」と熱く呼びかけて集会を締めくくった。
反対同盟と支援連は、開廷前の昼休みは裁判所前で、集会終了後はJR千葉駅近くの繁華街で情宣活動を行い、農地強奪を阻止する3万人署名を全力で推進した。(TN)
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