不当解雇を撤回せよ 動労神奈川 時廣書記長が証言
動労神奈川の時廣慎一書記長の解雇撤回を求める裁判が11月9日、東京地裁民事第33部(伊藤由紀子裁判長)で開かれた。時廣書記長が証言に立ち、JR東日本の子会社・東日本環境アクセスの橋本久常務取締役への尋問が行われた。
時廣書記長は2015年2月の組合結成当初から動労神奈川に加わり、桑原豪臣副委員長が雇い止め解雇阻止のストライキに立った時に共に闘うなど熱心に活動を続けてきた。これを敵視した環境アクセスは、小田原事業所でパート社員として働いていた時廣書記長の契約社員への転換を拒んできた。手取り13万円ほどの低賃金を強いられ続けた時廣書記長は15年12月、契約社員への転換を所長に直談判したが拒否され、憤激のあまり退職を口にした。その後、時廣書記長は組合と相談し、仲間との団結に人生をかける決意をして退職の意思を撤回したが、会社は雇い止めを強行した。
動労神奈川はこれに対して労働委員会に申し立て、神奈川県労委は19年5月、解雇撤回は認めなかったものの、時廣書記長を契約社員にしなかったことと、団体交渉で会社が契約社員への転換制度について説明しなかったことを不当労働行為と認定した。許しがたいことに中労委は21年1月、契約社員にしなかったことは不当労働行為ではないと判断したが、不誠実団交の認定は維持している。この中労委命令をめぐり裁判を続けている。
今回の裁判で時廣書記長は、周りの状況を見て入社から3カ月か半年後には契約社員になれる期待を持っていたと証言し、解雇に至る状況を明らかにした。会社が解雇の理由として労働委員会で突然言い出した「指定場所以外での喫煙」についても、10人ほどの他の社員も同じ場所で喫煙していた事実を明らかにし、組合敵視という解雇の真の理由を隠す会社を弾劾。「これは自分だけの問題ではない。非正規職で苦しむ世界の人々のために、低賃金打破、解雇撤回まで闘う」と堂々と表明した。
環境アクセスの橋本常務は組合側に追及され、時廣書記長の具体的な勤務状況を知らなかったと認めた。にもかかわらず雇い止めを「総合的判断」と居直る姿と環境アクセスのでたらめな人事の取り扱いに、傍聴者の怒りは高まった。
組合側の代理人弁護団はJR東日本千葉支社長を経て、雇い止め当時は環境アクセスの社長だった原田尚志の証人尋問を求め、JR東日本の不当労働行為責任も追及する姿勢を示した。
裁判に先立ち動労神奈川と動労神奈川支援共闘は2179筆の解雇撤回署名を東京地裁に提出した。
また、11月3日に小田原駅前街宣と環境アクセス小田原事業所への抗議行動、11月5日に横浜市内で裁判勝利に向けた総決起集会を開き、その直後のガザ大虐殺弾劾デモと併せて、11・19労働者集会の大結集へ弾みをつけた。
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