三里塚一斉行動―「空港拡張計画はでたらめ」と怒りの声
三里塚芝山連合空港反対同盟と支援連絡会議の仲間は1月19日、138回目の空港周辺情宣一斉行動に立ち上がった。底冷えする寒さの中、成田市天神峰の反対同盟会議室前に集まった仲間は朝の打ち合わせを行った。
司会は、芝山町白桝の伊藤信晴さん。冒頭、東峰の萩原富夫さんが、成功裏にかちとられた新年デモと団結旗開きへの協力にお礼のあいさつを述べた。続いて、市東孝雄さんが「旗開きではそれぞれから今年の闘い方についてお話がありました。この情勢の中で、いろいろと攻撃も来るかと思いますが、今年もがんばろう」と参加者を鼓舞激励した。伊藤さんは芝山町をめぐる動向について語った。現地の仲間は、「NAAは年間発着枠を、現在の滑走路と運用時間のままで30万回から34万回に拡大することを発表した。この攻撃は早朝深夜の騒音頻度の増大のみならず、安全破壊を必ずもたらす。なし崩し的な容量拡大の動きはNAAの危機の表れ、住民と呼吸し、怒りを組織しよう」と呼びかけた。
今回用意された反対同盟ニュース第133号は、意気高くかちとられた反対同盟の団結旗開きの成功を報じ、耕作権裁判の勝利、3・30天神峰現地闘争への結集を呼びかける内容だ。「住民の声」は、前号を読み幼少時に米軍機が近くの山林に墜落したことを思い出したという成田市の農家から。米トランプの中国敵視、難民排除といった戦争へ向かうことへの強い危機感を表し、農家と消費者が一緒に食を守り、農業切り捨てを許さず国を動かす方向を共に目指したいとの訴え。
打ち合わせを終えた参加者はそれぞれの担当地域へと散った。
空港北側の騒音での移転地域では、すでに移転を完了した家もちらほらある。
ある住民は、「ここに来てもう50年になる。息子は高校を出た後、空港に勤めている。私は移転したいが『移転は俺が死んでからにしろ』と連れ合いから言われている」
また別の住民は「ここは全軒移転だが、向こうの並びの家は線引き問題があって大変みたい」
家族の中にも意見の違いを生み、地域を分断・破壊する。すべて空港がなければ生まれることのなかった対立だ。
「今年の出荷は順調」と言うさつま芋農家は「成田では34万回化の話は何も聞いていない。騒音の拡大も空港の拡張も断固反対と言いたい。NAAは人の畑の境界に勝手に規制のテープを張ったので抗議して外させた」とNAAへの怒りを語った。
空港南側の第3滑走路予定地では樹木の伐採が進む。菱田地区の田んぼには重機が入って整地作業が行われている。
ある農家は、「もともと横風用の滑走路含め3本と言っていたが、今はBの延伸とCの新設だと。行き当たりばったりのでたらめな空港拡張計画で住民だけが迷惑している」
また別の農家は、同盟ニュースを見た感想を寄せた。「軍事費の拡大には反対だけど、中国もひどいと思う」
日米安保同盟を粉砕し、日本から米軍基地・ミサイル基地をたたきだす闘いの爆発を作り出すことこそが戦争を阻む道だ。
マスコミ各社は1月23日、「NAAが機能強化の準備工事を報道陣に公開した」と一斉に報じた。現場はB滑走路延伸による東関東自動車道のトンネル化工事と、新設C滑走路予定地の「地盤改良」工事(前出の菱田の整地作業)。
この発表自体、成田が根本的に危機であることの表れだ。羽田や近隣諸国の空港との熾烈な競争に追い込まれながら、機能強化、第3滑走路建設も思うままに進捗しない中で、その「完成」を待つこともできず、とにかく生き残りをかけて「30万回を超える需要見込み」を打ち出し、現在の条件で発着枠を拡大するというのだ。
今回の34万回化計画は、反対同盟の59年の空港絶対反対の闘い、そして周辺住民の飛行差し止め訴訟などに追いつめられての居直りである。NAAは地元での説明会で、「防音対策はやる」などと口先では言っているが、実際には住民の生活など一顧だにせず、「いやなら出ていけばいい」という本音がありありだ。
成田軍事空港粉砕を闘う反対同盟が呼びかける「空港機能強化反対!」フィールドワークに集まろう。成田を廃港に追い込もう。(N)
スケジュール
◎団結街道裁判 2月28日(金)午後1時30分開廷 千葉地裁 最終弁論
◎空港拡張差し止め裁判 3月14日(金)午前10時30分開廷 千葉地裁
◎3・30天神峰現地闘争 3月30日(日)午後1時集合 主催/三里塚芝山連合空港反対同盟
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