ハンガリーとチェコで政府が次々と倒壊
EU(欧州連合)の議長国チェコの議会が3月24日、トポラーネク首相の「中道右派」連立政権にたいする不信任案を可決した(写真は議場で頭を抱えるトポラーネク首相)。この結果、同内閣は総辞職に追い込まれる。中東欧では、この21日、大恐慌の深まりに「打つ手なし」でハンガリーの社会党政権・ジュルチャーニ首相が辞意を表明したばかりだ。
深刻な金融・経済危機に見舞われたヨーロッパ諸国で、政府が次々と倒壊を開始している。1月末はアイスランド(人口32万人)で、2月後半はラトビア(人口230万人)で、そして今回がハンガリーとチェコ(ともに人口1000万人強)だ。次は、ポーランド(3863万人)かウクライナ(4773万人)の番だろうと言われている。しかもこの東欧危機は、そこに莫大な投資をしている西欧帝国主義を回復不能の恐るべき危機にたたき込む。
相次ぐ東欧政権の退陣に米欧の帝国主義は根底から危機感を募らせている。EU議長国の政権が任期途中で退陣表明するのは異例のことだ。今年1月にフランスからチェコに議長国が交代した時点から波乱の予兆はあったが、大恐慌が本格的に深刻化するなかで27か国の「大欧州」をまとめる議長国が事実上完全に「死に体」となり、欧州の帝国主義諸国はその意味でもパニックに陥っている。
チェコは4月5日、プラハにオバマ米大統領を迎え、米EU首脳会議を主催することになっていた。しかし、今回の政変でチェコへの配備が計画されているミサイル防衛システムの扱いなど、どこまで具体的な議論になるか完全に不透明になった。今ヨーロッパでは、大恐慌の深まりの中で、中小諸国の政府が完全に行きづまり、ドミノ現象のように次々と崩壊し始めている。他方、ギリシャ・スペイン・ベルギーなどで闘われた全国ゼネストが、イタリアやフランスといったEUの中軸をなす国にも及び始めている。世界大恐慌と世界革命情勢の成熟は、ヨーロッパにおいてこうした二つの事態として爆発的に進行している。(つ)
写真は3月19日のフランスのゼネスト
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