中国・富士康で労働強化に抗議のストライキ相次ぐ
台湾系資本の世界的な受託生産企業(外注による生産企業)である富士康(foxconn)で、ストライキが相次いでいる。広東省東莞市では、3日間の休暇を申請した江西省からの32歳の出稼ぎ労働者がその休暇を認められず、やむをえず3日間休んで9月29日に出勤したところ、ただちに解雇を言い渡され、未払い賃金の支払いをも拒否されて、工場5階から抗議の飛び降り自殺をして死亡した。遺族はこの事態に怒り、10月5日に「奴隷労働の富士康はわが子を自殺に追い込み、賠償もしない」という横断幕を掲げて工場の門前で拡声器で訴えたところ、数千人の労働者が合流し、残業や工場の食事の問題など次々と抗議の声が飛ぶ事態となった。警察隊が導入され、2時間にわたって激しい激突が続き、家族らは逮捕されていったという。
さらに河南省鄭州の工場では、iPhone5の発売に伴いすさまじい労働強化がかけられていた。工場側はiPhone5の外枠や裏蓋に研磨による0・02ミリの傷があることも許さないとし、労働者たちは十分な訓練期間もなしに技術的に困難な仕事を強制され、実際に多くの製品が検査に合格しないという事態となった。しかし発売直後のiPhone5は大量生産を要求されており、労働者たちは休暇をとることも許されなくなっていた。このため検査部門は緊張の場所となり、しばしば検査の労働者と生産現場の労働者が衝突、検査室が壊されたり、検査労働者が怪我をする事態となった。
検査の労働者はこの事態を工場側に訴えたが、無視されてしまった。そこですべての検査の労働者が10月5日にストライキに突入、これに呼応して各生産部門の労働者が次々とストライキに合流し、4000人規模の大ストライキになった。労働者の団結が、対立を乗り越えて闘いを通じてかちとられたのである。このストライキはiPhone5の生産に確実に影響を与えている。
中国は9月29日から10月8日まで、中秋節と国慶節(中華人民共和国の建国記念日)をめぐる大ゴールデンウィークであり、出稼ぎ労働者にとっては、春節(旧正月)とならぶ年2回の、故郷に帰る数少ない機会である。しかしそうした慣習を完全に無視して、富士康は労働者に休暇を取ることも許さず、無理な労働強化を強いていたのである。この2つの事件にはこうした背景がある。
帝国主義資本による外注化の世界的な展開と、中国スターリン主義も含めた非正規雇用労働の一般化は、労働者を極限的な非人間的な労働へとたたきこみ、中国でも労働者の反乱が次々と爆発している。「領土」問題での排外主義攻撃をのりこえ、日中韓の労働者の連帯をかちとっていくために、11・4集会に向けて全力で闘おう!(G)
写真はいずれも、10月5日の富士康の鄭州工場でのストライキ
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