福岡地裁前で弁護士先頭に裁判員裁判抗議行動に立つ
9月9日、福岡地裁で九州では初めての裁判員裁判の開始に対し、「市民のための刑事弁護を共に追求する会」に結集した25名の仲間が、”裁判員制度は廃止だ”と怒りに燃えて半日の抗議行動を行った。
横断幕を張ったテントを中心に裁判員候補者たちが地裁に来る8時30分から10時と傍聴希望者や裁判関係者が最も通行する昼の時間帯の2回の抗議行動は、注目を集めた。「裁判員制度を廃止に!全九州キャラバン行動」でそれぞれの地域で闘いを共にした北九州、長崎の人たち、佐賀から弁護士が早朝から結集した。
皆の怒りがビラを渡す時の声となって大きく響く。その先頭で共同代表の渡邉弁護士がマイクを握って、「この間の裁判員裁判は、わかりやすさだけが強調され、被告の防御権が保障されていない。刑事裁判ショーになっている」「国民の8割も反対していることに対し、罰則をもって強制動員して人を裁かせるのは違憲だ」「崩壊しつつある国家的秩序・治安を、国民が国民を裁く側に動員し統治者意識をもたせて支配を維持しようとする改憲攻撃だ」と訴えた。続く訴えも、昨日の山口地裁での裁判員裁判が、13年間、連れ合いの介護で疲れ果てた被告が無理心中を図って10日間の傷を負わせたという殺人未遂事件だが、事件の深刻さは計り知れないものがあるにもかかわらず、たった4時間強で審理が終了、きょう判決という時でもあっただけに、「たった4時間で彼の13年間がわかるのか。これで罪が問えるのか!」と弾劾した。
昼休みには、ビラをまいている弁護士たちの知り合いたちが、「自分も反対だから。御苦労さん」と声をかけて通って行き、カンパをくれた弁護士もいた。ビラは次々と人の手に渡り、福岡では初めて1400枚もまけた。また、署名をした50代の女性は「絶対反対。呼び出しがあっても自分はいかない。罰金なんか払わない。刑務所にだって行ってやる」と激しい憤りをぶちまけていた。
今日の事件は覚せい剤密輸事件。「もっとも市民感覚に遠い」事件で、候補者たちからも「市民が参加すべき裁判なのか」「一体量刑判断はどうやってするのか」の疑問が多く出された。裁判員候補者は候補者名簿1万2千人から80名が選出され、最終的に35人が出頭通知を受けた。しかし、来たのは31人で、4人も拒否した。出席率は、全国で行われた8件の裁判員裁判で3番目の低さだ。しかも、当日も4人が辞退を希望し、3人が辞退となった。1人が認められなかったのは重大問題だ。候補者の一人は、マスコミの取材に対し、「3日間拘束されると仕事に影響する。絶対に選ばれたくない。制度にもいい印象をもっていない」と語気を強めて述べた。
この辞退者の多さこそ、裁判員裁判が破綻必至なことを示している。この間だけでも、あまりの審理時間の少なさに「これで真実が追究できるのか」という声が噴出、福岡ではさらに地裁職員の同席の下でさえ、「審理時間もそうだが、評議時間があまりに短くドタバタした」の批判の声があがっている。私たちの運動が、確実の人々の声をとらえていることを確信し、絶対反対を一層高くかかげ、10・2全国集会を成功させて11月全国労働者集会の1万人結集を勝ち取る中で、廃止を勝ち取っていこう。(福岡 S・N)
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