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ギリシャで6回目の官民ゼネスト、年金受給年齢引き上げに怒り

s20100717a-1.jpg 7月8日、ギリシャで今年6回目の官民労働者ゼネストが行われ、数万人の労働者が首都アテネなどで街頭デモに出た。パパンドレウ政権の緊縮財政策に反対する行動として2大労組全国組織、ギリシャ労働者連合(GSEE)とADEDY(公務員連合)が呼びかけた。アテネでは2大労組が別々の隊列を組んでデモに出たほか、ギリシャ共産党(KKE)系の労組全国組織、労働者戦闘戦線(PAME)も独自に数千人のデモを行い、計2万人がデモに参加した。北部のテサロニキでは5千人(警察発表)がデモに参加した。デモのプラカードには「社会保障と年金に手を出すな」「盗んだカネを返せ」「別の解決方法を!」「政府は退場せよ!」「われわれの生活を奪うな」「蜂起せよ!」などと書かれていた。 

s20100717a-2.jpg 警察は国会議事堂の周りを警察バスで囲むのが精いっぱいで、都市中心部の重要拠点を守る部隊を配置できなかった。デモ隊と機動隊が正面対峙し、にらみ合う場面もあった。
 ストライキは多くの産別で実行された。110人の管制官が午前10時から午後2時までスト。その結果、アテネ国際空港の数十便が運行中止に追い込まれた。国際便は50便以上キャンセルされた。アテネでは地下鉄、電車、バス、トロリー、市電が止まった。民営化が計画されているギリシャ鉄道機構の労働者もストに入った。ギリシャ海運労働者連盟のストで、島々を結ぶフェリーが埠頭に係留されたままとなり、運航が全部止まった。政府・自治体の庁舎も閉まった。公営企業でも業務がストップした。病院は救急だけ受け付けた。法律家、裁判所職員や商店主もストを支持した。国営放送局の職員が加盟するアテネ・ジャーナリスト労組もストに入るなど、24時間ニュースが発信されなかった。
 パパンドレウ政権はEUとIMFから借りた1100億ユーロを返済するために労働者から搾り取ろうとしている。GDP比13・7%に膨れ上がった財政赤字を2014年までにEU基準のGDP比3%以下にするs20100717a-3.jpgために緊縮財政政策を導入、付加価値税を引き上げ、徴税を強化、数十万人の職を奪い、公務員賃金を引き下げ、社会保障を解体し、年金を20%以上削減する。
 8日の行動は、国会での年金制度改革を中心とする新たな緊縮法案の採決に反対する闘いだ。新法案は、①年金支給年齢を現在の61・4歳から2015年までに63・5歳に引き上げる、②早期退職年齢を60歳に引き上げる、③女性は場合によっては現在50歳で退職し年金を受給できるが、今後は65歳まで働かなければ年金を受給できないようにする、④年金基金を統合し、早期退職が認められている「重労働の」職業を減らす、⑤年金支給額を平均7%減らす、⑥年金満額支給になる年金保険料支払い期間を37年から40年に延ばす――というものだ。
 ゼネストとデモが闘われた8日夜の国会は、政権与党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の157議席全員の賛成で法案を可決し成立させた。採決は国会職員のストで遅くなった。パパンドレウ首相は法案成立を受けて「緊縮政策を実施しなければ財政赤字がGDP比13・5%から26%に倍増する。それは経済の破滅だ」と脅し、緊縮政策を合理化した。
s20100717a-4.JPG このPASOKを昨年の選挙で支持しパパンドレウを政権に就かせた最大の勢力が2大労組だ。2大労組の指導部は、ランク&ファイルの怒りが充満して革命に発展しないようガス抜きとしてゼネストとデモをやってきた。だがいよいよガス抜きでは済まない情勢が深まってきている。ゼネストに先立つ7月5日には軍需工場の労働者が国防省の周りでデモ行進した。6日には地下鉄の労働者が24時間ストライキを行った。自治体労働者は象徴的な行動として庁舎を占拠した。そのうえで8日のゼネストが闘われたのだ。
 ギリシャではストライキが日常化し、夏休み返上の機運さえ生まれている。与野党とも議会主義政党の支持率は大きく下がっている。この革命情勢を実際の革命に転化する革命的指導部の登場が求められている。(SG) 

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