現闘本部破壊と対決し、6時間にわたる徹底弾劾闘争打ちぬく!
8月6日午前3時半、政府・NAA(成田空港会社)は天神峰現闘本部撤去の仮執行を1千人近い警察機動隊と警備員を動員して強行、まだ上告審で係争中の現闘本部建物全体を重機を使って破壊し、木造の旧本部建屋もろとも撤去した。執行官の立ち会いや通告も一切なく、撤去手続きの前提となる国交省の成田治安法解除手続きも何もないという、ブルジョア法秩序さえ自ら踏み破る成田空港建設“お決まり”の闇討ちである。三里塚反対同盟農民と現地支援部隊は、敵の攻撃開始と同時に現場に隣接する市東孝雄さんの畑に結集し、機動隊とフェンスで守られた撤去工事に肉薄、急を聞いて続々と駆けつけてきた動労千葉や反対同盟顧問弁護団、市東さんの農地を守る会など首都圏の仲間たちとともに、6時間にもおよぶ徹底的な弾劾闘争をたたきつけた。
反対同盟の北原鉱治事務局長は、本部前に立ちはだかる機動隊の壁と対峙してマイクを取った。「まだ裁判も終わっていないのだ。撤去はできない証拠物件である旧本部建屋を、調査を拒否したまま、こうして破壊している。これを国家暴力と言わずに何と言えばいいのか。反対同盟は全国の闘う人民の名において弾劾する。この破壊行為は人の血を吸っているということです!」。このアピールに呼応して、「本部撤去に報復するぞ!」「全国の仲間は許さないぞ!」などの怒りに満ちたシュプレヒコールが、全学連現地行動隊を先頭に休みなく何時間も続けられた。
今回の現闘本部撤去は、過去の数々の強制収用や砦破壊の例にもれず、違法の固まりとも言える国家の犯罪行為だった。存在さえ確認できれば反対同盟の地上権(北原事務局長の名義)が法的にも確定した旧本部建屋(現闘本部の内部にそのままの状態で保存されていた)の現地調査を、千葉地裁は最後まで理由を示さず拒否。その状態のまま、あの東京高裁の5・20「仮執行」付反動判決が強行されたのである。この時、反対同盟農民をはじめ50人の仲間が裁判所の中で逮捕されるという大弾圧が強行されたのは周知の通りだ。
そしてこの日の強制撤去の闇討ちのような強行である。権力・NAAは、民事執行法に定められた裁判所の執行官による現場での通告も、権利者の立ち会いも行わずに未明の執行を強行した。そしてきわめつけは、裁判の争点となっていた旧本部建屋という証拠物件の隠滅だ。
今回の破壊でNAAは、外壁がはがれた状態で内部が見えないように、まだ薄暗いうちに反対同盟と支援部隊のいない南側のみ壁をはがし、まず内部の木造建屋を破壊してしまってから現闘本部建物を破壊するという、実にえげつない方法をとった。しかもこの全過程を敷地内からマスコミ報道陣をシャットアウトして撮影させない形で強行したのである。裁判所とNAAがぐるになった文字通りの証拠隠滅、犯罪行為である。
弾劾闘争直後の記者会見で反対同盟事務局次長の萩原進さんは、報道陣に「こんなことが許せますか? 裁判も本日の撤去攻撃も、“国策”と称してこんなことしかできないのですか? みなさん、国民の一人としてどう考えますか?」と怒りをこらえて問いかけていた。顧問弁護団も「最高裁への上告審の最中に、しかも8・6広島闘争の当日に、そして裁判所が夜襲をかけるという卑劣な手口」などと厳しく批判し、反対同盟の闘いの正義性を強調した。
闘争後に市東さん宅で行われた総括集会で、萩原さんは「国が留守宅にコソ泥という禁じ手を使った。ぶざまな姿だ。広島闘争に参加している仲間たちも地団駄を踏んでいると思うが、市東さんの農地をめぐる決戦本番はこれからだ。今日の借りを必ず数十倍にして返してやろう」と力を込めた。北原さんも「三里塚は社会を変える闘いだと自負してきた。われわれは決して後退しない」と檄を飛ばし、8・30の市東さん農地裁判(千葉地裁)への傍聴闘争への参加を訴え、この日の闘いを締めくくった。(KM)
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