「裁判員制度やめろ!」の最高裁デモ、官庁街に闘いの声とどろく
11月9日昼、「裁判員制度はいらない!大運動」の呼びかけで、都心のど真ん中を貫いて最高裁デモが闘われた。320人の大隊列が色とりどりの旗、組合旗をひるがえして行進、「裁判員制度やめろ!」の声が官庁・オフィス街に響きわたった。昼休みで大勢街に出ている労働者の圧倒的な注目と共感を集めた。
11月中旬に最高裁は全国約30万人の来年度の裁判員候補者に「名簿に載せた」という通知を出そうとしている。これはまさに「現代の赤紙(召集令状)」だ。絶対に許せない。私たちの「裁判員制度絶対反対!」「呼び出し状を送るな!」の声を最高裁にぶつけようと、この日のデモが闘われた。
正午前、各地で裁判員制度の廃止に向けて闘ってきた労働者、学生、市民が日比谷公園霞門に集まった。天気は快晴、絶好のデモ日和だ。みんなの顔も明るい。デモ出発に先立ち、「大運動」呼びかけ人の高山俊吉さん(弁護士)が「とうとうこの日が来ました。今日の行動は多くの人に注目されています。『納得できない』という全国の声を代表して今日のデモを頑張りましょう」「11月中旬に最高裁は全国の人々に『名簿に搭載したぞ』という脅迫の書面を送ります。国民の税金をもって国民を脅迫するメッセージです。それに対する私たちの回答が、今日のデモです。沿道の皆さんと共感をかわしながらデモをしましょう」とアピールした。
直ちにデモに出発した。デモの先頭には横断幕を広げて今井亮一さん(交通ジャーナリスト)、森川文人さん(弁護士)らが立った。動労千葉の旗や各地の合同労組、労組交流センターや全学連、星野全国再審連絡会議などの旗がひるがえる。弁護士会館前を通り、すぐに東京地裁・高裁前へ。ここで「裁判員制度はいらない!」「私たちは人を裁きません!」「裁判所には行きません!」のひときわ大きなかけ声をとどろかせた。さらに、外務省、財務省などの官庁街を通り、経産省前では反原発のテントで闘う人々とエールを交換した。首相官邸の脇を通るときには野田首相を弾劾して進んだ。
赤坂見附交差点を右折して民主党本部の前を通り、灰色の最高裁の建物が見えてくると、デモ隊の熱気は一層高まった。「最高裁は呼び出し状を送るな!」「裁判員制度を廃止しろ!」と声を合わせて叫び、怒りのこぶしを突き上げた。さらに右折し、国会に向かって「国会は裁判員法を廃止しろ!」とシュプレヒコールを上げた。デモ解散地点で「大運動」事務局の武内更一さん(弁護士)が、「きょうのデモは大成功でした。これからさらに各地で学習会などをやって確信を深め、裁判員制度を廃止まで追い込みましょう」とまとめて、この日のデモを終了した。
裁判員制度は09年5月の施行以来3年半経過したが、被告の防御権の尊重という刑事裁判の原則の破壊、審理の遅滞、人民の拒絶の強まりなどあらゆる面で制度の危機・破綻は進んでいる。そもそも「国民」を無理やり国家の立場に立たせて人を裁くことを強制する制度など、絶対に許せない。裁判員制度反対の闘いは、いま現在の改憲阻止闘争である。11・9最高裁デモの圧倒的な高揚を新たな出発点として、全国でさらに裁判員制度への怒りと拒絶の声を集め、制度廃止に向かって前進しよう。(N)
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