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北京の米自動車部品工場でスト 非正規労働者が歴史的な勝利

20130213a-1.jpg 2月4日より、米系資本の自動車部品企業であるデルファイの北京の工場で、非正規労働者約400人が長期間の非正規雇用や低賃金、休暇、保険などをめぐってストライキに突入した。そして4日間にわたるストライキ闘争の末、7日に月給500元(約7000円)の一律賃上げ、そして3年以上勤務した派遣労働者は年明け(旧正月の明け、2月15日以降)に正式な労働契約を交わして全員正社員にすることなどを認めさせるという、中国の労働運動史上画期的な勝利を勝ち取った。
 デルファイは、米ゼネラルモーターズから分社した自動車部品生産の企業で、全世界で上位500社に入るといわれる大企業である。世界恐慌の深まり、自動車産業をめぐる帝国主義間争闘戦の激化、さらに中国経済の後退という中で、経営危機を深めたデルファイの北京工場は、労働者に犠牲を転嫁し、特に派遣労働・非正規雇用を徹底的に奴隷のように使うことで、この資本の危機を乗り切ろうとした。このデルファイ北京工場には約500人の労働者がいるが、その95%が非正規労働者、生産現場にいる労働者のほとんどが派遣労働者だという。 

 「私はこの工場で10年以上働き、仲間の多くも8年9年である。なのにずっと派遣労働者だ。工場と正式な労働契約を結びたい。この要求を不当だと思いますか?」と、労働者の一人は語っている。
 今に至るまで、数度の小ストライキがあったが、今回の大ストライキに火をつけたのは、会社が従来参加できていた年末会から、今年は非正規労働者を排除したことであった。ここで労働者は、ささやかな年末の報奨金を受け取ることを期待していた。だが「派遣労働者は派遣会社の労働者だから」と言いなし、「問題があれば派遣会社に言え!」と言って、非正規労働者を参加させなかった。非正規労働者の怒りが爆発した。こうして4日よりストライキが始まった。厳冬下の4日間に渡るストライキに対して、会社側は「労働法上の違法はしていない」と対応していた。だがストライキ4日目に、ついに会社は追いつめられ、労働者の要求ほぼすべてを認めた。①一律月給500元の賃上げ、②3年以上勤務した派遣労働者で望む者はすべて年明けに労働契約を結んで正社員とする。③5月1日より、正規職か非正規職かを問わず、すべての労働者の医療保険を会社負担で保障する。④休暇などの比較的小さな問題は、年明けに処理する。という中身であり、労働者の大勝利となったのである。
 中国における労働争議は増加の一途をたどっており、特に非正規雇用問題は資本と体制を揺るがす大問題となりつつある。この中で中国スターリン主義は、昨年12月28日の第11回全人代常務委員会第30回会議で、「労働合同法」(労働契約法)を改め(今年7月1日より施行)、派遣制度への規制を厳しくし、また派遣労働者と正規職は「同一労働同一賃金」とすることを明記した。
 憲法さえ空文となる中国スターリン主義の独裁政治の状況を考えると、こうした法がどこまで労働現場で現実となるかは大いに疑問もあるが、しかしこうした法の改定を余儀なくされた背景には、非正規労働者の闘いの爆発が間違いなくある。また同時に中国スターリン主義は、工会(中国スターリン主義の体制内労働組合)改革を掲げ、すでに昨年広東省「経済特区」深せん市で163の企業の中国史上初の工会の自由選挙が行われたが、さらに今暴動相次ぐ富士工(Foxconn、外注生産の請負企業)で、労働組合の自由選挙が行われようとしている。これらの改革は、労働者の闘いに追いつめられた中国スターリン主義と資本の姿であるとともに、一方でこれらの労働者のストライキや暴動、怒りを体制内的に囲い込もうとする政府と資本の悪辣な狙いが確かにある。
 だが、こうした改革は逆に労働者に闘えば勝てるという展望をますます確信させ、デルファイの労働者のようにますます激しい決起を生み出して勝利し、スターリン主義政府と資本による体制内的囲い込みの狙いを打ち破る労働者の闘いが始まっているのである。
 「外注化阻止・非正規職撤廃」の闘いは、中国の労働者階級の闘いと団結していく道である。断固として第2ラウンドの闘いに決起しよう!
 

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