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チュニジアで反政府全国ゼネスト

チュニスの10万人デモ(2月8日).jpg●革命後最大の決起
 2月8日、チュニジアで、極右イスラム政治勢力による反政府派の政治家・チョクリ・ベライド氏の暗殺に抗議する全国ゼネストが爆発した。この闘いは、米帝や仏帝によって支援されたムスリム同胞団系の政府による革命勢力抹殺攻撃に対する労働者階級のチュニジア革命以降最大の反撃の闘いだ。チュニジア労働者階級は、チュニジア労働総同盟(UGTT)の呼びかけの下、この35年間で最大の全国24時間ゼネストに決起し、全国の工場、交通機関、学校、銀行、商店などの活動を停止させ、街頭にうって出た。首都チュニスでは、10万人がデモに立ち上がった。全国ゼネストは2011年のチュニジア革命の時にも実現しなかった闘いであり、今回のゼネストの爆発は、労働者階級が革命後も、かつて政府の協力者であったUGTTの内部で力を蓄え、UGTT内の力関係を労働者階級に有利なものに変え、着実に階級的戦闘力を強化してきたことを示している。 

警察と激突するデモ隊(2月7日 ガフサ).jpg●現体制打倒の闘いに発展
 ゼネストの直接的契機は、2月6日に反政府派政治家のべライド氏が極右イスラム政治勢力によって銃撃されて殺された事件だ。連立政府の軸をなすムスリム同胞団系のアンナハダ党は、革命後、党に所属する「革命防衛同盟」と呼ばれるテロ組織やサラフィスト(極右の反動的宗教勢力)による革命的労働者や活動家への白色テロルや組合襲撃によって労働者階級の闘いを押さえ込もうとしてきた。これに対する怒りがべライド氏暗殺を契機として爆発したのだ。
 2月8日のチュニスでのデモは、べライド氏の葬儀に集まった5万人以上の人々の抗議デモとなった。デモ行進の過程でしだいにふくれあがったデモ参加者たちは、口々に「新たな革命を」「政府打倒」「パンと自由と社会正義を」と叫びながら、弾圧のために出動した軍隊や機動隊の制動を排して墓地に向かって行進した。
 同様のデモは、南部のガスファ、スースなどでも行われた。チュニジア革命の発祥の地シディ・ブージでも1万人が抗議デモに立ち上がった。各都市でアンナハダ党の事務所や警察署、知事公邸などが攻撃され、警察が対応不能に陥いったため、軍隊が投入された。
●反米帝、政府打倒の闘い
 だが、この闘いは、単に極右イスラム政治勢力や政府によるテロや弾圧に抗議して爆発したものではない。労働者人民は、革命後に権力を簒奪したアンナハダ党が、エジプトのムルシ政権と同様に、労働者人民の生活を破壊してきた新自由主義政策を推進し続け、さらに新たにIMFの支援と引き換えに労働者人民に過酷な緊縮政策押し付けようとしていることへの激しい怒りを、今回のべライド氏暗殺事件を契機として爆発させたのだ。労働者の失業率がすでに17%を超え、青年労働者の場合40%の失業率にあえいでいる中で、さらなる緊縮政策が襲い掛かろうとしていることに対する怒りは激しい。
 また米帝や仏帝が、一方でリビアやシリア、マリ、アルジェリアでアラブ革命圧殺のための反革命的介入と侵略戦争を行いながら、他方で、エジプトのムルシ政権やチュニジアのジェバリ政権を全面的に支援していることへの怒りを爆発させたのだ。とりわけ仏帝のマリ侵略戦争は、チュニジアの労働者人民の怒りを爆発させる決定的契機になった。
●労働組合の決定的役割
 この2月8日のゼネストは、革命後も依然としてUGTTの中央指導部を掌握している体制内派勢力が、労働者人民の怒りの爆発が新たな革命に発展しかねないことを恐れ、闘いを体制の枠内に押さえ込むために呼びかけたものであった。だが、UGTT傘下の多くの労働組合の中に革命的影響力を着実に拡大してきた戦闘的左翼的潮流は、ランク&ファイルの労働者の闘いを全力で組織し、UGTT指導部の思惑を超える巨大な反政府ゼネストへと闘いを発展させる重要な役割を果たした。そしてUGTT指導部の思惑をはるかに超える打撃力のある全国ゼネストを成功させたのだ。今後の闘いの成否は、UGTTを真に革命的で戦闘的な労働組合のナショナルセンターとして再編し、労働者階級の闘いを新たな革命に向かって指導しうるものに転化しうるか否かに、またこの過程で労働者階級の前衛党を建設することができるか否かにかかっている。チュニジアの労働者階級は確実にこの道を進んでいる。そして、このチュニジアの労働者階級の労働組合を基盤とした闘いは、必ずやエジプトやアルジェリアの労働者階級に巨大な革命的影響を与えるであろう。 

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