北朝鮮核実験に中国労働者階級が怒りの行動
今回の北朝鮮核実験は、中国の労働者階級の激しい怒りを呼び起こしている。12日の核実験の強行に対して、現在連日中国各地で次々と抗議行動が起きている。
12日の当日、北朝鮮に隣接する遼寧省沈陽市にある北朝鮮の総領事館前で「北朝鮮の核実験に抗議する」とのスローガンを掲げた抗議行動が起きている。2月13日には安徽省合肥市で「北朝鮮の核実験に抗議する! 東北の同胞を救え!」というスローガンを掲げて若者が抗議に立ち、警察に拘束された。同じ13日には、黒龍江省ハルビン市で「北朝鮮の核実験に抗議する! 私たちのふるさと、人、土地、水、空気、食料を守れ!」という横断幕が道路に張り出された。さらに14日には、湖南省衡陽市で「北朝鮮の核実験に抗議する! 地球の人類の安全を守れ! 自由中国」という抗議デモが行われている。
この労働者をはじめとする人々の決起の背後にあるのは、直接的には放射能汚染への危惧と怒りである。例えばウェイボ(中国版ツイッター)にはこんな書き込みがある。「先週末に大学の宿舎で会合があり、一人の学友が次のように言っていた。『私の家は吉林省の長白朝鮮族自治県にあり、朝鮮とは鴨緑江を隔てて隣である。90年代よりガンの発症率が異常に高い。当地には重工業による明らかな汚染はなく、専門家が土壌や水質など調べても、重金属などの異常な数値は見られない。当地の人々は朝鮮が90年代より開始した核実験がもたらしたものではないかと疑っている。朝鮮の核実験基地まで直線距離で30キロを超えないのだ』」
中国政府は、東北部をはじめ中国で放射能の数値の異常は見られないと発表しているが、まったく信用されていない。いつもウソばかりついている政府であることをみんな知っている。「改革・開放」政策のもとで急激に進んだ環境汚染は、例えば今回の北京の大気汚染に典型的なように、労働者階級をはじめ人々の命を脅かしている。脅かしているどころか、実際に死者が出ている。このような乱開発に伴う異常な環境破壊に対する闘いが、この数年間中国では次々と発生し、昨年10月22日には浙江省寧波市での化学工場建設に反対して1万人が決起している。楊朝飛・中国環境科学学会副理事によると、中国では環境問題をめぐる「群体性事件」が05年から平均29%ずつの割合で毎年増加しているとい
う。環境汚染に対する危機感が高まり、「生きさせろ!」という労働者の必死の闘いが陸続と起きているのだ。それがまた今回の北朝鮮核実験に対する抗議、放射能汚染に対する怒りの弾劾行動を生み出しているのである。それはまさに、労働者の生存権をかけた闘い、フクシマの怒りと本質的に直結する決起だといえる。
このような労働者人民の北朝鮮核実験に対する抗議行動に対して、中国スターリン主義はネット規制を強め、ネットから次々と削除し、これらの闘いを「なかったこと」にすることにやっきになっている。中国スターリン主義は、対外的には表向き北朝鮮への「抗議」を掲げている。しかし国内の北朝鮮核実験への弾劾行動に対しては、弾圧をもって対応しているのである。
中国は世界の五大国(第4位)に入るの核兵器保有大国(180発の核弾頭を保有していると一般的に推測されている)である。1964年の最初の核実験以来、推定で50回を超える核実験(公式発表は46回)を行っている。それだけではない。中国では昨年末の段階で15基の原発が稼動しているが、中国スターリン主義はこれを200基まで増やす計画を進めている。中国は世界最大の原発大国に今なろうとしているのである。それは軍事と経済の双方の要因によって進められており、中国スターリン主義の対米対抗政策の柱を形成しているともいえる。このすさまじい中国スターリン主義の核政策の推進が、北朝鮮核実験への抗議を圧殺し、弾圧している最大の要因なのである。
すなわち、中国の労働者階級の北朝鮮核実験への怒り、放射能汚染への怒りが、北朝鮮のみならず、中国政府そのものに対して向かってくることを、中国スターリン主義は何よりも恐れているのである。だからこそネット規制でネットから抗議行動の書き込みを削除し、抗議する人々を直接的にも弾圧しているのである。実際に、チベットやウイグルなど核実験場や核廃棄物処理場にされている地域の放射能汚染は、正式な政府発表は一切ないものの、深刻な事態になっていることは想像に難くない。さらに今後全国各地で原発建設がいっそう進めば、日本と同様日常的な放射能汚染は深刻化し、さらに福島の様な事故が中国でも起きる事態に入っていくだろう。それを中国スターリン主義は直感しているがゆえに、北朝鮮核実験への抗議行動をつぶすことにやっきになっているのである。まさに中国スターリン主義は、自国での労働者階級の反核闘争、反原発闘争の爆発を何よりも恐れているのである。
こうした事態を見るとき、求められているのは、まさにフクシマと北朝鮮、中国の結合であり、日本と北朝鮮、中国の労働者階級の核への怒りを通じた団結の形成である。国際連帯による核廃絶の闘いである。
アメリカ帝国主義はその世界支配のために核を保有し、実験をしばしば行っている。中国スターリン主義は、米中対峙構造の中で、対米対抗的に核兵器を保有し、さらに原発建設を空前の規模と速度で進めている。北朝鮮スターリン主義も、米帝はじめ帝国主義に対抗し、延命していくために必死で核開発とミサイル開発を進めている。世界恐慌への突入、世界経済の崩壊という中で、帝国主義もスターリン主義も末期的な危機に突入し、その延命をかけて新自由主義政策が、スターリン主義圏をも包摂する形で展開されている。この核政策は、その新自由主義政策の展開と一体で進められているのである。したがって、こうした世界のあり方を根底から転覆し、核兵器も原発もこの地上から廃絶していく道は、まさに世界の労働者階級の核への怒りの共有であり、新自由主義との対決であり、それらを通じた全世界の労働者階級の団結した闘い以外にありえない。「外注化阻止・非正規職撤廃」と反原発闘争は、労働者階級の国際的団結をつくりだしていく二つにして一つの柱なのである。
今回の北朝鮮の核実験は、特に中国と北朝鮮、韓国、そして日本の労働者階級の団結を形成していく可能性を示している事件である。東アジアを世界革命の拠点にしていく展望が、ここには示されているといえる。(K)
写真は上から、①12日、遼寧省沈陽市 北朝鮮の総領事館前、②同、③13日、安徽省合肥市での抗議行動、④13日、黒龍江省ハルビン市の張り出された抗議の横断幕、⑤14日、湖南省衡陽市での抗議デモ
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