逃げるJRを追撃/動労水戸不当労働行為粉砕裁判
動労水戸不当労働行為粉砕裁判の第7回口頭弁論が4月19日、水戸地裁第1民事部(脇博人裁判長)で開かれた。運転士登用差別事件での最高裁判決の完全履行、昇進差別による損害の賠償をJR東日本に求めた裁判だ。この日は原告の組合員と執行部がストに入って参加、組合員の家族と支援も駆けつけた。
原告代理人の松田生朗弁護士はあらためて、水戸支社での全運転士の超過勤務手当、夜勤手当の平均データ開示を被告に求めた。被告代理人はあくまでデータ開示を拒み裁判長も「出さないとおっしゃってるので……」と被告に肩入れした。これに対して松田弁護士は「なぜここにこだわるのか。会社は当然、全データを持っている。それを開示すれば被告が最高裁判決を履行したのかどうかは即座にはっきりするからだ」と迫った。さらに「超勤のない運転士はいるのか」と質問すると、会社側代理人が「わかりません」と逃げ、傍聴席から「ふざけるな!」と怒りの声があがった。
原告は「動労水戸組合員はなぜ昇進試験に合格しないのか」、すなわち会社の一貫した動労水戸敵視を明らかにしてきた。第7準備書面では、東日本労組(旧鉄産労)の配転差別裁判(組合側勝訴)の資料を使い、「一企業一組合方針」のもとで会社と東労組がいかに他の労組を差別してきたかを明らかにした。国鉄分割・民営化を認める労組さえ差別されており、結成以来、国鉄分割・民営化反対を貫いてきた動労水戸が今も不当労働行為を受け続けていることを具体例を挙げて明らかにしたものだ。
国鉄時代から民営化後も含めた動労水戸への敵視政策を明らかにした原告側提出の第5準備書面に対しても、JR東日本側は一貫して認否を拒否している。松田弁護士が「黙っているということは認めるということだ」と述べると、被告側代理人は「国鉄とJRは別法人であり無関係」と言い放った。傍聴席から「同じじゃないか」と怒りの声が上がった。
総括集会で、代理人の葉山岳夫弁護士は「まさに『不誠実団交』そのものだ」と会社側の姿勢を弾劾した。同じく山本志都弁護士は「消滅時効」をも主張して損害賠償を逃れようとしている会社側を全面批判した。石井真一委員長も「動労水戸は結成以来、組合員の半数以上が売店などの関連事業に塩漬けされてきた。運転職場復帰後も、ずっと不当労働行為は続いている。裁判長は『いつ不当労働行為は終わったのか』と聞いてきたが、まったく終わっていない」と述べた。
集会後、組合員はJR水戸支社前で抗議行動を行い「違法企業JRを許さないぞ! 組合差別をやめろ! 最高裁判決を履行しろ!」「外注化阻止! 被曝労働強制を許さないぞ!」と怒りのコールをたたきつけた。次回口頭弁論は、6月28日午後1時30分から水戸地裁で開かれる。(O)
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