天神峰やぐら裁判、「反対同盟の所有権を認めよ」
9月2日、千葉地裁民事第3部(廣谷章雄裁判長)で、「天神峰やぐら裁判」の弁論が開かれ、三里塚芝山連合空港反対同盟と支援の労働者・学生・市民は「農地死守」の気概に燃えて傍聴席を埋め、ともに闘った。
この裁判は、市東孝雄さんの農地裁判(現在は東京高裁で控訴審)において成田空港会社(NAA)が市東さんに明け渡しを求めている物件のうち、天神峰の監視やぐら、看板など4つの工作物が、市東さん個人の所有物ではなく反対同盟の所有であることを認めさせて、強制撤去を阻止するためのものだ。
NAAはこのやぐら裁判で、前任の多見谷寿郎裁判長(農地裁判一審で反動判決を下した張本人!)にそそのかされる形で、事実関係で争うことを放棄し、「請求の却下を求める」という姿勢をとってきた。つまり「やぐらの所有権が誰にあるかを確認することに、原告の訴えの利益はない。だから審理などせずに手っ取り早く却下判決を出してくれ」というわけだ。
この日の法廷で、このNAAの卑劣さ無責任さが一層浮き彫りになった。廣谷裁判長から「所有権については、争わないということでいいのか」と問いただされ、さらに反対同盟顧問弁護団から「やぐらなどが反対同盟所有ということについては認めるんだな」と念を押された。NAAの代理人らは不安げな表情で顔を見合わせ、「次回までに書面で対応する」と言うのがやっとだった。
さらに弁護団は、反対同盟のカラーリーフレット、空港周辺地域に配られている「反対同盟ニュース」、農地裁判控訴審での市東孝雄さんの意見陳述などを証拠として提出し、農地を守って闘う大義をあらためて裁判所に突きつけた。
次回期日を10月28日として閉廷し、一同は裁判所近くの会場に移動して報告集会を行った。
葉山岳夫弁護士を始め弁護団が発言し、NAA側を圧倒して今回も早期結審を阻止したことを勝利的に確認した。
さらに、千葉地裁民事第2部に係属する「耕作権裁判」で、東京高裁第7民事部によるNAAに対する文書提出命令が7月29日に確定したことが、重大勝利として報告された。この命令に従ってNAAは9月5日までに、市東さんの農地を旧地主から買収した経緯のかかわる報告書などを提出しなければならない。もう言い逃れはきかない。
そして10月8日に東京高裁第19民事部で開かれる農地裁判控訴審第3回弁論においては、貝阿彌誠裁判長から小林昭彦裁判長へ交代したことに伴って更新手続きが行われ、市東孝雄さんが意見陳述を行うことが明らかにされた。
三里塚裁判はこのように、個別の裁判におけるそれぞれの白熱的な攻防が重なり合って、全体として力強く前進していることが明らかにされ、参加者を勇気づけた。
質疑応答の後に、動労千葉と「市東さんの農地取り上げに反対する会」が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは、安倍政権によって成田市が「国家戦略特区」に指定され、新自由主義攻撃のエジキにされようとしていることを指摘し、激しい怒りを表して「この成田市から社会を変える大反乱を起こそう」と訴えた。
最後に司会の伊藤信晴さんが10・8農地裁判控訴審―10・12三里塚現地闘争への結集を力を込めて訴えて、集会を締めくくった。
この日の午後も反対同盟と支援連は炎天下の千葉市繁華街に繰り出し、農地取り上げに反対する3万人署名の情宣活動に立ち上がった。安倍政権の戦争政策と農地取り上げ攻撃への怒りの訴えが一帯に響き、多くの人びとが足を止め署名に応じた。(TN)
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