「病院の民営化反対!」寧波市の病院で全医者・看護師がストライキに決起
11月23日、浙江省寧波市にある鄞州第三病院で医師・看護師ら全職員による民営化反対のストライキが闘われた。この病院は公立病院であるが、電力・家電産業の大型企業集団であるAUX(奥克斯)が経営する明州医院に買収・併合されて民営化(民間委託)されようとしており、それに抗議してのストライキである。医者も職員も、緊急の患者以外は対応することを全面拒否して、ストライキを貫いた。
公立病院は民営病院となり、職場は営利目的の企業となる。医者や看護師の待遇は、経営が国家から企業に変わり、リストラが行われ、労働環境は確実に悪化する。また医者や看護師にとって患者個人は「金儲けの関係」に変わる上に、患者は医療保険も使えなくなる。これは理念的にも制度的にも医療のあり方の根本的な転換である。
民営化によって公的な医療制度は解体し、保険制度は崩壊し、金持ちのみが医療を受けられ、貧乏人は病院に行けなくなってしまう。ただでさえ中国では医療保険制度が一般化せず、「家族に病人が出たら、その家は潰れる」とさえ言われている現実があるのだ。一方で民営化は、医療労働者も生きていけないような状況に追い込んでいく。
中国では現在、病院の民営化が進むとともに、一方で外資系の病院の設立も許されるようになってきている。ここには日本で今導入されようとしている「混合診療」と本質的に同じ問題がある。保険のきかない高額な「先進医療」によって儲ける金持ち対象の一部の病院が生まれ、そのような病院が増えていくことで一般の病院が経営が困難になるとともに、保険の対象となる医療の範囲もだんだんせまくなっていく。こうして公的医療保険制度そのものが解体し、労働者は病院に行けなくなっていくのである。中国で進んでいる民営化と外資系病院の建設も、資本家などの一部の金持ちのための医療への転換であり、ただでさえ確立していない保険制度の解体そのものなのである。民営化は、医療労働者も含めて、労働者階級の「生きる権利」の切り捨て攻撃そのものである。
こうした新自由主義的な医療政策への怒りが爆発したのが、このストライキである。したがってこの中国での医療労働者のストライキは、まさに「医療制度改革」と対決する日本の医療労働者に対する闘いの檄でもある。また、民営化と一貫して闘ってきた国鉄労働者の闘いにこそ、勝利の核心がある。
中国の医療労働者の闘いと連帯して、「医療制度改革」を粉砕しよう! 国鉄闘争を闘って、衆院選に勝利しよう!(K)
写真は、「ストライキを闘う鄞州第三病院の医療労働者」(横断幕は「鄞州第三病院の全職員は、企業への委託経営を拒否する」)。
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