国際連帯強め11・3へ 交通労働者が一斉にスト ベルリン 組合の違い越え連帯し決起
今、ヨーロッパの労働者の闘いをけん引しているのは交通労働者だ。
交通部門は、新自由主義攻撃の中で民営化の突破口と位置づけられ、戦闘的労働組合つぶしの軸となると同時に、鉄道・運輸資本の国際的争闘戦の場となってきた。ヨーロッパの国鉄民営化は、日本の国鉄分割・民営化(1987年)を引き継ぎイギリスで94年に開始されたが、分社化・外注化を強行した結果、重大な鉄道事故を頻発させ手直しを余儀なくされた。
ドイツとフランスでは鉄道労働者の抵抗で現在に至るも民営化を貫徹できず、EU(欧州連合)委員会から「外国鉄道資本の参入に門戸を開け」と圧力をかけられている。注目すべきなのは、EU圏の鉄道・交通への進出を狙って、日本のJRや車両会社とともに中国の鉄道会社(中国中車など)が機会をうかがっていることだ。
EUにおける鉄道・交通民営化の主戦場はドイツである。ドイツ国鉄は94年に政府が株主のドイツ鉄道株式会社(DB)に、99年には長/短距離旅客交通・都市交通・貨物運送・運営管理・保線などの部門に分社化・細分化された。ベルリンでは地下鉄とバス、路面電車は、ベルリン市交通局とその子会社によって運営され、ベルリン市の行政的管理下に置かれている。ベルリン都市鉄道はDBによって運営され、政府の管理下にある。そして、それぞれの労働者が別の労働組合に組織されている。
このような分断を打ち破ったのが今年春の大ストライキだった。2月15日、公共サービス部門のストライキの全国的な波のなかで、地下鉄とバス・路面電車の1万4500人の労働者が賃上げと労働条件改善を求めてストライキに入った。早朝3時30分から12時までベルリン市内の地下鉄・バス・路面電車は完全にストップした。これは実に6年ぶりの大闘争だった。
ベルリン都市鉄道の労働者は2007年にGDL(ドイツ機関士労組)指導下で5カ月にわたる連続ストを闘い、「ドイツ・ストライキ共和国」と呼ばれる事態をつくりだし、その後もねばり強く闘ってきた。今回はEVG(鉄道・交通労組)傘下の地下鉄・バスなどの労働者が立ち上がった。これに対しては都市鉄道で働く労働者も連帯のアピールを発した。
ドイツは全労働人口に占める低賃金労働者の割合がEU内で最も高いとされ、ミニジョブ(平均賃金が月額450ユーロ以下で非課税の職)に就く労働者の割合が全労働人口の23%、ダブルジョブが教育・医療・社会保障などの分野を中心に340万人という状況にある。自動車産業が危機に陥る中、フォルクス・ワーゲンなど自動車メーカーでは大量首切りの嵐が巻き起こっている。
こうした状況下で、ドイツ労働者の新たな決起が始まった。その先頭に立つGDLベルリン都市鉄道支部の仲間が、11月3日、日比谷集会に参加するため来日する。ドイツ労働者との国際連帯のきずなをうち固め、共に新自由主義を打ち破ろう。
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