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三里塚新やぐら裁判、NAAの農地法違反を徹底追及

20151020a-1.JPG 10月19日、新やぐら裁判の第3回弁論が千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)で開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、農地取り上げ攻撃への怒りに燃えて、この日も全力で闘いぬいた。
 この裁判は、農地法裁判(現在上告審)で市東さんが明け渡しを求められている天神峰の耕作地、その一角に建つ反対同盟所有のやぐら、看板など四つの工作物の収去を求めて、成田空港会社(NAA)が反対同盟を不当に提訴した裁判である。

20151020a-2.JPG 開廷を前に原告NAAの代理人が、被告席に反対同盟の萩原富夫さんが座っていることに難くせをつけてきた。言うまでもなく萩原さんは現在、反対同盟事務局の中心を担って闘いの先頭に立っており、北原鉱治事務局長が不参加のこの日は反対同盟代表として被告席にいるのは当然だ。それにいちゃもんを付けるとは何事か! 弁護団(被告代理人)は猛然と抗議し、傍聴席からも次々と弾劾の声が発せられた。裁判長はNAAの肩を持ち、「反対同盟の組織構成などについてはあらかじめ知っているわけではないので、事前に伝えてほしかった」などと言うが、そのくらいのことは当然にも把握しておけ、ということだ。萩原さんが堂々と被告席に座り続ける中で開廷した。
 弁護団は、NAAの主張に反論する準備書面(2)を陳述した。
20151020a-3.JPG NAA=空港公団は、1988年に市東東市さん(孝雄さんの父・故人)の耕作地の底地を旧地主から「空港施設に転用する目的で買った」と言い張るわけだが、東市さんが反対同盟の一員として「空港絶対反対」を貫いて畑を耕し続けている以上、実際の転用のめどはまったく立っていなかった。公団は市東家に秘密で買収し、その後十数年間賃借地として市東家が耕作し続けることを認めてきた。こんな「買収」は違法・無効だ。
 主観的には「転用目的」と言いながら、つごうがつかないから放っておくなどというのは、農地法第5条違反だ。
 実際には、農地を農地として売買しており、耕作者である市東さん以外の第三者が地主から農地を買い取るというのは、農地法第3条違反だ。
 また、空港公団本社は96年まで東京にあった事実から、不在地主が農地を所有することを禁じている農地法第6条に違反している。
 つまり、農地を守り耕作者の権利を守り自作農を推奨している農地法の根本精神に、ことごとく反する違法を重ねたということだ。
 そして、空港公団の用地事務取扱規定38条には、「取得しようとする土地に賃借権=耕作権などがあるなら、所有者、関係者にこれら権利を消滅させること」と書いてある。つまり、同意を得て損失補償しろということだ。ところが原告NAAは「これはうちの内規だから違反してもかまわい」などと恥知らずにも居直った。これは明らかに憲法29条違反だ!
 NAAが地主の顔をして、農地ややぐらの明け渡しを迫る資格はまったくないのだ。
 陳述を終えると弁護団はすかさず追撃を行った。NAAが、農地法裁判ではやぐらの所有者を市東孝雄さん個人とし、この新やぐら裁判では所有者を反対同盟としている矛盾を指摘し、「どう整合的に説明するのだ!」と鋭く追及した。
 上野至を筆頭とするNAA代理人は「訂正したんじゃないですかね」(何を?どう?)「本件と別件は関係ない」などとしどろもどろの弁解をする。「説明になってないぞ!」「いい加減なことを言うな!」と怒号が傍聴席から浴びせられた。上野はかつて千葉地裁裁判官としていくつかの三里塚裁判で反動判決を下し、退官後にNAAの雇われ弁護士に成り下がったという最低の男だ。
 岸裁判長はこの「先輩」の窮地を見かねてか、「書面で提出を」とNAA側に促し、廷内の怒りを抑えることに腐心した。
 次回期日を1月25日として閉廷した。
 近くの会場で、伊藤信晴さんが司会を務めて報告集会が開かれた。最初に萩原富夫さんがあいさつし、NAAのケチつけを一蹴しながら10・11三里塚全国集会への結集へのお礼を述べ、農地法裁判上告審の奮闘を訴えた。
 さらに葉山岳夫弁護士を始め弁護団一人ひとりが、法廷での追及内容をていねいに解説しながら、裁判勝利への決意を明らかにした。
 最後に各支援団体が連帯発言を行った。全学連三里塚現地行動隊長は10・11全国集会、10・18反対同盟一斉行動の成功を踏まえ、農地死守の闘いに勝利する決意を述べた。
 集会終了後、反対同盟と支援連は千葉市繁華街に繰り出して、最高裁へ向けた5万人署名の情宣活動に立ち、軍事空港粉砕、安倍政権打倒、農地死守を訴えた。(TN)

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