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新やぐら裁判――拙速裁判もくろむ裁判長と激突

20170726a-1.JPG 7月24日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で新やぐら裁判の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、市東孝雄さんの農地を守り抜く決意で、この日も全力で闘いぬいた。
 この裁判は市東さんの天神峰の農地に立つ、反対同盟所有の4つの物件(①農地北側で空港敷地に隣接する看板、②旧小見川県道沿いに立つ看板、③東側誘導路に面するやぐら、④団結街道沿いのやぐら)の撤去とその土地の明け渡しを求めて、成田空港会社(NAA)が反対同盟を提訴したものである。

20170726a-2.JPG 最初に弁護団は、いずれの物件の土地も「空港反対」の意思のもとに市東孝雄さんないし父・東市さんが反対同盟に転貸したものであり、当時の地主の承諾を得て設置したことを具体的に明らかにした。
 次に弁護団は、今後の主張・立証プランについて明らかにした。そもそも原告NAAの土地取得は農地法第3条、5条、6条に違反して無効であり、農地賃貸借契約の解約許可処分は、財産権を保障する憲法第29条に違反している。NAAは強制手段発動を放棄するむね宣言しており、本件訴訟は権利の濫用である。4つの工作物には反対同盟に正当な占有権限がある。これらの立証には書証のほかに各分野の専門家証人、さらに反対同盟の市東さん、萩原富夫さんの証言が不可欠であり、相当の期日を要する。さらに具体的な立証計画を来年には提出する予定だ――。
 ところがこれに対し、内田裁判長は、「原告NAAの土地取得の問題などについてはこれまでさんざんやってきたから十分ではないか。専門家の意見書を年内に提出し、早期に証人申請を」と急き立ててきた。
 冗談ではない! NAAの土地取得の違法はこの裁判で最も重要な争点だ。NAAは卑劣にも裁判所の早期反動判決を当てにして、自分たちが行うべき主張・反論・立証を一切行ってこなかった。さらに農地法裁判上告棄却・判決確定をもって、「すぐに土地を取れる」と意気込んで本件訴訟の打ち切りを求めてきた。こうしたNAAの横暴があるからこそ、こちらは十分な立証、防御が必要なのだ。拙速裁判をやめろ!
 弁護団の猛然とした抗議とともに、傍聴席からも裁判長を弾劾する怒りの声が次々と上がった。
 裁判長は狼狽(ろうばい)しながらも執拗(しつよう)に「意見書を年内に」と繰り返し、NAA代理人は尻馬に乗って「被告のプランには到底応じられない」などと述べた。
 「ふざけるな!」「この恥知らずめ!」と傍聴席からの弾劾で法廷が充満した。弁護団は裁判長に、「いたずらに予定の消化を急ぐのではなく、内容とその必要性で考えるべきだ。年内は不可能」と強く申し渡した。
 さらに、農地法第20条を使って農地の賃貸借契約の解約許可を県知事から取り一方的に解約するというやり口について、弁護団は徹底的に追及した。1970年に千葉県が、空港に反対している農家に対しその方法で一方的に解約することの是非を農林省に問うたところ、農林省は「小作者に補償を受ける機会を失わせる」と明確に否定した。この先例に反して、NAAはこの脱法的手法で市東さんに農地明け渡しを迫り、裁判所がそれを認めたのだ。NAA代理人は「先例としてあるのは知っている」などと他人事のように述べるが、その居直りを絶対に許さない。
 次回期日を10月30日、次々回を1月20日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた(写真上)。葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団全員が発言し、あせりに駆られた内田裁判長の拙速裁判攻撃を打ち砕く決意を表した。
 市東さんの農地取り上げに反対する会とユニオン習志野の連帯発言に続き、決戦本部長の太郎良陽一さんが8・10請求異議裁判への全力決起を強く呼びかけて締めくくった。
 反対同盟と支援連は午後には千葉市繁華街に情宣活動に出て、農地取り上げ強制執行に反対する署名を声をからして訴えた(写真下)。(TN)

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