1. HOME
  2. ブログ
  3. 三里塚新やぐら裁判、NAAの農地法違反を追及

三里塚新やぐら裁判、NAAの農地法違反を追及

20170307a-1.jpg 3月6日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で、新やぐら裁判の弁論が開かれた。
 農地法裁判で一審千葉地裁・多見谷寿郎裁判長は、市東孝雄さんに対し農地の明け渡しを命じるとともに、天神峰農地に建つやぐらや看板などの工作物を撤去せよという判決を下した。だがこれらの工作物は三里塚芝山連合空港反対同盟の所有であり、市東さん個人の所有ではない。判決は重大な誤りを含んでおり、無効だ。このずさん極まりない判決に乗っかったまま最高裁の上告棄却決定も出されている。
 一方で、成田空港会社(NAA)は、工作物が反対同盟の所有物であることを居直り的に認め、反対同盟に明け渡しを求めて起こしたのがこの裁判だ。

20170307a-2.jpg 前回NAAは、「農地法裁判で判決が確定し市東さんに明け渡し義務が発生したのだから、この新やぐら裁判の審理を打ち切るべきだ」と主張したが、裁判長からも「当事者が別」とあえなく却下され、あらためて書面を提出するよう命じられた。NAAが「確定判決」に頼りきり、自ら起こした裁判を打ち切ろうとすること自体とんでもないが、そもそも所有者を誤ったまま判決を出した千葉地裁に重大責任がある。
 午前10時30分に開廷し、反対同盟顧問弁護団の西村正治弁護士がNAA側準備書面7に対する反論を行った。以下の通り。
 NAAは、「離作補償」額の算定について、賃借権の収用(耕作権を奪うこと)を想定した計算であることを初めて認めた。このことは実質的に公用収用に伴う補償であると認めたということである。公用収用の場合、「完全な補償」を支払うことによってはじめて財産を取得できるという原則から、前払いでなくてはならない。もし何の担保もなく明け渡され、企業が破産したらどうするのか。
 さらに、不在地主が小作地を所有することを禁じている農地法第6条に違反するとの指摘に対しNAAは、「用地取得が計画通りに進まなかったから」と弁解する。だが、自らの計画の見通しが甘いだけで違法性が消えるわけではない。こんなものが認められたら企業の自由な農地取得が可能となり、自作農主義の農地法原則をねじ曲げるものとなる。NAAは、転用計画もなく農地を15年も保有し、耕作させ地代を取っていたことから違法性に弁明の余地はない。
 また「仮に農地法違反だったとしても、『国がその小作地を買収する』とされているだけで、農地の所有者であり賃貸人であるというNAAの地位は変わらない」とNAAは主張するが、農地法9条1項の趣旨を180度ねじ曲げるものである。国が違反者に対して小作地を買収できるとしているのは、違反者が協力しない場合に最終手段として国の強制買収を認めているものであり、違法状態を認めるものではない。15年も登記しないまま不在地主状態を隠ぺいし農地法第9条に違反してきたNAAには、土地の所有権も賃貸人としての地位も認められない!
 その後、内田裁判長はしきりに立証計画等のタイムスケジュールを出すよう弁護団に迫ったが、同じ2部で進行している耕作権裁判との関係も考えるように促されると「お考えとしてはわかりましたけど」と述べ、NAA側にも書面を準備するように指示した。NAA代理人は終始ふてくされた態度で応答した。
 次回は5月22日、次々回を7月24日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で報告集会が伊藤信晴さんの司会で開かれた。冒頭に反対同盟事務局の萩原富夫さんが、「これから市東さんの農地への強制執行に反対する署名運動などの大衆的な闘いを住民とともに進めていきたい。この裁判で問題となっているヤグラは市東さんの農地の中にある。農地を取らせない闘いの一環なので今後もよろしくお願いします」とあいさつした。続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団全員から、NAAの矛盾を突き徹底的に攻める決意が語られた。
 動労千葉の滝口誠さんは連帯発言で、3日間のストライキへの支援に感謝を述べ、「ダイヤ改定はやられたが、現場の闘いはむしろこれからだ。実施後であっても理不尽さに対して声を出していこうという気運になっている。2003年に広島の可部線が廃止されたが、安芸太田町の婦人民主クラブ全国協の仲間が中心となって闘い、16キロ区間を復活させた。おそらく初めてのことだ。地道に住民とともに闘えば勝てる」と訴えた。
 最後に決戦本部長の太郎良陽一さんが「請求異議裁判の開始に見られるように、われわれの闘いで流れを押し返してきた。逆転勝利もゼロではない。胸を張って意気揚々と闘える時間を作ることができた。天神峰に足を運び、力強い未来をひ らく闘いをやろう」と訴え、3月18日、成田市公津の杜で行われる映画「襤褸(らんる)の旗」上映会と、3・26全国総決起集会(成田市赤坂公園)への大結集を呼びかけた。(N)

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事

アーカイブ

月を選択