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三里塚強制執行弾劾!反対同盟が怒りの徹底抗戦

「こんなやり方に正義はない」とマスコミの取材に答える市東孝雄さん(2月15日夜 成田市天神峰)

三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの農地に対し、成田空港会社(NAA)は2月15日夜、ついに強制執行に踏み切った。

新聞などが「15日にも執行」と報じたことで反対同盟は「来るなら来い」の決意と覚悟で緊急行動を呼びかけ、全学連をはじめ支援者が前夜から未明にかけて天神峰現地に続々と結集した。
午前2時、この時点で駆けつけることができた人びと全員、約50人が、市東さん宅中庭に焚火を囲んで集合。最初に市東さんが、「いつかは来るということで構えてきましたが、今日がその日となりました。でも闘いは今日で終わるわけではありません。今日皆さんそれぞれができることをやってほしい。なるべくけがをしないように」とあいさつした。
この言葉を受けて、反対同盟各氏、現地常駐の支援連絡会議、現地闘争本部員、全学連の若者たちから年配者まで、一人ひとりがこの日に臨む決意と覚悟を述べた。焚火のあかりに照らされるそれぞれの顔は、みな「自分ができるすべてのことを今日やる」との意気込みにあふれている。革共同の秋月丈志書記長も、日本帝国主義の戦争を内乱に転化し三里塚闘争の勝利まで闘いぬく決意を表した。
決戦本部長の太郎良陽一さんを中心に、この日の戦術や行動方針などを確認し、それぞれの任務配置に就いた。

三里塚反対同盟と動労千葉が固くスクラムを組んで「強制執行粉砕!」を誓い合った(2月15日 日中の集会で)

夜が白々と明けてくる午前6時に、旧小見川県道に全員が並び、決起集会を行った。一帯を覆う冷気が「強制執行実力阻止!」「農地死守!」の叫びで震えた。集会中に東京、神奈川などの各地区、婦人民主クラブ全国協などの車両が続々結集してくる。さらに午前9時、午後1時、午後3時と波状的に集会をかちとった。
反対同盟の萩原富夫さん、伊藤信晴さん、宮本麻子さん、木内敦子さんがそれぞれ闘いの決意を表明。動労千葉の組合員も関道利委員長を先頭に午前中から駆けつけ、反対同盟と固いスクラムを組んで労農連帯の気概を表した。
全学連の学生たちはそれぞれ、実力阻止の先頭に立つ決意を自らの言葉で熱く語った。

NHKが唐突に「今夜に執行」と報じたのはその日の夕刻だ。「夜に執行だと!?」

怒りをたぎらせ、翌日の闘いに備えていったん帰路についた人々も現地に取って返した。
市東さん自身を先頭に反対同盟と支援は路上でスクラムを組み、敵を迎え撃つ態勢をとった。全学連は主に旧県道沿いの反対同盟看板を中心に布陣した。
夜8時、高級乗用車が開拓組合道路に駐車すると、看板上で監視していた全学連の同志がこれを即座に執行官と判断し、鋭く笛を鳴らした。ほぼ同時に市東さん宅向かいの警察「前線指揮所」から数百人の機動隊がなだれこんだ。

突入の機をうかがう萩原富夫さん(上)、機動隊の突撃をスクラムで迎え撃つ伊藤信晴さん(下)

機動隊は数の勢いで反対同盟のスクラムを破り、市東さんをも押し倒して団結街道に突入した。たちまち肉弾戦に発展し、怒号とシュプレヒコールが飛び交う。機動隊の盾と生身の人間が激しく衝突する音が絶え間なく響いた。
当事者である市東さんをはじめ、誰も執行官の宣言を確認していない(千葉県のNHKニュース映像ではわずかに執行官の宣言のシーンがあるが、現場では誰一人聞いていない)。
警察はこの日のために用意した鉄製の伸縮式車両阻止柵(通称ジャバラ)を団結街道奥まで暴力的に展開して街道遮断地点で固定し、市東さん自宅と天神峰農地を分断した。このジャバラを公道側にも展開して農地を完全に囲い込み、中で座り込む人びとを排除していく作戦だ。
東峰開拓組合道路側では反対同盟宣伝カーを中心に数人の仲間が構え「農地強奪許すな! 強制執行やめろ」のアピールを発し続けたが、その場所からの身動きを封じられた。
すべてが違法極まりない襲撃だ!

「ジャバラ」を押し返し機動隊を終始圧倒する全学連

農地側から外に押し出された市東さんを、報道記者が取り囲みマイクを向けた。「いきなり機動隊が突っ込んできて2度も倒された。執行官と会わせろと言ったら『今呼ぶ』などと言ってたが、全然会っていない。こんなやり方は認められないし間違っている。国民の権利を守らず、国策の名のもとに自分たちのやりたいようになんでもやる、そういう国の姿勢が俺は大嫌いだ。自分たちが正しいと言うなら、暗くなってからではなく堂々と昼間やればいい。それができないのは、NAAに正義性がないということだ」と強い憤りを湛えて訴えた。そして「今農地に多くの警察官が足を踏み入れていますが、いかがですか」との質問に答えた。「やはり忍びないし許せないです。そういう私たち農民の気持ちなんてNAAは全然分かっていないですよ。野菜などの作物は私たちにとって子どもと一緒。それを踏みつぶされたりするというのは、悲しいし納得できるものではありません」
集会や援農で多くの人びとが慣れ親しんできた天神峰農地と中庭に、複数の重機が搬入され、破壊と強奪が次々と進められていった。絶対に許すことはできない!

ジャバラの裂け目から機動隊に突撃。機動隊は防戦一方だ

反対同盟は実力闘争の先頭に立って機動隊を押し返し、各所でマイクを握って仲間を激励した。萩原富夫さんは、ジャバラを乗り越えて機動隊の阻止線を強行突破し、執行阻止を試みた。

全学連が満身の怒りを込めて立ち上がった。女子学生を先頭に完全武装の機動隊に素手で挑みかかり、鉄拳を浴びせ装備をはぎ取り、阻止線を各所で突き崩した。透明の盾、指揮棒、ヘルメットなどが奪い取られ打ち捨てられた。
機動隊は、この日のために導入したジャバラに頼りきることでむしろ自分たちの脆弱性をさらけ出した。全学連はジャバラを格好の攻撃対象にして、機動隊を押しまくり圧倒した。破壊された継ぎ目から突入を繰り返し、あるいは個別の機動隊員を引きずり出して、地面にたたき伏せた。
やつらは「ジャバラにさわるな」「壊れる」「危ないからやめろ」などと悲鳴を上げるのみ。

看板上に高所籠城する全学連2人が機動隊と徹底抗戦

この実力攻防が夜を徹して実に十数時間繰り広げられ、機動隊はそこかしこで撃破された。
旧県道に面して立つ反対同盟看板の頂上部には、寒風吹きすさぶ中を2人の学生が籠城(ろうじょう)し「やぐら」と化している。
2人は旗を振り、渾身の戦闘的アジテーションを続けている。1人が着ている半纏(はんてん)は、今は入院・手術でこの場に参加できない70年代全学連の大先輩から託されたものだ。
高所籠城に入ってから数時間が経過し、凍るような寒気で2人の健康が気遣われる。全学連の部隊は2人の名前を呼びかけ、必死のエール交換を続けた。
警察は高所作業車を導入してきた。暴力的に2人を排除するつもりだ。学友の怒りのシュプレヒコールが激しさを増す。
体力と体温を奪われながら残った気力のすべてを集中し、2人は作業車のバケットで迫ってきた機動隊との徹底抗戦を貫き、午前3時ころに「公務執行妨害」で逮捕された。抑えつけられた2人を乗せた作業車が目の前を通過し、機動隊指揮所の中へ。
2人の名を繰り返し叫びながら再び全学連の怒りが爆発し、ジャバラを乗り越え、防戦一方の機動隊をさんざんに打ちのめした。
機動隊は交代制をとって休憩と出動を繰り返すというのに、代わりの者などいない全学連との戦いに完全に敗北を喫した。
市東さん宅離れの屋根の上でも解放派を中心に、高所籠城の闘いが夜が明けてもなお続けられた。
それぞれがこの日のために蓄えてきた力をすべて出し尽くして、15日未明から通算して30時間以上に及ぶ実力闘争を貫いた。

女子学生が先頭で国家暴力と対決しぬいた

権力の意を受けたマスコミは、意図的に今回の執行が「反対運動のやぐら・看板を収去する」ものだと強調し報道するが、市東さんという一農家の農地をつぶし、営農に必要な建物を破壊し、生まれた時から慣れ親しんだ場所を奪う強盗的暴挙であるという事実への卑劣なごまかしだ。
天神峰農地は周囲に鉄製のフェンスが張りめぐらされ、その中で農地の破壊が続いている。
だが、夜陰に乗じて「円滑かつ確実に」(田村明比古NAA社長)執行を済ませようとした敵の狙いは、完全に打ち砕かれ、戦争と軍事空港のために市東さんの営農を国家暴力で破壊する岸田政権の悪逆非道が徹底的に暴き出された。
16日の朝、市東さんは「悔しい結果ですがこれが終わりではありません。これからも共に闘いましょう」と一同に強く訴えた。

報道より。反対同盟看板に高所籠城して機動隊と戦う全学連の2人

(TN)

報道より(左上から時計回りで)。市東さんが先頭でスクラムを組み機動隊を迎え撃つ、照明車で照らされた旧小見川県道でうごめく千葉地裁・警察機動隊・警備会社員、警察が用意した伸縮式車両阻止柵=通称「ジャバラ」、破壊される監視やぐら

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