NAA主張の根拠は偽造文書だった! 耕作権裁判で事実経過暴く
10月24日、千葉地裁民事2部で三里塚芝山連合空港反対同盟・市東孝雄さんの耕作権裁判が開かれた。反対同盟と顧問弁護団、傍聴席を埋めた支援の労働者・農民・学生・市民が一体となって闘いぬいた。
今回弁護団は、空港会社(NAA)が土地明け渡しの根拠としてきた「確認書」「同意書」が偽造された無効な文書であることを、事実経過をもとにして決定的に突きつけた。1988年、空港公団(のちのNAA)は成田空港2期工事区域の未買収地の強制収用を策動し、その申請手続きにおいて市東孝雄さんの父である市東東市さんなど賃借人の権利を頭から否定し無視する違法とデタラメを繰り返したあげく、市東さんの賃借地を特定する図面を地主の了解もなく勝手に作成し、さらに市東名義の印鑑まで偽造して申請書類を完成させるという、とんでもないことをやっていたのだ。
この偽造の経過が明らかにされると、傍聴席から一斉に怒りの声が上がった。このインチキきわまりない図面をもとにして、市東さんは「不法耕作だ」「土地を明け渡せ」と迫られ、被告席に座らされているのだ。
弁護団は、藤崎との交渉や地籍測量図作成にかかわる一切の記録、報告書などについての文書提出命令を裁判所に求めた。青ざめてうつむくだけの原告・NAAの代理人弁護士に対し、傍聴席からも怒りがたたきつけられた。白石史子裁判長も今回はNAAをかばい立てすることもできず、「被告の偽造の主張に対しては、原告は証拠に基づいて反論を」と指示するしかなかった。次回の期日を1月23日として閉廷。
場所を移して、記者会見と報告集会が鈴木謙太郎さんの司会で開かれた。
冒頭に市東さんが立ち、「今日はどちらが被告か原告か分からないくらい向こうを追いつめた裁判でした。今後も容赦なく敵の悪事を暴いて闘いましょう」と決意を述べ、大きな拍手を浴びた。続いて葉山岳夫弁護士はじめ弁護団が次々と立ち、農地強奪攻撃を打ち返した手応えを込めて法廷を解説した。北原鉱治事務局長は、「法律を守っているのは誰か! こんな裁判で日本の将来はあるのか」とNAAの偽造を弾劾し、さらにTPPについて「日本農民を解体するものであり、やがて戦争への道に続く」と絶対反対を明らかにした。
市東さんの農地取り上げに反対する会、動労千葉の後藤俊哉さん、関実、群馬・市東さんの農地を守る会の青柳晃玄さんがそれぞれ連帯発言を行った。最後に萩原進事務局次長が、「ギリシャ発の危機が世界を覆う中で、人びとが立ち上がっている。この情勢下で三里塚闘争の位置は決定的だ。市東さんを守る輪を広げよう。三里塚裁判支援運動を発展させ、現地実力攻防に勝ちぬこう」と訴えた。(TN)
▼文書偽造の事実経過
①1988年春、空港公団(のちのNAA)は成田空港2期工事区域の未買収地の強制収用を策動し、千葉県収用委員会に審理再開を働きかけた。
②南台の畑については70年に収用のための申請書を公団は収用委に提出していたが、市東東市さん(孝雄さんの父)をはじめ3人の賃借人の権利は書かれていなかった。
③賃借権を記載しないと強制収用ができない。このことに気づいた公団は87年4月、収用委に「裁決申請書及び明渡裁決申請書の記載事項の変更について」と題する文書を提出した。
④収用委員会は公団に対して、賃借地に関する市東東市さん署名の文書の提出を求めた。
⑤88年3月、公団は「同意書」の1枚目を作成し、これを地主・藤崎に渡して東市さんから署名を取ってくるよう依頼し、藤崎は「同意書」の1枚目だけを示して東市さんから署名を取った。公団はそれを収用委に提出。だが収用委は、賃借地を特定する図面の添付が必要だとして公団に返した。
⑥公団は図面の作成を藤崎に依頼することはむずかしいと判断し、藤崎の了解をえず、勝手に地籍測量図を作成し、さらに勝手に作成した市東名義の印鑑で割り印を押して「同意書」「確認書」を完成させた。
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