市東さん耕作権裁判、NAAが偽造文書の原本をしぶしぶ提出
7月23日、千葉地裁民事第2部(白石史子裁判長)で市東孝雄さんの耕作権裁判の弁論が開かれ、三里塚反対同盟と支援の労働者・農民・学生・市民が傍聴席を埋めてともに闘った。
今回の法廷は主に書面のやりとりで終始したが、成田空港会社(NAA)はこの中で、今まではコピーだけを証拠提出していた「同意書」「境界確認書」の原本を裁判所に提出した。NAAが市東さんに「土地を明け渡せ」と迫る唯一の根拠は、この二つの文書に添付されている図面なのである。ところがそこに描かれている畑の位置は、市東家が耕してきた場所と違っている。
また弁護団の聞き取り調査で、旧地主の藤﨑政吉はこの図面について「自分は関与していない」と明言した。さらに弁護団によって、二文書に書かれた市東東市さん(孝雄さんの父・故人)の署名は偽造されたものであることが筆跡鑑定の結果明らかになったのだ! NAA側は警察OBによる「筆跡鑑定」で反論を試みたが、まったく鑑定と呼ぶに値しないずさんでいんちきな代物だった。こんなもので農民が丹精込めて耕してきた農地を「不法耕作」呼ばわりし強奪しようとは、悪質地上げ屋を上回る犯罪行為だ。
今回NAAは二つの文書の原本を渋々提出したが、当時の交渉記録、報告書といった多くの関連文書をまだまだ隠し持っている。弁護団は白石裁判長に対し、「文書提出命令」を出すよう重ねて求め、まともな釈明さえ行おうとしないNAAをさらに徹底的に追及する姿勢を示した。次回期日を10月29日(月)として閉廷。
近くの会場で報告集会が開かれた。司会は伊藤信晴さん。最初に市東さんが傍聴への謝意を表しながら、「これからいろいろな証拠が出てくると思うので、弁護士さんとともに闘います」と簡潔に決意を語った。続いて葉山岳夫弁護士をはじめ弁護団が法廷の解説と発言を行い、民事第3部で進む行政訴訟・農地法裁判とともに、この耕作権裁判が開始から6年たって重大局面を迎えていることが明らかにされた。北原鉱治事務局長があいさつに立ち、「藤﨑政吉が最近亡くなり、法廷に呼び出せなくなったのは残念。三里塚は裁判闘争とともに現地闘争がものを言う」と一同に奮起を促した。
動労千葉、関実、市東さんの農地取り上げに反対する会、群馬・市東さんの農地を守る会が連帯発言を行った。動労千葉の滝口誠さんは、10・1全面外注化攻撃との決戦に立つ決意を表した。最後に萩原進事務局次長がまとめの発言を行った。「国策、国益を真っ向から批判するわれわれの主張が今通じる時代だ。10万、20万と動き出した人びとへ大上段から訴えよう。全学連をはじめあらゆる階層の人びとが現地闘争に取り組んでほしい。その力を10・7三里塚全国集会に結集させよう」と熱を込めて訴えた。
★三里塚裁判スケジュール
◎市東さん行訴・農地法裁判
9月10日(月)午後1時30分開廷 千葉地裁
(渡辺清一・元千葉県農地課長の証人尋問)
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