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三里塚請求異議裁判、弁護団が陳述「強制執行許さない」

20170527a-1.JPG 5月25日、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で天神峰・市東孝雄さんの農地をめぐる請求異議裁判の第2回弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同
盟と顧問弁護団、全国から駆けつけた支援の労働者・学生・市民100人は、農地強奪の強制執行を許さない固い決意でこの日の闘いに臨んだ。
 小雨の中を午前9時に千葉市中央公園に結集し、太郎良陽一さんの司会で決起集会がかちとられた。
 最初に反対同盟事務局を代表して萩原富夫さんが発言に立ち、成田空港が第3滑走路建設と騒音地獄の拡大で周辺地域住民の生活破壊へと突き進む現実を厳しく断罪し、市東さん農地決戦の勝利を訴えた。続いて動労千葉の川崎昌浩書記長が、労農連帯を貫き共謀罪を粉砕する決意を述べた。さらに関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の発言を受け、意気高くシュプレヒコールを上げ千葉市内デモに出発した。

20170527a-2.JPG  「耕す者に権利あり」と大書された横断幕を掲げた反対同盟がデモの先頭に立ち、婦人行動隊の宮本麻子さんが宣伝カーから「強制執行阻止」のアピールを朝の繁華街のすみずみまで響かせた。
 デモ後、参加者は直ちに千葉地裁正門に再結集し、この間集めた強制執行反対署名の提出へ向かう市東さんはじめ反対同盟と顧問弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士を盛大な拍手で送り出した。民事第5部の書記官室に6395筆の署名用紙の合冊が積み上げられた。対応に現れた職員に、この署名に込められた一人ひとりの「農地死守」の思いを伝え、受け取らせた。
 午前10時30分に約70の傍聴席を埋めて開廷。
 今回弁護団は、2月に出された成田空港会社(NAA)の答弁書に対し、徹底的に反論し粉砕する準備書面を陳述した。
 ①被告NAAは、市東さんの「強制執行やめろ」と求める請求異議の訴訟について、「すでに農地法裁判で審理が尽くされ判決が出たものだから意味がない」と言うが、まったくの誤りだ。かつて空港公団(NAAの前身)が行った「平行滑走路の用地取得のために強制的手段をとらない」との公言は、農地取り上げの執行が実際に問題になっている今この時点でこそ、被告が遵守すべき鉄則として重大な意味を持つ。NAAは農地法裁判の審理の中で、この「強制的手段をとらない」との公言について、「明け渡しの訴えを起こすことまで否定していない」と言っただけで、あとは沈黙していた。ところがこの裁判での答弁書で初めて、「強制執行できる」とのあからさまな主張をし始めた。こんな公約破りは絶対に許されない!
 ②県知事によって下された、市東さんとの賃貸借契約の解除許可には、条件として「離作補償料の給付」が明記されている。NAAにとってそれはいつ実行してもいい「負担」ではなく、それなくしては効力を失う「条件」である。今もって支払いも供託もしていない以上、解約申し入れは無効であり、市東さんに明け渡しの義務はない。
 ③NAAが強制執行を求めることは、大量動員された裁判所の執行部隊と機動隊の暴力による流血沙汰をもって農地を取り上げ営農を破壊することであって、権利の濫用だ。そして、取り上げた農地を空港敷地として利用する計画を、NAAは一度として明らかにしたことはない。本来の空港敷地からはみ出る部分については、「特殊車両やコンテナの置き場にする」などと言うが、架空の「計画」であり緊急性・必要性はゼロだ。NAAは「部分執行もありうる」などとうそぶくが、一部分と言えども農地への強制執行は営農と生活全体を破壊するものであり、市東さんへの加害目的による恫喝執行だ。絶対に許されない!
 さらに弁護団は、「空港機能強化案」として出されている①第3滑走路建設、②B滑走路の1千メートル延伸、③夜間飛行時間の延長(20時間空港化)という計画が、周辺住民の不安と怒りをかき立てていることを指摘した。市東さんへの強制執行と合わせて、このようなとてつもない「強化案」=地域破壊計画の必要がいかなる根拠に基づくのか、釈明を強く求めた。
 弁護団の1時間に及ぶ堂々たる陳述が法廷を圧し、「確定判決」だけを頼りに強制執行をもくろんでいたNAAの代理人は顔色を失いうつむくばかりだ。
 次回期日を8月10日として閉廷した。
20170527a-3.JPG 千葉県弁護士会館で伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。最初に市東さんがあいさつに立ち、「NAAはつごうが悪い時はいつも沈黙しているが、いつまでもそんなことは許さない。徹底的に追及しよう」と訴えた。
 続いて弁護団全員が法廷での陳述をやりぬいた勝利感を湛えて法廷を振り返り、裁判勝利への決意を述べた。敵の早期打ち切り策動を完全に打ち破り、この請求異議訴訟が本格的な裁判闘争として発展している。天神峰農地にかかわる新やぐら裁判、南台農地にかかわる耕作権裁判、また住民の怒りと結合した第3滑走路阻止の闘いとも結びつき、NAA=空港を窮地に追いつめている。その原動力は、半世紀を超す三里塚闘争の正義そのものだ。参加者はその大きな勝利感を共有した。
 沖縄、福島の「市東さんの農地を守る会」、成田市民のAさんなどが連帯発言を行った。福島の会を代表して発言した動労福島・橋本光一委員長は、「三里塚と同じ”絶対反対”の闘いの真価が労働運動でも問われている」と述べ、国鉄決戦勝利の決意を明らかにした。婦人行動隊の木内敦子さんは、5・21天神峰カフェの成功を報告し、日常的に天神峰現地に足を運ぶよう訴えた(次回カフェは6月25日)。
 最後に伊藤さんが、6月26日の耕作権裁判(千葉地裁)と7・9三里塚現地闘争への結集を呼びかけ、全員が熱い拍手で応えた。(TN)

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