1. HOME
  2. ブログ
  3. 成田で三里塚全国集会―農地死守、軍事空港廃港を誓う

成田で三里塚全国集会―農地死守、軍事空港廃港を誓う

三里塚反対同盟を先頭に赤坂公園から成田ニュータウンデモに出発(10月13日)

三里塚芝山連合空港反対同盟が主催する全国集会が10月13日、晴天のもとで成田市赤坂公園において開かれ、全国から480人が結集した。参加者全員が、天神峰・市東孝雄さんの南台農地を実力で守り抜く決意を固め、成田空港の軍事化、中国侵略戦争への出撃拠点化を粉砕する気概で、成田ニュータウンをデモ行進した。

◎市東さんが不動の決意表す
本集会に先立ち、改憲・戦争阻止!大行進の独自集会が開かれ、三里塚現地闘争本部の同志が基調報告を行い、各地の大行進と全学連が闘争報告と決意表明を行い、会場を熱くした。
正午、司会の婦人行動隊・木内敦子さんが開会のあいさつを述べ、1966年の反対同盟結成以来「軍事空港反対」を掲げて闘ってきた意義を強調し、「この反戦の炎を、ここにいる若い学生たちに受け渡せたと思う」と、全学連への期待を表した。
反対同盟事務局の伊藤信晴さんが主催者あいさつを行った。日本全土で展開される日米軍事演習について「中国を敵視し侵略戦争を行おうとする破滅への道だ」と断言した。そして第3滑走路敷地にかかる130戸、騒音下住民220戸に移転を強制する空港機能強化攻撃と、それを空港拡張による税収増として喜んで受け入れた芝山町当局を厳しく弾劾した。

主催者あいさつを行う伊藤信晴さん

続いて東峰の萩原富夫さんが、基調報告を行った。
①9月30日に耕作権裁判が結審した。齊藤顕裁判長は、判決日を指定できなかった。千葉地裁を包囲し、必ず勝利判決をかちとろう。
②成田は機能強化として、「第3滑走路建設、B滑走路1千メートル延長、深夜早朝の規制緩和」を進めている。自民党政権は、沖縄・南西諸島を軍事要塞化し、全国28カ所「特定利用空港・港湾」を整備しようとしている。成田の機能強化は中国への戦争を準備する兵站(へいたん)拠点への大改造だ。
③機能強化は農地や里山をつぶす大規模環境破壊だ。国内農業を壊滅に追い込んできた自民党が「食料安保」を叫ぶ資格はない。気候危機の中で、排ガスを2倍化する機能強化は犯罪だ。
④三里塚は、農地強奪と軍事空港に反対し資本主義を倒す闘いの拠点だ。動労千葉をはじめ闘う労働者・学生・市民と連帯し、差別排外主義と闘い、沖縄・福島と共闘する。耕作権裁判勝利、機能強化粉砕、空港廃港へ!
以上の4点に簡潔にまとめられた基調報告に全員が賛同の拍手を送った。

基調報告を行う萩原富夫さん

連帯のあいさつの最初に動労千葉の関道利委員長が立った。反対同盟と車の両輪として闘う姿勢を明らかにした上、組合の大会において「戦争阻止」を最も重要な任務として確認したことを報告した。琉球弧が軍事要塞化され、中国への侵略戦争が準備されていることを具体的に暴露し、労働者の反撃が今絶対に必要だと強調した。「階級的労働運動をよみがえらせ、国際反戦闘争として11・3全国労働者総決起集会への結集を」と呼びかけた。
関西実行委のあいさつに続き、天神峰の市東孝雄さんが大きな拍手に迎えられて登壇し発言した。「18年続いた耕作権裁判は判決を待つのみとなりました。農地は命、農地がなければ農民は死んだも同然です。北原鉱治事務局長がよく、三里塚は裁判では勝っていてもいざ判決になると負けるんだと言っていました。しかしこの耕作権裁判だけは負けるわけには行きません。これからも体が続く限り天神峰で畑を耕していきます。みなさんに、おいしい安全な野菜を食べていただいて『おいしかったよ』とその一言を聞くことだけが、私が今畑をやっている一つの誇りの結晶かなと思っています。どんな判決が出てもみなさんとともに、三里塚58年の闘いをさらに盛り上げてがんばります」。市東さんの不動の決意に惜しみない拍手が続いた。

「どんな判決が出ようと天神峰で農業を続ける」と自らの信念を表す市東孝雄さん

◎全学連矢嶋新執行部が登壇
続いて反対同盟顧問弁護団の3人が発言した。耕作権裁判の争点を解説し、NAA側の主張がすべて破綻したこと明らかにした。その上で、仮執行宣言付きの最悪の反動判決が下されることをも具体的に想定し、現地での実力闘争の準備を今から進めることを訴えた。
「市東さんの農地取り上げに反対する会」「市東さんの農地を守る会」が、壇上に並び発言した。群馬・守る会を代表して発言した群馬合同労組の組合員は、市東さんを招いた9・16前橋集会の成功を報告した上、三里塚の存在に励まされて自らの職場で資本と闘っていることを報告した。また9・16集会で市東さんの話を聞いて深く感動した日系外国人労働者の組合員がマイクを握り、「私も戦争は許せない」とアピールした。
全国農民会議の小川浩共同代表は、農民を戦争協力に動員しようとする食料有事法を弾劾し、日本農業の存亡の危機が「米不足」となったことを暴き、日本農民の生きる道は三里塚との連帯にあることを訴えた。
婦人行動隊の宮本麻子さんが闘いの勝利へ向けカンパアピールを行った。
川口真由美さんが登場し、ギター弾き語りで自作の3曲を歌い上げた。空爆がやまないガザの現状を告発するメッセージソング「苦いコーヒーと甘いデーツ」が参加者の胸に刺さった。
司会を反対同盟事務局の太郎良陽一さんに交代し、福島の椎名千恵子さんが発言に立った。石破新政権の日米安保同盟強化は中国侵略戦争へ向けた核軍事同盟であることを指摘し、「三里塚のように闘う時代が到来した」と断言した。福島原発の汚染水海洋放出、廃炉作業での事故の頻発、再臨界の可能性などの現状を暴き、日米共同統合演習「キーンソード25」への陸上自衛隊福島連隊の参加に対し抗議行動に立つことを明らかにした。
「市東さんの農地を守る会沖縄」の川野純治さんは、石破政権による沖縄に対する差別・分断、辺野古基地建設推進攻撃を怒りをこめて弾劾した。
さらに、星野全国再審連絡会議の星野暁子さん、大坂正明さん救援会の小泉義秀事務局長、婦人民主クラブ全国協議会の荒井素子代表、全国水平同盟の田中れい子書記長、杉並区議会議員の洞口朋子さんなどが次々と発言にたち、三里塚連帯を表明した。

全学連新執行部が壇上に並び矢嶋尋委員長が「実力闘争で南台農地を守り抜く」と宣言

洞口議員は、切迫する中国侵略戦争情勢を語り、前日に都内で行われた反戦学習討論会の成功を報告し、帝国主義打倒の闘いに人生をかけてともに立ち上がることを訴えた。
矢嶋尋全学連委員長が、全学連新執行部とともに登壇すると、拍手と歓声で会場の熱気がひときわ高まった。矢嶋委員長はまず「どんな判決が出ようと体を張って市東さんの農地を守り抜き成田廃港まで闘う」と宣言。5月沖縄辺野古の座り込み、8・6原爆ドーム前集会、10・7イスラエル大使館抗議とこの間の激闘を列挙し、その勝利の根底に昨年の2・15天神峰強制執行と体を張って徹夜で闘い抜いた経験とそこで得た確信があることを明らかにした。実力闘争の実践が次々と学生・青年を闘いの隊列に獲得していることを報告し、中国侵略戦争情勢切迫のもとで「労働者民衆の実力で戦争を止め社会を変える大隊列を、首都東京に巨大に登場させることが私たちの選ぶ道」として、11・3日比谷への参加を呼びかけた。そして並んだ新執行部の総意として、「全学連は南台農地死守の決戦を昨年の何倍もの隊列で闘う準備は万全に整った」と断言し、参加者の喝采を浴びた。
最後に、壇上に反対同盟が並び太郎良さんが全力で訴えた。「戦争突入情勢のもとで『新しい成田空港』構想が打ち出され、地元の農地と自然と共同体をめちゃくちゃに破壊する空港建設が始まろうとしている。闘いはこれからだ。市東さんの耕作権裁判の判決に対し臨戦態勢で構え、判決期日が決まったら全国から千葉地裁に総結集を! われわれは強制執行と実力対決する陣形を作る」

集会の締めくくりに団結ガンバローを三唱した

◎ニュータウンを席巻しデモ
太郎良さんのリードで団結ガンバローを三唱し、反対同盟を先頭にデモに出発した。空港のために造られた町である成田ニュータウンの西口大通りを長蛇のデモ隊列が席巻し、強い日差しのもとで堂々と行進した。シュプレヒコールで日頃の静寂が打ち破られた。

赤坂公園の向かいにある大型商業施設は、24年2月に「ボンベルタ」から「そよら成田ニュータウン」へと大規模改装された。市当局やイオン資本ら関係者は「成田の文化発信の拠点にも」と意気込んでいるが、要するに「29年完成予定」の空港機能強化をあてにして、外国人観光客の需要をも取り込もうとする再開発であり、他の自治体と同様に「地方衰退」問題を抱える成田市が、ますます空港頼み一辺倒へとのめりこむものだ。そんな皮算用が当たる保証はまったくない。
デモ隊は「機能強化粉砕」「空港廃港」の鮮明なスローガンをニュータウン一帯に大きくとどろかせて進んだ。
沿道から多くの人々が手を振り、デモにエールを送った。また、赤坂公園出発から中学生の4人が歩道をデモとともに歩き、共感を表した。到着地近くで、宣伝カーに乗った市東さんと中学生との笑顔での対面・交流がかなった。

動労千葉、全学連のデモ。機能強化粉砕、成田空港廃港のスローガンが成田ニュータウンにこだました

JR成田駅近くまでの約4キロのデモを貫徹し、参加者は「農地死守」を固く誓い、11・3全国労働者集会・日比谷野音での再会を約束しあった。(TN)

スケジュール
◎団結街道裁判 10月25日(金)午後1時30分開廷 千葉地裁 市東孝雄さん本人尋問

熱唱する川口真由美さん

デモとともに歩いた中学生が市東さんと笑顔の対面

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事

アーカイブ

月を選択