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10・11三里塚全国集会、市東さんとともに「軍事空港粉砕・農地死守」誓う

20151012a-1.JPG 10月11日、三里塚芝山連合空港反対同盟の主催で、成田市東峰で「最高裁による強制収用許すな! 第3滑走路粉砕! 安倍政権打倒!」を掲げる三里塚全国総決起集会が開催された。
 会場は、天神峰の市東孝雄さん宅の南に位置する、東峰の萩原富夫さんの畑。開拓組合道路と一体で成田空港敷地のど真ん中を食い破って存在している。この畑を東西からはさむ2本の誘導路にはひっきりなしにジェット機が走行し、さらに暫定滑走路B’からの離陸も後を絶たず、一帯が激しい騒音地帯となっている。目の前には、機動隊の宿舎が建っている。

20151012a-2.JPG 心配された雨は午前中ですっかり上がり、適度に湿った黒い肥沃な土が、全国から結集した930人の参加者を迎えた。
 全学連は独自集会を前段に開催した。森幸一郎書記次長が基調報告を行い、4人の仲間への「監禁致傷」デッチあげ逮捕・弾圧への怒りをたたきつけた。東北大、広島大、沖縄大、京都大の学友が発言し、4人の奪還と三里塚連帯の決意を表した。
 開会を前に演壇では、「浪花のパギやん」こと趙博さんが弾き語りライブを行い、反戦・反原発・反権力の歌を熱唱した。
20151012a-8.JPG 正午を過ぎて開会し、冒頭に司会の伊藤信晴さんが二つの報告を行った。「①この日午前に、北原鉱治事務局長宅前に右翼が宣伝カーなど4台の車両で押しかけ、30分間にわたり三里塚闘争と北原さんを誹謗中傷する演説を行った。②この東峰の集会場を蹂躙し武装制圧しようとする国家権力・警察に対し、萩原富夫さんを先頭に反対同盟が決起し、実力で開拓組合道路を解放した」。伊藤さんは、右翼と権力の反動に対し、労農学連帯の力で大反撃することを呼びかけた。
20151012a-3.JPG 北原鉱治事務局長が主催者あいさつに立ち、三里塚闘争が今日まで50年続いてきたことに感慨を述べながら、戦争へと向って進む世界情勢に懸念を示し、「市東さんの農地を奪うことは命を奪うことと等しい。ならばわれわれもこの闘いに命をかけなければならない。世界の平和を目指し、成田を廃港に追い込もう」とアピールした。
 続いて東峰の萩原富夫さんが「反対同盟事務局からの報告」を行った。「この地で全国集会を開催したのは、市東さんの生活環境を実感してもらいたいから」と述べ、数々の空港施設や走行する大型機によって包囲され、警察が常時監視する20151012a-4.JPG状況のもとでの営農が、一つの闘いであることを訴えた。そして、「農地裁判上告審闘争の中で最高裁に向けての5万人署名を推進している。現在は約7千筆。市東さんを支援する力がもっと必要だ。第3滑走路は戦争法制のもとで、成田が軍事空港としての姿を現したものだ。周辺住民の安倍政権への怒りは本当に強い。私たちはこの地で市東さんの農地を守り、軍事空港建設を阻止することが人民の未来を切り開くと信じて闘いぬく」と、反対同盟の闘いの方向を鮮明に示した。
 続いて連帯のあいさつの最初に、動労千葉の田中康宏委員長が、新たに書記長となった川崎昌浩さんを伴って登壇した。田中委員長は、検修外注化阻止を掲げた10・1~2ストを報告し、「このストは総非正規職化攻撃との闘いであり、安倍政権による戦争法強行への回答でもある」と、ストの意義を強調した。そして、「安保国会闘争で日本の労働者階級がいよいよ本当の力を見せ始めたこの時、反対同盟が半世紀にわたり守りぬいてきた反戦の砦としての三里塚の位置がどれほど大きいかを感じた」と述べた。そして国鉄1047名解雇撤回闘争において、「分割・民営化は不当労働行為」との判決が最高裁で確定したことを受け、「闘いは今から、ここからだ! 11・1全国労働者総決起集20151012a-05.JPG会で、労働者・農民一人ひとりが歴史を動かす力を持っていることを示したい」と、一層熱を込めて11・1への大結集を要請した。
 関西新空港反対住民に続き、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部執行委員の西山直洋さんが連帯のあいさつを行った。西山さんは関生支部も結成以来50年を迎えることを紹介し、三里塚との連帯を誓った。そして9・11ストに立ち上がったことを報告し、安倍戦争政治を絶対に止めるとの決意を明らかにした。
 ひときわ大きな拍手に迎えられ、市東孝雄さんが登壇した。市東さんは、農地法裁判控訴審での東京高裁の不当判決を弾劾し、「農地を取られたらここで農業を続けることはできない。猫の額のような小さな畑だからよそへ移転してもやれるだろうと言う人もいるが、祖父の代から100年以上耕し続けてきた土地。そこが私のいるべき場所だと思っている。安倍政権の安保法制強行を見て、〈軍事空港反対・農地死守〉の反対同盟50年の闘いは間違っていなかったと実感できるようになった。動労千20151012a-6.JPG葉・動労水戸を先頭とする労働組合、市民運動、学生とともに、そして沖縄・福島で国策と真っ向から闘っている人たちと連帯し、私はこの地で一日でも長く農業を続けたい。そのために、もう一度みなさんの力を貸してください」と熱烈に訴えた。
 反対同盟顧問弁護団が登壇し、最初に事務局長の葉山岳夫弁護士が発言した。葉山さんは、空港公団=成田空港会社(NAA)が耕作者である市東東市さん(孝雄さんの父・故人)の同意なく秘密裏に旧地主から市東さんの南台耕作地の底地を買収した違法・不正を、ひときわ強い怒りで糾弾した。そして裁判勝利へ全力で闘うことを誓い、「道理を道理として認めさせるために、正義の力を結集し最高裁を追いつめよう」と呼びかけた。
 「市東さんの農地取り上げに反対する
会」と各地の「農地を守る会」が壇上に並んだ。群馬・市東さんの農地を守る会からは、動労千葉の闘いを知り群馬合同労組に加入した交通労働者が発言し、9・13高崎集会での市東さんの発言に感銘を受け、職場で団結を強化して闘う決意を述べた。「市東さんの農地を守る会・茨城」からは、小竹運輸グループ労組副委員長の野澤英人さんが発言し、「言葉よりも行動で、市東さんとともに闘うことを誓います」と気概を示した。
 全国農民会議のメンバーが緑色ののぼりを林立させて、壇上に勢ぞろいした。共同代表の小川浩さんがマイクを握り、「TPPの”大筋合意”で今後農家をやめざるを得ない人が続出するだろう。TPPは日米帝国主義の生き残りをかけた、中国をにらんでの経済ブロックであり、安倍戦争法と一体のものだ。農民会議は5万人署名にも全力で取り組み、市東さんの農地を必ず守りぬく」と決意を表した。20151012a-7.JPG
 福島からは、動労福島を結成した郡山工場の橋本光一さん、3・11反原発福島行動実行委の椎名千恵子さんが発言した。椎名さんは、「三里塚、動労千葉、星野さんの闘いが続く限り”命の闘い”は勝利する」と高らかに宣言した。さらに市東さんの農地を守る沖縄の会、経産省前テント広場の代表が発言した。
 婦人行動隊の木内敦子さんのカンパアピールをはさみ、集会後半の司会を婦人行動隊・宮本麻子さんが務めた。全国水平同盟委員長の久原正子さん、婦人民主クラブ全国協議会代表の三浦正子さん、「星野文昭さんをとり戻そう!全国再審連絡会議」の星野暁子さん、動労水戸書記長の木村郁夫さん、都政を革新する会事務局長の北島邦彦さんなどが次々と発言し、それぞれの闘いの現場の報告と三里塚連帯の決意を明らかにした。
 全学連の斎藤郁真委員長が登壇すると、集会の熱気は最高潮に達した。斎藤委員長は、デッチあげ容疑で逮捕された4人の仲間の奪還を誓い、「札束で人のほおをたたき、人間をスパイに堕落させる安倍政権、国家権力のやり口を絶対に許さない。全学連は、この秋に東北大、京大で反戦ストに立つ。安倍政権の朝鮮侵略戦争を、われわれの行動で止める。その力で三里塚に必ず勝利する!」と行動力を伴った荒々しい決意表明を行った。
 集会最後に、太郎良陽一さんが集会宣言の読み上げ、スローガン採択を行った。この中で、来春成田市での3・27全国集会、来夏7月の東京での三里塚闘争50周年記念集会の開催が明らかにされた。
 団結ガンバローを三唱し、直ちに反対同盟を先頭にデモに出発した。宣伝カーには宮本麻子さんが乗り込み、三里塚闘争の大義を意気高く周辺地域にアピールし続けた。大量動員された公安刑事と機動隊による弾圧態勢を打ち破り、長蛇のデモは開拓組合道路から旧県道に出て、市東さんの家と天神峰耕作地を右手に見ながら、第3誘導路のトンネルをくぐり、力強く進んだ。
 さらに小見川県道に出て交差点を右折し、市東さんの南台耕作地に着いた。完全無農薬の有機農法で丹精込めてつくられた土に、作物が育っている。ここは、農地法裁判、耕作権裁判の対象地であり、B’滑走路に平行する誘導路をへの字に曲げている現場だ。あらゆる違法・脱法を使って土地収奪を狙う国家とNAAへの怒りが、あらためて参加者に広がった。そして、団結街道の破壊以降、その3倍もの道のりのこのデモコースと同じルートをたどって、日々家と畑を往復する市東さんに思いを致した。
 デモ隊は程なくそこから行進を再開し、出発点である東峰の開拓組合道路に回帰する一周デモを貫徹し、反対同盟とともに「軍事空港粉砕・農地死守」を固く心に誓った。 (TN)

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