市東さん耕作権裁判、白石裁判長に審理停止を迫る
10月29日、三里塚反対同盟と顧問弁護団、支援は、千葉地裁民事第2部・白石史子裁判長の法廷で、市東孝雄さんの耕作権裁判の審理をめぐる攻防を一丸となって闘った。この裁判は、成田空港会社(NAA)が市東さんの南台の耕作地の一部を「不法耕作」と決めつけ、明け渡しを求めて起こしたものだが、その土地特定の「根拠」が偽造文書だと発覚し、重大局面を迎えている。前回までに弁護団は、NAAが証拠として出している「境界確認書」「同意書」やその添付図面が偽造されたものであることを繰り返し暴いてきた。そして、偽造の経過を示すものがNAA(旧空港公団)のもとに必ずあるはずだとして、用地買収の経過を記載した関連記録一切の開示を要求してきた。
白石裁判長は「文書提出命令」をNAAに出したが、NAAが提出した10点の文書のうちわずか3点しか開示せず他は却下したため、弁護団は「全文書を開示せよ」と東京高裁に即時抗告申立書を提出している。この高裁の結論が出るまで、すべての審理を停止しなければならない。ところが白石裁判長はそれを無視して「予定通り」進めようとしているのだ。断じて認められない。
傍聴席が埋まり裁判長が開廷を告げようとしたまさにその直前に、葉山岳夫弁護士が「裁判長!」と挙手し、「審理進行を一切止めるべきだ」と迫った。白石裁判長は「開廷に支障はない。文書提出命令と関係ないことは進められる」とはねつけようとした。弁護団が猛然と抗議をたたきつけた。「関係のない書面などない。偽造問題はこの裁判のもっとも根幹にある」「証拠が出そろわないのに、主張を組み立てることはできない。防御権の侵害だ」
裁判長は陪席裁判官との合議の末に、「2回の裁判期日を決めたい」と言い出した。これだけ批判されて、なお強引に進めようというのか! 傍聴席からの怒声も一層強まった。「断じて認められない」と弁護団ははねのけた。NAAの代理人は裁判長から意見を求められると、「通常通り進めて問題ない」などと悪びれる様子もなく言い放った。「なんだその言いぐさは!」と怒りが爆発した。文書偽造という重大事を指摘されながら立証責任を放棄して、まともな反論もしないからこの事態になっている。お前たちはその当事者ではないか! 弁護団はNAAを徹底糾弾し、市東さんも被告席から弾劾した。
葉山弁護士は裁判長に「即時抗告の結果が出るのはそう遠い将来ではない。期日を強引に指定することには何の合理性もない」と再度鋭く迫った。白石裁判長は結局これに折れて、「葉山代理人の意見に踏まえ、期日は追って指定する」と言わざるをえなかった。
近くの会場で報告集会が開かれた。伊藤信晴さんの司会で、最初に北原鉱治事務局長があいさつに立ち、「どんな攻撃だろうと来るなら来いという気概でわれわれは闘っているが、証拠も出そろわないで裁判を進めることなど認めない」と強い調子で語った。続いて動労千葉の後藤俊哉さん、関西実行委、群馬・市東さんの農地を守る会の青柳晃玄さん、市東さんの農地取り上げに反対する会が連帯発言を行い、さらに全学連三里塚現地行動隊の学生がこの日の朝に千葉駅頭で数百枚のビラをまいて、裁判支援・農地強奪阻止を訴えたことを報告した。弁護団も、白石裁判長の拙速裁判に対し傍聴者もふくめ全体で反撃した手応えを語った。そして白石の焦りの策動は、民事第3部・多見谷裁判長と連動した早期結審・来春判決を狙う攻撃であることに警鐘を鳴らした。
最後に市東さんがあいさつに立った。「文書を3点しか開示せず、裁判進行は早める、こんなやり方に腹が立ってしかたがない。勝つために何をしたらいいのか。私一人では勝てないので、これもある、あれもある、とみなさんで意見を出してほしい。ともに闘いましょう」と訴え、全体の大きな拍手に迎えられた。(TN)
次回の三里塚裁判は市東さん行政訴訟・農地法裁判(萩原進事務局次長の証人尋問)11月12日(月)午後1時30分 千葉地裁
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